52 リッチィさん、商業ギルドへ②
「クマも色々なアホは見てきたクマが、お前は本当に噂通りの世間知らずのアホ、クマな」
ちょっと待って!
誰だ、その噂を流した奴!!
「みんな知ってるクマよ。お前んとこのギルド長が昨日のさわぎで言ってたクマな。一般常識も知らない大馬鹿野郎のかわいそうなやつクマてな」
昨日ということは冤罪事件の事か!
てかギルド長ぉぉ……
昨日は私を庇うために言ってくれたのは分かるんですが、ありがたいんですが、もう少し押さえてほしかったです。とんでもない噂が流れてますよ!?
「ちなみにお前、なんでいまクマがお前をアホと言ったか分かるクマか?」
「…………」
「分からんのクマな」
まだ何も言ってないんですが。
「顔で分かるクマ。これも噂通りクマな」
本当に何処まで私の噂は広がってるの?
「まぁ、いいクマ。それよりもお前はおとなしく話を聞くクマな」
とりあえず、もう諦めて話を聞く事にする。
「お前、海の日は知ってるクマな」
「?」
「マジかクマ。さすがに引くクマよ」
ギルドマスターは続きを話してくれた。
「海の日はクマな、月に1度おきるツナミの日クマ」
ん?
ツナミ?
「そうクマな。ツナミの日は魔王城都、この大陸全域全てがツナミにのみこまれるクマ。おいお前、なんだその顔はクマ。クマはウソつかないクマ」
んー、まぁ、はい。
「いっとくクマがな。海の日は500年前に召還された勇者がひきおこした三大災害の一つクマよ」
すみません、すみません、信じました。
「やけに素直クマね。まぁ、いいクマ」
ギルドマスターは続ける。
「500年前の勇者が海の海神を怒らせたけっかクマ、この大陸は月に1度、海神の怒りでツナミにのみこまれるクマ。その影響クマね、この大陸ではどこでも塩がとれるクマ、大量にクマな」
区切るようにはっきり言うギルドマスター。
あぁー、そういうことかぁ。
どうりで、ギルドマスターが私を馬鹿な娘を見る眼で見てたのですね。
そりゃあ、津波が引いた後は残った海水が蒸発して塩が残りますよね。大量に、取り放題です。
「理解したクマね。よかったクマ。お前、はなしが通じるアホ、クマな」
確かに、大量にタダで取り放題の塩を商業ギルドに自信満々で売りに来るのは話の通じないアホだけだ。
「ちなみに明日はツナミの日クマ」
「え、本当に!?」
「夜からクマな」
ヤバい、本当に知らなかった!
「お前、明日はうちでおとなしくしてるクマ。マジしぬぞクマ」
そうですね、危うく知らずに出歩くところだった。ありがとうございます。
「ツナミの準備は……お前、ダンジョンだから心配いらないクマね」
「そうですね、ダンジョンの中は外界からの影響は受けないみたいですし……て、あれ?」
私、ギルドマスターにダンジョンに住んでること伝えたっけ?
