68 リッチィさん、忘れてた
すみません、1日遅くなりました。
まさか2日も寝込むとは……
総合評価が2400ピッタリで驚きました。
何故かテンションがあがりました。
追記、
すみません、先程に別の投稿作品を載せてしまいました。更新はまだしてないです。
「うぅぅ、痛いよぉ」
「当たり前だ、バカ野郎」
現在私は、痛む頭を揉みながらミラさんのお父さんでもある、門番のおじさんにめちゃくちゃ怒られていた。
「そんなに怒らなくてもいいのに……」
つい先程、久しぶりにダンジョンから出た私は半年ぶりに出会ったおじさんに声を掛けた。
今日はちょうど当直の日だったらしく、『おひさー』と声を掛けると、おじさんは私を幽霊でも見たかのように固まった。
それを不思議に思った私は『あれ?』と首をかしげていたのだが、再起動したおじさんは私をギュッと抱き締めたと思ったら頭に拳骨を落として来た。なんでぇ……
「生きてたんならさっさと顔を出せ……バカ野郎がぁ」
涙ぐむ顔で言うおじさんに心が痛む。本当にごめんなさい。
どうやらこの半年、私はモンスターと炎竜の襲撃に巻き込まれ死亡した事になっていたらしく、ちょうど私がマンティコアに首ちょんぱされた現場を冒険者が目撃していたそうな。
「心配かけてすみません。でも、私はアンデッド、リッチなので簡単に死ぬことはないので大丈夫ですよ」
「……あぁ、そう言えばそうだったな。お前が余りにもアンデッドらしくないから忘れてた」
うっかりしてたと、涙ぐむ顔から恥ずかし顔に変わるおじさん。
まぁ、そうだろうなぁ。
私も実は首ちょんぱされたとき、『あ、死んだわ』と思いました。
「しっかし、まさか首を落とされてもぴんぴんしてるとは……流石はリッチと言うべきなのか」
他のアンデッド種、ゾンビなんかも首を落とされたら死ぬのだから、おじさんが勘違いしてもおかしくはない。
リッチという種族がおかしいだけで、不死というチートな設定がとんでもないだけである。
しかもこの世界では伝説のお伽噺の種族扱いだし。そのせいで裏の組織が私を虎視眈々と狙って動いてるみたいだしね。
「あまり心配かけんなよ。ミラもアリアも凄い落ち込んでいたし、ミラは緊急クエストを受けさせた事を後悔してたからな。ミラとアリアはお前を家族だと思っているぞ」
勿論、俺もなと渋い声で笑うおじさん。
あぁ、やっぱりおじさんの家族はとても優しい。この世界に来て、初めて出会ってお世話になった家族。
一時は、急に異世界に召喚にされた事で、これからの生活に頭を抱えていたけど、おじさんやその家族に助けられここまで無事に生活基盤を作る事が出来た。
受けた恩は余りにも大きい。
色々と助けてくれた閻魔大王様も勿論、目の前のおじさんを見てると自然と涙と顔が緩む。
何故か私を見て『うぐっ』と固まり声を漏らすおじさんの渋い声は、やはり何処か懐かしく暖かい。
感極まっておじさんに抱きついた私は悪くない。
後ろの方で、『リッチィちゃん、生きてたのか!?』『か、かわいい』『知ってたか。あの人、あれで妻子持ちなんだぜ』『浮気かな? 通報しなきゃ』『ロリコン』『うらやましね』と聞こえて来たが、私は何も聞こえなかったと抱き締め『あなたはこの世界で出会った私の初めての大切な人です』とお礼を言った。
◇◇◇
「うぅぅ、恥ずかしい」
がらにもなく泣いてしまった私は、おじさんにその場から追い出されるように冒険者ギルドに向かっていた。無事なら冒険者ギルドに報告しないといけないらしく、おじさんからさっさと行けと追い払われた。
それにしても、最近の私はどうもおかしい。
感情が直ぐに表に出て行動してしまう。
前世ではそんな事はなかったのに、一体何故なんだろう……そう言えば、閻魔大王様のせいでしたね。全部、隠し事が出来ないこのボディが悪い。
ため息を吐きながらも私は無事に冒険者ギルドまでたどり着き、その扉を押し入った。
扉が開くと同時に、室内の酒臭い空気が外に漏れるのは相変わらずだ。
酒場はとても騒がしい。
朝から飲んだくれてるとは、羨ましい働けよお前ら。
酒場の方では『ガハハハハ』と笑い声が響いて盛り上がっていたのだが……私が一歩一歩進むと急に静かになっていく。
皆の視線が私を貫く。
