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リッチ(金持ち)を願ったらリッチ(アンデッド)にされたんだが?  作者: キヒロ


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60/120

60 リッチィさん、防衛戦に加わる

話数が60話を超えました!!

ここまで書き続けられるとは自分でも思ってなかったので嬉しいです。

 

 何かがおかしかった。

 城都の住民や冒険者ギルドの冒険者達が忙しそうに動いているのだ。

 冒険者ギルドに入ると、ミラさんが焦ったように『モンスターの襲撃です!!』と教えてくれて、続きを説明してくれた。


「モンスターの大群が魔王城都に進行中です。恐らく数は一万、あと数時間程でモンスターがここに到着する見通しです。冒険者達は全員が召集されることになりました。リッカさんも準備が整いしだい城門までお願いします」


 いつになく真剣なミラさんが私を見ている。

 それは私個人ではなく、一人の冒険者として私を見ている。


「はい、分かりました。私も準備が終わったら直ぐに行きますね」


 流石にこんな真剣なミラさんに嫌ですとは言えない。

 正直、絶対に行きたくはないけど!

 ダンジョンに籠りたいけど!

 お家に帰りたいけど!


 ……だけど、逃げる訳にはいかなさそうだ。


「……よろしくお願いします、リッカさん」


 ミラさんが心配そうにしながらも頭を下げた。

 これは本当に逃げてはいけないやつみたいです。



 ◇◇◇



 説明を終えたミラさんから離れ、冒険者ギルド内をうろつく。

 とりあえず準備するとは言ったものの、何を準備したらいいのやら。

 やっぱりポーションかな?


「おい、ポーションの予備はこれだけか! もっと集めて来いって言っただろうが!!」

「すまん、だけど今はこれで全部なんだ。あのクソ野郎、メリー商会のやつらが先回りして根こそぎ買い漁ってったんだ」

「あぁ!! なに考えてんだあのタヌキは!?」

「メリー商会の奴らからポーションを卸してやってもいいが、ポーションの定価の三倍は払えと言われた」

「あんのクソタヌキがぁああああ!! 状況が分かってんのか!!」

「商業ギルドマスターからポーションを無償で提供するそうです。ですが、在庫があまりないので数は期待はするなと」

「本当かッ!? 助かるぜ、流石クマ。よし、誰か商業ギルドマスターのクマからポーションを受け取りに行って来い!!」


 どうやらポーションは売り切れらしい。

 冒険者ギルドの職員さん達が額に井形を製造しながら叫んでいる。

 タヌキ最低だな、クマさんは流石クマさんだ。

 それにしてもメリー商会か。

 商売根性も逞しいのは分かるが、流石に状況が状況なだけにドン引きだ。

 ある意味で恐いもの知らずで恐ろしい。

 全方位に喧嘩を売りながらも商売優先。

 敵に回したら厄介そうだ。

 あ、そう言えばもう敵認定されてましたね。

 メリー商会の会頭のタヌキに。

 しかもこれから後で商業ギルドマスターのクマさんと一緒に喧嘩を売る予定です。


 ポーションは諦め、武器か防具でも探して見ますか。


「ああ!! メリー商会のやつらが武器を根こそぎ持ってっただと!?」

「すみません、防具も根こそぎ持っていかれました……」

「あのクソタヌキがぁああああ!! ぶっ殺してタヌキ鍋にして喰ってやる!!」


 ど、どうやら武器も防具も売り切れらしい。

 ここまでするのか、メリー商会。

 頭がおかしいんじゃないかな。

 流石にガチでドン引きしてます。

 マジでこれに喧嘩を売るの?

 クソさん本当に大丈夫?


 考えてみれば、私はアンデッドだった。

 不死のリッチなのでポーションも防具も必要ないか。

 武器はどうせ小さいナイフくらいしか持てないし、いざとなったら切り札のオリハルコンもある。


 特に準備はいらないな。

 ならとっとと城門に向かうかな?

 いや、待てよ、そう言えば……。

 うん、いざというときの切り札は多いほうがいいか。

 とりあえずはと、私は切り札を取りに()()()()()()()()()()()



