11.王子
「………………」
あれ?私、迷った?
どうもこんにちは。私ルーナです。それがですね、今神殿で迷子になったらしいです。
「………………」
嘘でしょー!!
時は遡る事、ほんの数十分前。魔力測定を終え、アンナが待機している部屋へ向かった。すぐ近くにその部屋はあるはずだった。のに、何と私は通り過ぎたらしかった。帽子のせいで前は見えないし、自分がどれだけ歩いたのかも分からない。色々、戻ろうとしていく中で、入り組んだ造りの上に空間系の魔法が施されている神殿で一人迷子になった。
もう悲しい……!!
周りに人はおらず、シンとしずまえりかえる廊下。どうしようもないのだろうね。あれだけ言われていたのに…。
私が取れる行動は全部で3つ。
1つは今のまま、神殿の中をひたすら歩き回ってさっきの部屋、もしくは外に出ること。ただもう足が疲れているからそんなには移動出来ないけれど。
2つ目はこの場所に留まって誰かが探しにくるのを待つ。私は公爵令嬢だから時間がたてば誰かしら探しに来てくれるだろうし運が良かったら神父様とかと会えるかもしれない。
3つ目は、部屋を訪問してまわり大人を探す。この廊下には幾つかドアがある。そこに入って大人に助けを求めること。
うん、3つ目が妥当よね!
そうと決まったら近い部屋からノックしていきましょう!
一番近くの部屋からノックする。コンコンと静かな廊下に音が響くが、部屋の中から返事は無かった。もしかしたら寝ているかもしれないわよね!と思って扉に手をかけたが鍵がしっかりとかかってあって留守なんだ……。と勝手にしょんぼりした。
そして次々に隣の部屋をノックする。が、どの部屋からも返事が全く無いどころか扉が開きもしなかった。
この部屋がこの廊下の最後ね。誰かいますように!
コンコン
「…………………………」
やっぱり誰もいないのね。
そう思いドアから離れようとした…途端、ぐわっと腕を掴まれ部屋に引きずり込まれた。
「キャッ!」
何が起こったのか分からず、ただただ動揺する。両腕は誰かに掴まれているようで痛い。背中にはドアがあって、押さえつけられている。
「お前、誰だ。」
「へ?」
目の前からかかった声に目をあけ、その姿を見て驚く。少し年上ぐらいの男の子なのだ。黒い髪はつやつやと光沢を帯びていて、瞳は夏の森を連想させる青緑。綺麗な顔ね…。
「お前……!!」
ぼーっと眺めていたらその少年は質問に答えない私に苛立ったのか腕を握る力を強めた。そして私と目が合うと驚いたように目を大きくした。
「っ!痛いです!」
「お前…その目は…!!」
目?めっー!!??
私今帽子がない!相手の顔もばっちり見えるし、相手からもきっとばっちり見えていることだろう。
サーッと顔が青ざめていく。お父様から言われた事を守れずに誰かに見られてしまったのだ。だんだんと目頭が熱くなって来るのを感じる。
「お前、答えろ!お前は誰で、どうしてその目を持っているのか!!」
より一層の力を込められてもう腕は最高潮に痛かった。私は力も入らず手はぶらりとする。だが、足には力を込め絶対に屈しないように相手を見る。
私は公爵令嬢よ。決してこんな乱暴な男に屈しないわ!それに私の目は生まれつきこうなのよ!どうしてお前がその目を持っているのかですって!?そんなの神にお聞きなさい!!
「私の名前何て言うわけが無いでしょう!?自分から名乗るべきではなくって!?。それにこの目は生まれつきなの!魔力測定をしに来て迷子になってしまっただけよ!」
いくら悔しくても私が公爵令嬢であることは言えない。
この瞳にどんな意味があるかなんて知らない。ただお父様に隠すように言われたのだから名前何て言えるはずがないもの。
「そうか…それもそうだな。俺から名乗るべきだったかもしれない。俺はこの国の第三王子、シフリ アルティフォスだ!」
「……っな!?第三王子ですって!!??」
信じられない発言に思考が追いつかない。
なんて事なの!?女の子に対して最悪な態度をとる目の前の男が国の王子!?信じられないわ!