はい、分かります。
おじさんの時と一緒で、まるで幽霊でも見たかのように固まり動きを止めている。
遠くで顔見知りの冒険者達が口を大きく開けて驚いているのが見える。
私は微笑みながら手を振り、まずは生存報告をしないといけないと受け付けを目指した。
やはりこの時間帯は冒険者達で混雑しているらしく、私は静かに中を進み空いている受け付けを探していると、
「え、まさか……り、リッカさん?」
ミラさんから声が掛かった。
約半年ぶりに目にしたミラさんの姿は変わらず、綺麗な茶色の髪を伸ばした獣耳の美少女受付嬢だ。
「ほ、本当にリッカさんですか……?」
「はい、私ですよ」
冒険者で並ぶ長い行列から飛び出し駆け寄るミラさん。冒険者達も突然飛び出したミラさんに驚き、私を見て更に驚いている。
恐る恐ると、ミラさんが私の頭から爪先まで確かめるように触ってくる。
「本当に、リッカさんです。信じられないです、生きてたんですか? 死んだって聞いて……」
「大丈夫ですよ、ちゃんと私は生きてます。それに私はアンデッド、伝説のお伽噺の種族リッチなんですよ。そう簡単には死にません」
「……そう言えば、そうでした、ね」
おじさんと同じ反応をして涙ぐむミラさん。
やっぱり親子だ。
そのミラさんの反応に、私の隠しきれない感情が再度現れる。自然と涙と顔が緩む。
恥ずかしい。
とても恥ずかしい。
今の私の顔は想像出来ないくらいに恥ずかしい。
ミラさんの顔が真っ赤に染まって私を見ている。
周りの野次馬も顔を真っ赤に染めているのが分かる。
とりあえず本当に恥ずかしいので、ミラさんを抱き締めて顔を隠してたら力の限りに抱き締め返された。く、苦しい……。
ギュッと抱き締めてくるミラさんの影から、他の冒険者ギルドの受付嬢さん達が涙目で此方を見ている。オバちゃん、久しぶり。人魚さん、それどうやって地上で歩いてるんですか? 吸血鬼っ子ちゃん、あなたはどうしていつも私に怯えているのかな? ギルド長は……いませんね。お食事ですかね。
そろそろ本当に苦しくなってきたので、ミラさんの背中をギブアップとタップする。
正気になったミラさんが『あっ』と思い出し、恥ずかしそうに顔を上げる。
初めてみるミラさんの顔に、私は思わず微笑み返すと再度力の限り抱き締められた。なんでぇ……
そんなこんなで、ミラさんが飽きるまで抱き締められていた私はやっと解放された。
「あの、とりあえず生存報告がしたいのですが」
「はい、分かりました。此方で死亡届けは解除しておきますね」
「ありがとうございます」
先程とはうってかわって、いつもの受付嬢の顔に戻ったミラさんが手続きをしていく。
「ところで、リッカさん」
「なんですか?」
ニコニコとミラさんが問い掛けてくる。
「この約半年間、一体どうしてたのですか?」
「あぁ、それはですね――」
まさかこの約半年間、地獄で労働をしていたとは言えず、私は復活するのにダンジョンで眠りこけていたと説明。
「ふふふ、そうですか」
ニコニコと返事を返すミラさん。
なんだろう、何処か物凄い違和感――嫌な予感がする。
「それではリッカさんは、この約半年間、何もされてなかったと言う事でよろしいですか?」
「え、あ、はい……」
額から冷や汗が流れる。
有無を言わせずとしたミラさんの迫力に押される。なんでだろう。
私の返答に、ミラさんはとても良い笑顔で言葉を吐いた。
「リッカさん、借金600万ゴールドの返済期間は覚えていますか?」
「……あ」
ミラさんの言葉が私を貫いた。
私はすっかり忘れていたのだ。
借金600万ゴールド、その返済期間が――
「600万ゴールドの返済期間は半年間、つまりは残り1日――明日の朝までとなっております」
私はその場で絶望した。
書いてて気付きました。
自分、ここまで異世界の月日や曜日の設定を一切触れてませんでした。
なのでここに簡単に書いときます。
日本と地獄は同じ月日と曜日ですが、異世界では1ヶ月が28日間の週が7日です。月4週です。
日本時間と異世界時間のズレの半年はだいたいで合わせて適当なのでごめんなさい。
細かい事はいいんだよとご都合主義と言う事ですみません。頭がボーっとしてギブでした。




