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14.入学式

家から学園までの距離は神殿よりも遠く、道のりは長い。入学式は午後からあるが、家を午前中に出たのはそのため。ざっと四時間ほどかかる。けど、馬車にずっと座ってるだけはきつい。


そう、きついのだ。そして今、私はそのきつさを味わっている。


「……。」

「……。」


家を出てもうすぐ四時間ほどになるはずなのに一向に学園らしき建物は見えない。学園は国中から多くの子どもが集まり、暮らす場所。前世の小学校やそこらの建物の大きさとは訳が違う。だけど、どこにもそれらしき物が見えない。


馬車の中は静まりかえっている。ずっと陽気に喋っていたルイスやアーサーなんかも疲れたのか、静かに窓の外をぼけ~と見つめている。


レイトとアンナは読書に夢中だ。馬車の中で酔わないの?何て聞けば、「酔いませんよ」と、返ってくる。更には何故酔うのかという疑問を顔一杯に貼り付けて。


私はちょっと馬車の中ではきついかなぁ。読書は大好きだし、この時間をできるだけ有効的に使いたいとは思う。けど、何せ酔ってしまうのだ。下を向いて何かに集中しようとすると途端に気持ち悪くなってしまう。そんな事でみんなの足を止めて、入学式に遅れようものなら後悔しか残らないから。


ぼ~と外を眺めるのも悪く無いと思う。そういえば、周りにだんだんと馬車が増えてきた。自分たちと、同じとしぐらいの子供と親も歩いている姿が多くなってきている。


もうすぐなの?けど前には何も見えないけど

………………………………!!


そう思って前を見たら大きな門が目の前にあった。白く塗装され、ドドンと構えている。うえにアスラント学園と書いてあり、学園の入口であることが分かった。もしかしなくてもこれが正門なのかもしれない。


「やっとつきましたね。」

「え?」


アーサーからの呟きに驚く。


着いたって学園に?でも、門があるだけで建物はないけど。


「姉さん、学園はこの門を通らないといけないんだ。昔、空間魔法を専門とした大魔法師が作ったって言われてるんだ。その空間に学園はあるんだよ。」


すごい!魔法の中に学園があるんだ!初めて知ったし、その大魔法師凄い偉人だ。


何て尊敬の意を込めながら門をくぐる。


目を開けた次にはさっきまでの景色と違う世界が広がっていた。


「わっ!大っきい!」

「本当に凄いな…。」

「お嬢、身を乗り出すと危ないっすよ!」

「お嬢様きけんです!」

「でかいな!!?」


目を開いて一番に飛び込んできたの群像している大きな建物だ。真ん中に立つのが学園だと思う。もはや前世でいう大学の域を越え、城のようだ。


周りにある建物は全て学園施設というのだから更に驚く。この学園は全寮制なので寮も多い。


「姉さん、嬉しくて興奮するのは分かるけど公爵令嬢としての立場もあるから程々にね。姉さんは目を離すとすぐトラブルに巻き込まれちゃうから心配になるんだ。」

「うっ……。レイト、私は大丈夫よ。少し運が悪いだけ。そんなに心配しなくても馬車を降りたら品良くするわ。」


そう、と何故か少し疑いの目をレイトだけじゃなくアンナとルイスからも向けられ少し虚しくなりながら視線を外し、外を見た。


「あっ、あれテスターの家の馬車じゃない!?」


貴族が多く通うので馬車もそれなりに多い。その中で知っている家紋の馬車を見つけた。公爵家の紋の馬車、テスターが乗っているはずだ。中はカーテンがかかっていてテスターが乗っているか確認出来ないけど。


「ほんとだ」


レイトも本を読む手を止めて、外を覗いた。公爵家の馬車は他の貴族の馬車よりも大きく、より華やかだ。すぐに見つかったらしい。




程なくして学園の入口に馬車が止まった。公爵家の馬車だからか周りには少し間を開けて他の貴族の馬車が止まっている。降りやすい一番良い位置に着いたのだ。つまり、これも全て権力!公爵家凄い!


ドアが開くとまずルイスとアーサー、アンナが降りる。そして、レイトが降りたのだが、女子の黄色い歓声が周りに立った。アーサーやルイスが降りたときも歓声聞こえるなぁと思ってたいたけれど2人に勝るレイトは本当に凄い人気だ。


まぁ分かるけどね……。だって格好いいんだもん。


私も席を立ちルイスが差し出してくれているエスコートの手にそっと自分の手を重ねた。レイトは何故か満足そうにニコニコと微笑んでいる。


ここからは学園!公爵令嬢らしくしなければ!


