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17.王子の反省

「あなたは公爵令嬢だったのですね。」


パーティーの中盤。そう言って歩いてきたのは学園生徒会メンバーのシフリ王子だった。


「ご機嫌よう。お久しぶりですわね、シフリ王子」


シフリ王子に気がついたレイトとルイスがさっとルーナを庇うように前に立つ。それを見たシフリ王子はふっと悲しげな表情を浮かべた。この場でテスターだけがどういう状況なのか分かっていない。ただ、私達と王子の間は友好的なものではないことを察したらしく影でそっと成り行きを見守っている。


実は少し『怖い』という感情を王子に持ち合わせているが何度も大丈夫と心の中で繰り返す。だってレイトもルイスもいるんだもの。


「私は大丈夫よ、下がってくれる?」


ちらりと私を見た後2人とも渋々下がってくれた。そして王子と目が合う。


制服姿の彼は、すらりとした体躯に服きちんと着こなし、腕には生徒会役員であることを示すバッチが付けられている。漆黒の黒色の髪は会場のライトによってきらきらと輝き、青緑の瞳には陰を浮かべる。見た目は麗しいし、それこそ王子という理想に限りなく近い。


「それでは改めまして生徒会役員のシフリ王子?私はマルチウス公爵家の娘ルーナ マルチウスですわ。約束を守って頂いたようなので前の事は水に流しますね」


カーテンシーを王子に向け完璧に行う。たった制服のスカートをちょこっと持ち上げるだけだが、彼女の所作は美しかった。


私が表を上げると王子は信じられないという顔をしていた。それに対しレイトやルイスは少し怒っているように見える。


「姉さん、この人の事許すんですか!?」


レイトが堪えきれずといった様子で私に食ってかかる。レイトの言葉に対し王子は当然だというように顔に陰を落とす。この様子を見ても大分反省してくれたみたいだ。


「レイト、私がよいと言っているのです。それに王子に対しこの人などという呼び方はいけません。あなたも挨拶なさい」

「いや、彼の言うとおりだと思うよ。私は貴方に対し王子としてあるまじき大変な過ちを犯した。謝罪させて欲しい。」


そう言って公衆の前で王子が頭を下げた。王族が頭を下げるのはよっぽどの時だけで基本ない。その王子の行動に周りからの視線を感じていた。


「このような場で王子がするべき行動ではないと思います。面を上げて下さい!それに、今しがた弟のレイトに申し上げた通り私はよいと言っているのです。約束は守って頂けたようなのでこれ以上は追及しません。ただ、あのことは極秘で」


もう、腕の怪我は治っている。もちろんあの時は怖い思いをしたが、今思えば王子というのは常に危険にさらされる身。それは王子も昔から色々あったのだろう。そういうので敏感になっていただけかもしれない。


「感謝する、マルチウス嬢。もちろんあの約束は守らさせて貰う。他に何か困ったことや助けが必要な時は必ず助けるとも約束しよう。」

「その言葉忘れないで下さいね?」

「ああ、私の名に誓って」


そう言って跪いた彼は私の手の甲にキスを落とした。これであのことはお終い。その合図のように感じた。


私としては王族の人に助けて貰うことが出来る券をゲット出来たので上々だ。隣にいるレイトに目を向ければ気に食わぬ顔で王子をみていた。私の視線に気がつくと、ため息をついてから王子に向き直った。


「先ほどは大変失礼致しました。私はレイト アスラントと申します。王子にお目にかかれ光栄です。………恐れながら言わせて頂くと、私は貴方がルーナ姉上にしたことを許せません。ですがルーナ姉上自身が許すと言っているので今回はこの胸にこの怒りを鎮めます。ですが、今後以前のような行動を起こした場合、私は貴方を一生許すことが出来ませんのでそのつもりでいて下さい。」


レイトってば王族に対して何という態度なのー!?後で怒られちゃうじゃない!!それにいつもほわほわしていて優しいレイトのこんな姿はあんまり見ないから相当怒ってたんだろうな…。心配かけちゃってたんだね。


てか、レイトの名前と学園の名前似てるーー!?アスラントとアルタントって似すぎだな!今更だけど!!


