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16.友だち

パーティーが始まって早数分後、レイト達が会場にやって来た。沢山の女の子を連れて……。


3人とも少しやつれた?ってぐらい疲れている彼らを前にも女の子達が止まる様子はない。そろそろ可哀想になってきちゃった。ルイスなんかこっちに目を向けて助けて下さい!と必死に訴えている。


「お父様、私レイト達の所へ行って参りますね」

「ああ、わかった。私も話したい奴がいるから少し向こうに行っているよ」


話したい奴って誰だろうと思ったけど、仕事関係だよ。と言われた。お父様は公爵家の当主なのだ。国を支える第一貢献者。今日この場に来ている貴族の方々がちらちらとお父様を見ていたのだろう。頑張って下さいと一言言えば笑顔を見せてから反対側へ歩いて行った。


さっ、私も公爵令嬢らしく、頑張ろうかしら。ぐずぐずしてると王子が来ちゃう。1人で会うのはさすがに怖いし、レイトだけでもせめていて欲しい。って言うのが本音だけど。


そういえば、こういう場合はどうするのが正解なんだろう。彼らが嫌がっているからやめてって言う?いや、それじゃあレイト達が女の子達を嫌がっているという悪者になってしまうわ。じゃあここは、前世の少女漫画とかによくある悪役令嬢っぽく かな?





コツコツと中庭の地面を音を立てて歩く。ローファーなのにヒール並みに足音がでていた。その音に気がついたレイト達の周りにくっついている女の子達が一斉に振り返る。


「ねぇ、あなた方。そこの殿方3人は私の大切な方達ですの。その手を離して下さる?それから近づかないで頂きたいのですけれど?」


終わりに「光に群がる魚のようでみっともないですわよ」と付け足して。そして、哀れむような視線を送れば女の子達の目がキッと立った。


だが、さすがに高い爵位の人達は私が誰だか気がついたようでさっとレイト達から手を引く。それでも、私は人前に出ることが無かったから誰だか分からない人も多いようだ。


「あなた何様ですか?レイト様やテスター様そしてルイス様はあなたの『物』なのではありません!それに貴族の方のようですがこの学園で身分は関係ないかと。第一、レイト様達は私どもを嫌がってなどおりません!」


「そうよそうよ!」と、周りの女の子からも声が上がる。


私に反抗を見せたのは焦げ茶色のふわふわした髪の毛にラベンダーの色のような瞳をもつおそらく貴族令嬢だと思われる人だ。


は?えっと…ちょっと待って。私は一言もレイト達が私の『物』なんて言ってないけど。大切な人達って言ったのよ。えっ、言葉の受け取り方誤解がありすぎない!?


すると、ふふふと笑った声が聞こえた。


「もういいよ。ありがとう姉さん」


レイトが笑ったようでその反応とレイトから発せられた言葉に女の子達が驚愕に目を見開く。


きっと分かったのだろう。私が誰か。レイトが姉と呼ぶ存在。それは公爵令嬢であるルーナ、私ただ1人だから。先ほど私に食ってかかっていた女の子はさっと顔色を悪くさせた。


「お嬢、それなんの真似ですか?地味に悪役っぽく出来てるけどまだ甘いって言うか。」

「ああ、あと光に群がる魚ってなんだ?例えおかしくないか?」


ズブッとルイスとテスターの言葉が心に刺さる。頑張ったのに。やっぱりこういうのは慣れてないわ。それに少しぐらいいいじゃない。だってこの場合のことわざは『蟻の甘きにつくがごとし』でしよう。さすがに蟻は女の子達に失礼だと思って。まだ魚の方が良いと思うし。使い方合ってる??合ってるかな??国語苦手なのよ私。


レイトから手を離した女の子達が私に土下座せんばかりのスピードで頭を下げる。


「あっ…あのっ先ほどは、すっ…すみませんでしたっ」

「いいえ、私も申し訳ありません。ちょっときつく言い過ぎました。それに学園生活の中では対等な立場であることは正しいです。ただ、今回は貴族の方々も多く参加するパーティーだったからこのようになってしまっただけです。」


ペコペコと頭を下げる女の子達に頭を上げて欲しいと伝える。顔を上げた女の子達の瞳は潤んでいて、きっと私が仕返しに何かすると思っているのだろう。


「あの、本当に大丈夫ですわ。それと、一応挨拶させて下さる?私、マルチウス公爵家のルーナ マルチウスです。あなたのお名前お聞きしても?」

「はい!マルーナ ミニチェと申します!しがない男爵家です」


やっぱり貴族令嬢だったんだ。いくら男爵家とはいえ国を、地域を支えている。私の一存でそんな人達を平民に戻すなどする訳ないのに。


っていうか、これって友達作りのチャンスじゃない!?


がしっとマルーナさんの手を取り目をまっすぐに見る。彼女はこれから何を私にされるのだろうとビクッとした。


「あっ…あのっ!私、そのっ…とっ…とっ…友達っがほっ欲しいのだけれど…!!」


やった!言えた!自分からこんな事言えた喜びに浸り、目を開けるとマルーナさんはポカンとしていた。いやマルーナさんだけじゃない。周りの女の子達全員がポカンとして私をみている。ただレイトは笑うのを堪えて肩をブルブルとさせてるし、ルイスとテスターに至っては堪えきれずプッと吹き出した。


やっぱり私に友達作りは無理みたい。前世で出来なかったことは今世でも無理ってことかな…。


すっとマルーナさんの手を離そうとしたときガッと手を掴まれた。


「私、失礼なこと行ったりしたりしたのに宜しいのですか!?」

「ええ、けど、私ととっ友達何てやっぱり嫌よね…」


自分の事ぐらい分かっている。人付き合いが下手くそ。なのに理想は高く持ってしまう。


「いえっ!ぜひお友達にならせて下さい!あなたたちはどう!?」


マルーナさんが振り返ればほかの子も首を縦にぶんぶんと振る。なんか、権力的にこうなってるのかなと疑ったが「絶対にそんな事ありません!ルーナ様が可愛らしくて」とのこと。最後の方の発言は謎だが、とにかく彼女達1人1人の意思で私と友だちになりたいと言ってくれている。


これ以上無いほどの喜びで胸が熱くなった。


「宜しくね!マルーナさん、皆!」

「もう、さんなんていらないって言ったでしょ、ルーナ!」


本日、始めて同年代の女友達が出来ました。10人も!学園生活が更に楽しみになってきた!










「あなたは公爵令嬢だったのですね。」


パーティーの中盤。そう言って歩いてきたのは学園生徒会メンバーのシフリ王子だった。


「ご機嫌よう。お久しぶりですわね、シフリ王子」

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