淑女の定めその3 淑女は絶対に大声で喋らないこと。
そんな事も忘れて絶叫する。目の前の王子はそんな私の反応が面白いのか口先を上げて笑っている。
だが、王子と言うなら仕方ない。って、なると思ってるの!!??
「王子、それは大変失礼いたしましたわ。しかし、王子と言うならば尚更、この行動はいかがなものかと思いますのだけれど?」
そうだ、彼は未だに私の腕をぎちぎちとつかんでいる。もう腕は赤くなるのを通り過ぎ、青くなってきている。
「お前が怪しいからだろう。私が名乗ったのだからお前も名乗れ!」
「嫌です。早くこの手を離して下さい。」
「なっ!!?」
私とにらみ合っていると遠くから声が聞こえた。「お嬢~」と。
「ルイス!」
私の反応に訝しげな顔をした王子が口を開こうとしたが、私はそれより早く大きく息を吸って叫んだ。
「ルイスーーーーーっ!!」
「おまっ!声でかっ!」
淑女の定めその3 淑女は絶対に大声で喋らないこと。
そんな事、かまってられないので目一羽にルイスの名前を呼んだ。瞬間、ばんっと扉が開く。私は扉に背中が押さえつけられていたため、廊下へ身が倒れた。王子は私の手をようやく離して自分は倒れんとたえた。
なっ!!?最低だわ!
倒れるのを覚悟したが私は暖かい手によって支えられた。
「ルイス!」
「お嬢!大丈夫ですか!!?」
支えてくれたルイスが慌てて私の体を確認する。そして両腕が腫れていることと帽子がないことに気がついた。がらっとルイスの雰囲気が変わり、王子を射殺さんばかりの鋭い眼差しを向ける。
正直、私はこんなルイスを見た事が無かったので、驚く。その視線を浴びせられている王子はルイスに怯えているように見えた。そのままやっちゃってほしいところだけど、相手は仮にも王子。そんな事をしたらルイスが危ない。
「ルイス、あの方は第三王子であらせられます。礼儀を尽くしなさい。」
私の言葉に反応したルイスは頭を垂れた。
「失礼いたしました。ご無礼をお許し下さい。」
「すみません王子。私、迎えが来ましたのでそろそろ失礼いたしますわ。」
そう言って踵を返した私の背中に王子が声を掛けた。
「お前、随分高位の令嬢だな。……失礼したのはこちらも同じ。最後に名だけ教えていただけないだろうか。」
王子とは絶対に嫌でも社交の場で会うはずだ。でも、この瞳を世に出して良いとお父様がおっしゃるまでは名を教えたくなどない。
「今日の出来事を全て忘れ、他言しないと約束していただけるなら次に合う時お教えします。」
王子の異論は認めず、私たちは部屋を出た。
部屋を出たあとすぐにルイスに帽子を被せられた。そして、嵐が去って腰が抜けてしまった私は今、ルイスに抱えられている。
「ルイス、ありがとね。」
「いえ、お嬢を守ることが出来なかった…!!その腕痛いですよね、すみません。」
「何言ってるの、もし誰も助けが来なかったら私……」
そこで言葉が止まってしまった。実はけっこう怖かったのかもしれない。年は対して変わらないとはいえ、力が強くて対抗するすべなんて無かった。
ルイスに胸に顔を当て周りから顔が見えないようにした。瞳から少し涙がこぼれても良いよう。ルイスは何も言わずただ私を抱いて廊下を進んでいった。
王子こんな、くず設定になってしまって(T^T)
すみませーーんっ!
実はまぁまぁ良いやつなのかも?しれないので大目に見てやって下さい
あと2話で学園始まる予定で~す!
宜しくお願いします!




