75 リッチィさん、ステータスの開示を求められる
魔王様との和解? が無事に成立し、本来の目的である魔王城からの私へのお呼び出しの件に戻る。
「お主はなにをしておるのじゃ?」
謁見の間にて、玉座に座り何やら報告書のような物を読み終えた魔王様が呆れたと声を掛けてきた。
「闇ギルドの壊滅しかり、いくつかの傭兵団の襲撃……なにか申し開きはあるのかや?」
先程の可愛いらしい幼女は何処にいったのか……そこには依然とした雰囲気を放つ魔王様がいた。
「何かおかしい所がありましたか?」
「おかしいところだらけじゃろうが!?」
私には何故魔王様が怒っているのかが分からない。理解はできるけど、分からない。
私は魔王様に一連の事情を話した。
「借金に困って賞金首を狩っておったと……」
「はい、仕方なく……ですが、相手も私の首……体を狙っていたのでお互い様だと思います。なので先に襲撃しました」
更に賞金首の犯罪者集団なら別に問題はありませんよねと魔王様に伺い申し出る。
襲われる前に襲っただけだ。
日本ではアウトだが、異世界ならセーフである。ソラも『無問題』と、『ゴミを掃除しただけ』と話していた。悪・即・金である。流石は魔族、実力主義者の集団だ。
私に借金を押し付けて逃亡した冒険者達も許されたのだから、私も許されてもいいと思うのだ。許してください。
「……気のせいじゃろうか。ワシ、同じような話を何度か聞いた覚えがあるのじゃが……」
魔王様がデジャヴを感じたと悩んでいる。
もしかすると、ソラが闇ギルドは絶好のお気に入りスポットと言ってたところからして、今までに何度も狩場にして騒ぎになってたのだろう。
魔王様は聞きたくなさそうにしながらも口を開いた。
「リッカ、お主まさかとは思うが……あやつ……ソラと関わりがあるとか言わんじゃろうなぁ」
「? 関わりもなにも、ソラと一緒に襲撃しましたよ」
もっと言えば、ソラと一緒屋根の下で半年近くも暮らしているのだ。がっつり関わっている。
「お主、頭は大丈夫かや? 本当に正気かや? どこか頭をいじられておらんかや?」
ソラとの関係を詳しく説明すると、魔王様が信じられない珍獣を見たと驚いている。
魔王様が本当に大丈夫なのかと心配していると、
「心配いらんだろ、こいつなら」
「いや、しかしのぅ、ギルド長……」
ギルド長がフォローしてくれた。
「リッカもソラと同じ《炎竜を煽りし者》の称号持ちだ」
「本当になにをやっとるのじゃあ!?」
気が合うんだろうと説明するギルド長に、魔王様は心底信じられないと私を見ている。
「あれ、でも結構有名な話しだと思ったんですが……私、半年前からずっとソラと一緒に暮らしてましたから、冒険者達の間でもかなり知られてましたよ」
そのせいで一時期は、冒険者ギルドの冒険者達全員から『キチガイ』『正気じゃない』『頭がいかれてる』『マジキチ』と、避けられまくりだった。
流石は魔王軍一のサイコパスの名は伊達じゃない。誰もがその名を口にしてはいけないと恐れていたよ。
でも最近は、何故か『聖女』『聖人』として逆に慕われつつあるけど。
何でも、ソラがまた表舞台に現れそうになったのを身を挺して阻止しているからだと言う。
ソラが復活してこの半年、世界が何事もなく正常であることが異常らしい。どんだけだよ。
それを含めて最近は色々な私の噂が多数流れていたはずなのだけど……知らなかったのかな?
魔王様は『ワシ、知らんのだが?』としてるけど、宰相様は『むろん、知ってましたぞ』としてる。
「ゼブルよ、ワシは聞いておらんのじゃが?」
「魔王様、むしろ私は報告書を何度も上げたのですが?」
「…………」
「読んでおられなかったのですな。大事な要件だとお伝えしたのに」
「よ、よんどるわい」
「そうなのですかな? 半年近くも家出をしていたのにですか」
「…………」
「この後で執務が半年分待っておりますぞ」
「はみゃあっ!?」
逃がしませんぞとする宰相様に、魔王様は涙目で私に助けてくれと手を伸ばしてくる。
いや、無理ですからね、魔王様。
流石に半年も仕事をサボって家出してたらそりゃ怒られますよ。
てかこれもう色々な意味でぐだぐだです。
もうこのまま有耶無耶のままで終わって早く帰りたいです。いいですよね、帰っても?
「おい、ディナーはまだか」
あ、そう言えばギルド長がいたんだった。魔王城に自由に出入り出来る資格の人がいないと私も地上に帰れないんだった。
というか、ギルド長はディナーを食べないと帰らなさそうだし……私も最後まで一緒に付き合うんだろうなぁ。帰りたい。
現実逃避しながら魔王様と宰相様のやり取り見守っていると、落ち着いたのか宰相様が声を掛けて来た。
「ところで、リッカ殿。最近は闇ギルド壊滅を含め、モンスターの襲撃、炎竜の襲撃などで中々のご活躍されている様子……もしよろしければ、御参考までにステータスをお教え願いないでしょうか?」
あくまでも後学の為にと話す宰相様。
えー、やだなぁ。
だって、私のステータスって商業ギルドにも闇ギルドにもおもいっきり流れてたんだよねぇ。個人情報の保護とかないようなもんだし。
でも、これって断れないよね。
お願いとか言ってるけど、宰相様のオーラというか圧力が半端ない。
もし断ったら分かってますよねとした雰囲気だ。強制ですね分かります。
まるでどこぞの大財閥の創設者しかり、内閣総理大臣並みの貫禄や威厳を晒しだす宰相様に、私は渋々とステータスを開示する。
私は今この人が魔王様だと言われても疑いもなく頷くだろう。
その隣では、何か面白そうだと本物の魔王様が無邪気に私のステータスは覗き見しようとしている。
ひとまずはと、左手の冒険者の証を操作してステータスを表示させる。
「ステータスオープン」
名 前:リッカ・エンマ
年 齢:16
種 族:リッチィ
レベル:26
スキル:秘書官
固有スキル:チラシ(改) 土魔法 クリエイトアンデット
加 護:▲◆◇★
称 号:わぁれの娘だぁ ダンジョンマスター ダンジョン撃破者 炎竜を煽りし者
「またレベルが上がってる」
いつの間にかレベルが4も上がってた。
もしかしなくても、前回のモンスター襲撃の時の経験値が入ってたんだろう。
魔力がアホみたいに増えてる。
筋力や持久力は微動だにしてないけど……はぁ。
「あれ、秘書官?」
スキル欄に新しいスキル、秘書官が追加されている。地味に嬉しい。
多分、地獄で閻魔大王様の秘書官を半年近くブラックな職場で頑張った成果であろう。
スキルは固有スキルとは違い、勉学や努力、経験で増えるスキルだ。
今まで固有スキルしかなかったので、何か努力が認められた感じで凄く嬉しい。
やったぜ!
と、無邪気にはしゃぐ私だったが……宰相様と魔王様が《秘書官》というスキルを目にし、凄く驚きながらも『にやり』と微笑んだのを見て、凄く嫌な予感――後悔することになった。
読んでくれてありがとうございます。
今年も残り2週間になりました。
やり残しは沢山あるけれど、少しずつ片付けなければ……!! 手付かずのマンガ本と電子書籍が減らない……むしろ増えていきますね。