 ◇◇◇



 準備を終えた私は、城門に集合していた。


「うわぁ、こんなに沢山いたんだぁ」


 武器や防具を持って現れる冒険者達。

 魔族といっても、沢山の種族がいるようだ。

 見渡すだけでも色々な種類の種族がいる。


 例えば、獣人、鬼人、巨人、魚人、鳥人、虫人、魔人、魔女、悪魔、スケルトン、リザードマン、エルフ、ドワーフ等々。


 予想以上の種族がいる。

 どうやら魔族とは、人間種以外の者、全員が魔族らしい。


 これに進んで敵対してる人間がアホ過ぎて逆に恐い。

 どんだけなんだろう、この異世界の人間って。


「え、マジですか……」


 凄いのを見つけました。

 興奮が止まらない。

 ゴブリンやオークが武器や防具を持って集合している。

 モンスター枠じゃないんだな。


「ん、なんだ? オレにようか?」


 じっとゴブリンやオークを見詰めていると、ゴブリンさんが近寄ってきた。


「あ、いえ、特にようは……すみません、ちょっと初めての光景なので驚いてました」

「なんだ、オマエ新人か? なら仕方ないな、モンスターの襲撃は初めてなんだろ。色々と教えてやるよ」


 どうやら見掛けの割りにとても良いゴブリン――魔族みたいだ。

 色々と今回のモンスター襲撃のことを教えてもらった。


 どうやら魔王城都へのモンスター襲撃は年に数回あるらしく、そんなに珍しい訳ではないらしい。

 だが、今回はちょっとモンスターの襲撃の時期が外れているらしく、魔王城都にいる冒険者がかなり少ないみたいだ。

 何でも人間との戦争が長引いていて、人間領と魔族領の境界線に兵士や高ランク冒険者が取られているらしい。


「オレはもしかしたら、人間どもの策略だと思っている」

「策略、ですか?」

「あぁ、そうだ。この時期に普通はモンスターの襲撃は起こらない。きっと人間どもが魔王城に兵士や冒険者がいないのを狙ってやってるんだ」


 戦争が長引いているのがその証拠だなと話すゴブリンさん。

 ごめんなさい、戦争が長引いているのはきっと私のせいです。

 私が王国の勇者召還をぶっちしたので、王国側は混乱して私を探しているので指揮系統がマヒしてるんです。


「……あれ、でも、それならどうやって人間はモンスターの襲撃を起こしたんですか?」


 ちょっと気になったので聞いてみる。

 こんなに簡単にモンスターの襲撃を起こせるなんて、どうやってるんだろう。


「ふっ、それはな。炎竜だ」

「……へ?」

「奴ら人間ども、どうやら炎竜を上手く刺激したらしくてな。炎竜を広範囲に暴れさせたことで、周辺のモンスターを追い出し魔王城に誘導してるんだ。その証拠に、災厄の森の半分が焼失した」

「…………」


 ゴブリンさんは名推理だろと語る。


 ごめんなさぁああああいッ!?

 それ、全部、私の、せいです!!

 いや、半分は『漆黒の傭兵団』のせいなんだけど、せいなんだけども!

 ああああ、どうしょう。

 これ本当に私が炎竜を刺激したせいなの? そうだよね。


「ん? どうした、新人。そんな思い詰めた顔して」

「い、いえ、ちょっと罪悪感で……何でもないです」


 マズイ、顔に出てたようだ。

 あれ、でも、私が災厄の森で炎竜を相手にやらかしたって、みんな知らないの?

《炎竜を煽りし者》の称号騒ぎで結構やらかしたと思ってたんだけど……本当に?

 考えてみたら、あの時に直接関わったのは駐屯所と城門の兵士数名とギルド長のみ。

 もしかして、商業ギルドの時のように色々とギルド長が動いてくれたの?

 口止めしてくれたの?

 ありがとー!!

 ギルド長、マジで愛してる!!

 男だったら本当に惚れていたと思います。

 ギルド長、あれで凄い美人だしね、大食いだけど。悪食だけど。

 後で本当に色々とご馳走しないと。

 私の体は食べさせられないけど(物理的に)、野菜やらお魚やらクラーケンとかは沢山あるしね。


「お、おい、どうした、大丈夫か? さっきから沈んだり上がったりしてるが……」


 マズイ、ゴブリンさんが私の百面相を見て心配してるみたいだ。


「ゴブリンさん!?」

「お、おう、なんだ急に。ちなみにオレはゴブブブだ」

「ゴブブブさんは凄いです。名推理です」

「そ、そうか?」

「はい、名推理です。悪いのは人間達だったんですね、本当に凄いです!」

「そんなはっきり言われると、照れるなぁ……で、なんでオマエは顔をそむけてんだ?」

「気にしないで下さい! 恥ずかしくて……私、顔に出やすいので。ゴブブブさんは凄いです。とにかく凄いです。悪いのは人間、全部人間が悪いんです」

「お、おう、ありがと、な」


 やった!

 もう全部、人間のせいにしてしまおう。

 悪いのは人間、私を召還した王国が悪いんだ。

 こうなったら全部押し付けてしまおう。


 あの、ゴブブブさん。

 私の顔を見ようとしないで下さい。

 本当に顔に出るので、出ちゃってるので、嘘がバレちゃいますから止めてね。


 そんなこんなで、ゴブブブさんから色々と教わっていると、


「モンスターが来たぞーー!!」


 城門の高台で見張りをしていた冒険者から声が上がった。


 その声に反応して、私はモンスターの群れを見つめる。

 物凄い大群だ。

 おのれ人間ども、ユルサンゾー!


「……あれ?」

「どうした、新人」

「いえ、あれって……」


 ここから目視出来るモンスター。

 その先頭にいる第一陣のモンスターって……ゴブリン?


「あの、もしかしてゴブブブさんの親戚とかですか? それなら早く止め―――あんぎゃっ!?」

「新人、オマエ、この状況で冗談を言えるとか余裕だな。ぶん殴っていいか?」

「うぅぅ、もうぶん殴ってるじゃないですか……痛いです」


 何故か拳骨を落とされた。

 真面目に聞いたのに……。


「ん、あれ、オマエ、本当に知らずに聞いたのか?」

「……そうですけど、なにか?」

「いやいや、あり得んだろ。新人でも、魔族なら誰もが知ってる一般常識……常識? おい、オマエ、まさか」

「………?」

「オマエ、いま噂のリッチか!? あの世間知らずの大馬鹿者のヤバい奴って噂の!!」

「あの、本当に私の噂ってそれで定着してるんですか? もっと色々とあると思うですが、なのにそれなんですか?」


 本当にその噂は止めて欲しいです。

 他にもっとないんですか?

 伝説の種族とか、お伽噺の存在とか、有名な傭兵団を一人で壊滅させたとか、ダンジョンで沢山の冒険者達を救ったとか!

 もっと色々あるのに何でそれなの?


「モンスターの第一陣が突っ込んで来るぞーー!!」


 ちくしょう!!

 とりあえず生き残る為に頑張ろう!!


読んでくれてありがとうございます!

今日は午後からワクチン接種に行って来ます。

副作用がどうとかよく聞くので準備万端で行きます。

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