馬車の階段に足をかけ、出来るだけ足音が鳴らないように地面に足を付ける。ここで、どたんっと降りたものならきっとマナー講師の人が絶叫するだろう。今まで習ってきた事を最大に出しながら馬車から降りた。




その動作に周りにいた誰もが息を呑んだ。いや、動作だけではない。美貌にもだろう。公爵令嬢と言われ誰もが納得せざるを得ない仕草に可愛さを金揃えているその少女に皆引きつけられていた。


だが、ガードが堅い。さっきから殺気をやたら彼女の周りの人物から感じる。みな、怖いのでそそくさと人がはけた。


そんな事なんて全く気づく事無く、心の中は精一杯のルーナはレイトにお礼を伝え、5人で校舎の中に入ろうとした。が、ルーナ達の後から声がかかった。


「ルーナ!」

「テスター!」


こっちに大きく手を振って向かってくるのはテスターだった。今日も太陽のような元気一杯の笑顔を振りまいてやってきた。制服姿も似合っている。


「一緒にいっていい?おれ、ルーナ達しか知り合いいないんだよな。」

「良いわよ。ね、みんな?」


私がみんなに同意を求め振り返るとレイトとアンナは渋い顔をした。ルイスはどっちでもいいって感じだし。アーサーはそもそもテスターと初対面なんじゃないかと思う。頭の上に?を浮かべてこちらを覗っている。


「姉さんがいいっていうならいいよ。」


レイトがそう切り出すとルイスとアンナも頷いた。アーサーもよく分からないんだろうけど頷いている。


「だって。行きましょ!」








アスラント学園、入学式会場体育館。


馬鹿でかい体育館(もはや、体育館なのかも分からない)に集められた学生達。会場は暗くステージのみに、明かりがついている。そこに立って話しをしているのがこの学園の現校長。長いひげに白髪でいかにも出来る魔法師感が漂っている。


その人の長い話しが今丁度終わったところだ。校長の話しを要約するとこうだ。


この学園は姉妹校であるカルターネ学園より優秀な人材を輩出したい。だからお前達はしっかり学んで将来国の役に立て。また、この学園内では身分など関係ない。優秀な者のみが上に立つことが許されるのだ。だから、勉強頑張れと、それだけの事である。


こんなに長く話す必要は無いと思う。他の人を見るとあくびをかみ殺している。テスターなんて寝そうだ。


次々に入学式のプログラムが終わっていく。やっと一通りの内容を終え、今度はクラス分けとなった。


「今から資料を配布します。受け取り、自分のクラスを確認して下さい。」


そう教師らしき人がいうと何かを唱えた。瞬間、教師の手元にあった紙が自我を持ったように宙をまい、体育館の生徒一人一人に配られていく。


風魔法の応用ね!本で読んだことがあるわ。実際見るのは初めてだけど、凄い!


ふわぁと私の手元にも紙がきた。名前、誕生などが記入されている一番下に1-Cと書かれている。確か、毎年A~Hクラスまで用意されているはず。


「レイトは何組?」

「僕はEだけど、姉さんは?」

「私はCよ。離れてるわね…。」


私の言葉を聞き、レイトが絶望というような顔をする。クラスが離れてしまったのは悲しいし、心細いけどこればっかりは仕方ないわよね。


「あっお嬢、俺もCだ」

「えっ本当!?」


横からにょきっと顔を覗かせたルイスがそう言ったので、凄く嬉しくなった。誰か知っている人がいるとなると心強すぎる!


「あっ俺もCだな」

「テスターも!」


公爵家が同じクラスに2人もいるなんて驚きだ。絶対分散させられると思っていた。ていうことは、レイトのみが離れたクラスになったということだ。


レイトを見ると悔しそうな顔をして、遊びに行くからと言っている。やっぱり1人は可哀想だよね。うん。


こうして入学式のプログラムが全て終了した。クラスでの挨拶などは明日になる。のだが、この後生徒会主催の入学歓迎パーティーがある。


なんとこの学園の生徒会というのは権力が凄いらしくこのパーティーも大きいものだという。それに、ここでお父様と会える。今日はまだ一度も会っていないから、楽しみだ。制服での参加なのでお父様にこの姿を見せる事が出来る。


さっそく、友達作るの頑張ろう!

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