13.アーサーという名の執事
ルーナが寝たあと
公爵様、つまりルーナのお父上に呼び出された僕たちは公爵様の執務室にいた。厚い光沢な絨毯がひかれ壁にはルーナが笑顔一杯に咲いている画が飾られている。
あれ、欲しいな。
そう思ったが心に留めておこう。何たって今目の前にいる公爵様の顔はすごく怖いから。執務用の机に肘をおき、沈痛な面持ちで悩んでいる。
その悩みの種を作ったのは紛れもない僕たちなのだから。いや、僕たちも悪かったが王子のせいだけど。
公爵様は顔を上げ、僕たちを見て喋った。
「君たちのせいではない。知られてしまったことは仕方が無いんだ。いつかは世に知られることとなるしな。だが、あの王子は許せない!ルーナに手を挙げ怪我をさせるなど!」
そう言って怒り燃える。だが、怒っているのは全員同じ。この屋敷に着いたとき、屋敷中の執事とメイドがルーナの怪我をきき仕事の手を止め集まった。みな、彼女の事が大好きで大切なのだ。
だが、何があったのかは聞いていない。瞳のことを知っているのはごく僅かだし、王子と揉めたぐらいのことしか知らないだろう。それでも集まるのは彼女の優しさが屋敷中に広がっているからだと思う。
「ルーナは昔から魔法に関心があったからなぁ…。レイト、ルイスも入学するだろう?アンナには強制的なんだけどルーナのお付きとして行ってもらうことになる。」
公爵様の質問に3人とも首を縦にふる。
「ルーナのこと、宜しくね。さすがに学園じゃあ私が守れないから。王子のことは私に任せて貰っていいよ。対処するから。」
対処…。何をするのか知らないけど笑みが黒いな。
その後、3人で公爵様の執務室を出た。学園入学まで1週間。やれるだけの準備をしよう。ルーナが楽しみにしている学園生活を楽しめるように…。
時間はあっという間に過ぎていき、遂に入学の日がやってきた。私は王立アルタント魔法学園の制服に袖を通し鏡の前に立っている。
自分で言うのもなんだけど似合っていると思う。
全体的に茶色を基調とした服。長袖の袖と襟には白いラインが入っていて胸元には学園のシンボルである勲章がデザインされている。スカートは膝がぎりぎり見える程の長さですらりとした脚が見えている。セットの靴はローファーだった。紫の腰まで伸びた髪は今日は1つに束ねている。もちろん瞳は緑だ。学園では誰にも見られないように頑張る!
「お嬢様!!可愛らし過ぎますっ!」
「ありがとうアンナ!学園でもアンナがいてくれるというのだから心強いわ!」
「そんな!私の方こそ学園にお付きは一人しか連れていけないのに選んでいただいて、どれだけ嬉しかったか!」
そう、学園にはお付きは一人だけしか連れていけない。それに寮の部屋は一緒に使うことになる。始め誰がいい?って聞かれて真っ先にアンナを指名した。お父様は「やっぱりそうだよね」とOKしてくれた。ちなみにルイスは今回学生として入学するのでレイトのお付きにはならない。
じゃあ誰がレイトのお付きになるんだろう?と思ったんだけどアーサーという今まで私があったことの無い人だった。屋敷の人は基本知っているから不思議に思っていると、新しく雇った人ってレイトに教えて貰った。
実はアーサーは剣術に精通している人で17歳でありながらルーナとレイトを守るのに選ばれたのだがルーナがその事を知るのはまだ先の話。
ルイスはお付きがいらないらしい。基本お付きを学園まで連れて行くのは貴族ばっかりらしいし、ルイスは一人が楽だからいいんだって。
「お嬢様、そろそろ玄関へ行きましょう。きっとみんな待ってますよ。」
「あっ、うん」
アンナに促されて部屋からでた。次この部屋に帰ってくるのは学園の長期休みの時。少し寂しい気もしながら廊下を進んでいった。
玄関につくとレイトとルイスがいた。二人とも学園の制服を着ている。
レイトは制服をピシリと着こなしている。髪は整えられていて爽やかだ。対にルイスは制服を着崩している。中のシャツが見えていて、崩れているのに格好いいんだから!二人ともモデル体型なので何を着ても基本似合うけど制服はまた良いね!
もしかして、レイトの後ろにいる人がレイトのお付きの人かな?なんか思ってたより若いな…。
執事服を着るその人は鹿毛色の髪に柿色の瞳をしている。身長はレイトと同じぐらいだし、年も大して変わらなさそう。っていうかイケメンだよね、うん。
3人とも顔が良い!!画になる!
「ルーナ姉さん!」
「はい!」
自分の世界に入っていると、レイトが私達に気がついて駆け寄ってきた。つい、はいと返事してしまう。
前世で運動部に入ってた影響かも。先生の話しをしっかり聞いてなくて急に名前呼ばれたら条件反射で言っちゃう的な……。急に嫌なこと思い出してしまった…。
レイトは目の前まで来ると優しく微笑んで甘いトーンで言った。
「姉さん、似合ってるね!可愛い…」
あぁ、これはあれね、うん。レイトは格好いいし可愛い…つまり格好可愛いね!(日本語やばいかも)
レイトの笑顔にやられながらも私も思った事を率直に伝えた。
「ありがとう。レイトとルイスも似合ってるよ!」
瞬間、ぶわっと耳が赤くなって体温が顔に集中するのを感じた。横から「まだまだですね。」とルイスから声がかかる。くそ!可愛い…!!
なんていうレイトの気持ちなんて知るよしもなく、ルーナは2人の横から顔を出した。さっきから気になっていたのだ。
「ねぇレイト。あの方がレイトのお付きの人なの?」
その人は私と目が合うとにっこり微笑んだ。柔らかい雰囲気がある。なんかこう、余裕のありそうな、お兄さんみたいな感じ。
「うん。姉さんに前話した僕の学園でのお付き。」
「初めまして、ルーナお嬢様。私はアーサー マクラリットと申します。どうぞアーサーとおよび下さい。」
流れるような仕草で挨拶する姿は執事として完璧だ。きっとルイスにも劣らない。本当に新しく雇った人なのかな。もしかしたら何か執事や騎士という役職に就いていたのかもしれない。いや、でも騎士では無さそう…………うん。
「初めましてアーサー。これから宜しくね。」
「はい」
あっそういえばルイスは私の執事であるけど同時に同級生になるのよね。お嬢呼びやめてもらわなきゃ。
「お嬢様がたそろそろ時間が」
アンナの声にハッとした私たちは時計を見て驚いた。
もう出発しないと間に合わない!急いで馬車にいくと慌てて公爵邸を出た。
そういえばお父様は?って思ったんだけど入学式の会場で会えるとのこと。
馬車の中ではアーサーも交えた会話がわいわいと盛り上がった。アーサーの感想としては意外とお茶目な感じがしたことかな…。
遂に次が入学式です!
次も頑張ります