レイトからの厳しい言葉に王子はレイトの目をまっすぐに見て言う。


「君の姉君を傷つけてしまってすまなかった。このような事は今後無いと約束しよう。」


凛々しい色の瞳が輝きを放ちまっすぐにレイトに注がれる。すると、レイトがまたしても溜め息を着いて後へ下がった。王子の気持ちが伝わったということだろう。


ルイスは?と思いルイスに視線をやればニコッと微笑まれた。確かにレイトならともかくルイスは流石に王族に物言える立場では無い。それにレイトが結構言ってくれたのでスッキリしたようだ。


あっテスターと目が合った。そういえばずっと放置だったかも。テスターも公爵家だし、王子に挨拶しなきゃだよね。


「シフリ王子、この話はもうお終いですね。ところで、王子に紹介したい私の友だちがいるのですけれど。」


私が言うとテスターは前に歩を進めた。


「初めましてシフリ王子。私はフォルベルト公爵家次男のテスター フォルベルトです。これから宜しくお願い致します。」


スマートな動作で挨拶をするテスターは普段のやんちゃな感じとはまた違ってしっかりと公爵家子息をやっている。


でも、やっぱり普段を見ているので少し違和感が……。何とも言えない感じが拭えない。


「ああ、君の評判は聞いてるよ。剣術に優れているんだってね。学園でその才を更に花開かせてくれるのを楽しみにしているよ。」

「はい、精進します」


テスターはこの中でも特に剣術がルイスは体術なことが長けているのに対して長けている。数回だけルイスと模擬試合をしているのを見たことがある。体術戦は全くルイスに手も足も出ないが、剣術戦になると立場が逆転してテスターが圧倒的に強い。


その剣さばきは舞を踊るように美しく、まるで剣が体の一部であるかのように自由自在に剣を操る。ただやっぱり騎士に比べるとまだまだだけど、子供の基準は優に超してると思う。


なんか、アーサーも凄い剣の使い手だから今度手合わせして貰うんだー!って馬車の中ではしゃいでたな。


うん、ずっとずっと放置してた事だけどアーサーどこ行ったの???もう、スルーしていいのかな。会場にはいないし、良いんだよね。きっとなんか別の仕事が入ったんだろう……。


「マルチウス嬢、私はそろそろ生徒会の仕事もあるし行くよ。学園内で会える事を楽しみにしている。」

「はい王子も。」


背を向けて歩いて行く王子の顔は何処か吹っ切れたような、始めに会ったときとは違って明るく前進したような印象を受けた。きっとそれなりに気にしていてくれたからだろう。今後、女性に対してあんな行動は慎むはず。きっと良い教訓になった。


……それよりも……………。


何故かルイス、レイト、アンナの機嫌が悪い……?

やだぁ私もう王子に散々いいからって言ったのにまだ納得してないみたい?


どうしたものかなぁ。


と、そこへお父様がやってきた。


「ルーナ!大丈夫だったかい?」

「はい!シフリ王子も反省から色を感じたので許すことにしました!」

「そうかい、ルーナがそうしたいと思ったならそれで良い。よく判断したな。」


そう言って優しく頭を撫でてくれるのが心地良い。髪が乱れないように配慮して撫でてくれるところも優しい。


「はい!ありがとうございます!」

「ああ、それが君の良いところだ。それで少し話したい事があるんだがいいかな?」


そう言ってちらりとレイト達を見た。レイトがコクリと頷くと「学園に小部屋を借りてるんだ。行こう。」と、私達を促す。


後を振り返るとマルーナ達がこちらに手を振っていた。私も手をふりかえして「また会おうね!」と言った。聞こえてるかは微妙な距離だけど笑顔を返してくれたので大丈夫だろう。


クラスぐらいは聞いておくべきだったなぁ。友だちになって少し会話したところでシフリ王子がきてしまったことで全然話しが出来なかった。でも、同じ学年だし、廊下や学園行事で会えるはず!


そう思い、レイト達と学園の建物に向かって進んで行った。

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