「ふん、クマ。お前のことはアイツ、お前んとこのギルド長からきいたクマ。いろいろクマね。お前、アイツに感謝にするクマよ。お前きたらいろいろ教えろいわれたクマ」
そうだったんですか。
知らなかったです。
ギルド長、なんだかんだ面倒くさそうにしながらも色々と手を回してくれてたんですね。本当にありがとうございます! そうだ、後でなにかお礼……食べ物でも差し入れしましょうか。ちょうど、チラシのスキルが沖縄地方なのでいいかもしれませんね。
「お、お前、クマにもちゃんと感謝するクマな!」
ギルド長への差し入れを考えていたら、どうやら目の前のギルドマスターが拗ねたようだ。
「クマありがとうクマねー」
「お前、ぶち殺されたいクマか?」
冗談です。
私はギルドマスターに視線を合わせるように屈み込み、
「本当にありがとうございます、とても助かりました。また今度、落ち着いたらお礼をさせて下さいね!」
今できる精一杯の感謝の言葉を込め頭を優しく撫であげる。
「ふんッ、クマ! 分かればいいクマ」
「はい、感謝してます」
撫でていると、ギルドマスターの顔が真っ赤に染まっていく。
面白いのでもうちょっと撫でて、
「いつまで撫でるクマッ! さわんなクマな!」
やり過ぎたようだ。
「失礼します、ギルドマスター」
そんなこんなしてると、扉のノックが鳴り、受け付けをしてくれたエルフのお姉さんが飲み物とお菓子を差し入れてくれた。
「リッカ様、どうぞ」
「ありがとうございます」
エルフのお姉さんから飲み物を受け取り一口。
ほのかに香るリンゴの紅茶の味だ。
甘味はないがスッキリして美味しい。
そしてお菓子を一口。
んー、微妙だ。
美味しいけど、何かいまひとつ足りない。
てかこれカステラじゃね?
でも味は微妙に違う。
見た目はカステラなのに……謎だ。
美味しいではあるんだけどね。
久しぶりに飲む紅茶とカステラ擬きを味わっていると、向こう側に座るギルドマスターがニャニャと笑っている。
「飲んだクマな、食べたクマな? これで契約成立クマ。ちなみにお前はもうクマな奴隷クマよ」
「――ぶはっ!?」
「じょうだんクマよ」
「殴っていいですか?」
グーでな!
最近、やたら私の奴隷関連の話があって敏感なんです。本当に止めて。
私に仕返しが出来たのが嬉しかったのか、ギルドマスターは笑顔で再度忠告をしてくれた。
「明日はツナミの日クマ。お前はちゃんとおとなしくしてるクマよ。まぁ、ツナミがひけば収穫祭クマね。取りのこされたサカナ取りほうだいクマ!」
マジですか!
新鮮なお魚祭りだ!
「にしてもお前、なかなか面白いクマな。気にいったクマ。奴隷におちたらクマがかってやるクマ。感謝しろクマ」
「お、おぅ……」
気持ちは嬉しいけど、奴隷は勘弁して下さい。
それにしても、ミラさんに続いて二人目だ。
そんなに私を奴隷にしたいのか?
少し話し込んでいると、ギルドマスターも流石に次の予定が詰まっているような感じだったので、私は今日はおいとますることにした。
「帰るクマか?」
「はい、そろそろ今日は失礼しますね。そちらもお忙しいみたいですし」
「そうクマか。ところでクマ、透明の膜はほんとにムリなのかクマ?」
「あー、あれは………すみません。本当に製造過程が分からないんですよ」
「そうクマか。残念クマな」
塩の袋や品物のカバーで付いてるビニール等は購入すれば仕入れられるけど、それはちょっと面倒くさいというか、凄く面倒くさい。
チラシにビニール袋の広告が出れば別にいいんだけど……ビニール袋が載ってるチラシって見たことあまりないんだよなぁ。
待てば何時かは載るだろうけど、期待させるのもあれなので断っておいた方が無難だ。
ギルドマスターに改めて無理な事を伝え、個室から出ようとした所でふと思い出した。
あれ、そういえば私、借金返すために来たのに何も出来てない。
ギルドマスターに怒られて一般常識を習っただけだ。
いや、別にいいんだけどね。
とっても助かったし。
だけど、このまま帰るのも何か勿体ない気が……そうだ、ダンジョンで栽培している野菜を相談しょう。どっちみち、野菜の販売ルートを何時かは見つけないといけなかったし、丁度いい。
とりあえず、ギルドマスターも忙しそうなので簡潔にだけ伝える。
ダンジョンで野菜作ってるよー!
よし、今日は帰ろう、そうしょう。
「おい、お前、ちょっとまつクマ。ちょっとお説教クマ」
なんで!?
読んでくれてありがとうございます!
すみません、筆が全然進まないです。
暫く2~3日更新が続きます。




