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まるで何かに操られているかのような動きを見せる魔鬼に、調子が狂う。神奈は適度に距離を保って防御に徹し、いつもと様子の違う相手を冷静に見極めながら戦っていた。
「退魔師三名、応援に来ました!」
と、そこへ同じく三人組の退魔師が駆けつけてきた。どうやら近くで巡回していたらしく、すぐに合流が叶い何よりだ。夏樹が「そっちの一体を頼む!」と叫ぶと、各々から「了解」と返ってくる。
「ギヤァァァァ‼」
退魔師六人体勢となったことで一気にこちら側が優位に立ち、魔鬼討伐はほどなくして片付いた。斬り伏せられた魔鬼は、黒い煙となり跡形もなく消え去り、皆ほっと息をついて刀を鞘に納める。
「一度に五体出現とは、珍しいですね」
「ええ、みんな怪我はないかしら?」
夏樹に返事を返しながら神奈がぐるりと他の退魔師たちを見渡せば、「大丈夫」だと応えるように頷く四人。小さく息を吐いた神奈は刀を鞘に仕舞い、辺りを見渡した。
(あら……)
その時、ふと地面を見ると焼け焦げた紙の切れ端のようなものが、あることに気づく。
何だろうかと手を伸ばして触れようとした神奈だったが、触れる寸前のところで紙切れは風に吹かれて飛んでしまい、状態を確認することはできなかった。
(あれは何だったのかしら……)
「桐生院先輩、避難途中に足を怪我したご老人がいるみたいです!」
と、そこへ神奈の思考を遮るように夏樹からの報告が入り、頭を切り替える。「わかりましたわ、すぐに向かいましょう」と継いだ神奈は、ほかの退魔師の後に続いて現場を離れることにした。
空は随分暗くなっていて、今にも雨が降り出しそうな灰色だった。不穏な気配が秘かに迫ってきていたが、この時はまだ誰もその予兆に気が付くことはできなかった。




