13 リッカさんが消えた後の店舗2
本日2話目になります。
「はい、その件では本当にご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「いえ、ですからお預かりしてから後日、修理をさせて頂いてからと……」
「はい、大変申し訳ないのですが……」
時間はお昼過ぎ。
本来ならば昼休憩でシフトを回さないといけないんだが……
『ふざけんなよ! なんでこんなに待たされないといけないんだよ!!』
『ちょっと、何時まで待たせる気なのよ! 私はこれから行くところがあるの、早くしてくれませんこと!』
クソ忙し過ぎる。
開店当初は20人待ちのお客さんが、今では40人を越えている。
接客待ち時間も当に3時間を超えており、ホールの所々から罵声が聞こえてくる。
「店長! 3番と4番からお電話が!」
「今は別の対応中だ。後からで良ければ此方から掛け直すと言って待っててもらってくれ。お名前と電話番号を聞き忘れるなよ」
まぁ、此方も似たり寄ったり何だがな。
受話器越しから耳に響くくらいの怒声が聞こえてくる。
「店長! 本部から今現在の状況を報告しろとお電話が」
「後にしろ。この状況が分からんのかバカ野郎と言って切っておけ!」
本部は馬鹿なのか?
現場の状況を少しは考えろ!
店内が待ちのお客さんで溢れ返っているぞ!
「て、店長、ホールのスタッフから、お客さんに真っ赤なスーツを着た怪しい人が来てると……」
「真っ赤なスーツだと? こっちは手一杯なんだ、そっちで対応してくれ」
なんだよ、真っ赤なスーツって。
気にはなるが、それくらいで慌てるんじゃねぇよ。
人を見た目で判断したらこの仕事はやってらんねぇぞ。
この前なんかヤクザ顔負けの強面なお客さんが苦情で怒鳴り込みに来ていたが、話せば分かってくれる良い人だったってリッカが話してたぞ。
なんかその後に色々とカードやら新規の携帯を契約させていたが、アイツの心臓は鉄で出来てるんじゃないだろうか。
「てか、リッカはまだ来てないのか!? もうお昼過ぎだぞ!」
流石にこれは遅すぎる。
もしかしてまだ寝てるとかじゃないだろうなあ。
「すみません、リッカさんに先程電話したんですが、電源が入ってないみたいなんです……」
あの野郎!
寝るときは必ず電源を入れとけって何度も……いや、昨夜電話は通じたんだからそれはないか。
「店長、すみません。3番席のお客さんからリッカさんを呼べと申し出が……」
「またか……リッカならまだ来てない。外回りに出てると言っておけ」
今日で一体何度目だ。
ホールでフロア案内を任せていた佐藤が顔を出して来た。
リッカは真面目にお客さん対応するからなのか、あれで妙に人気がある。
「凄いですね、リッカさん。やっぱり何時も真面目に対応しているからなんですかね」
そう言えば、昔に佐藤を教えていたのはリッカだったか。
「普通、お仕事だからってあそこまで親身に対応できませんよ。やっぱり、何かベテランとしてのコツがあるんですかね」
まるでリッカを遣り手の営業マンのように話す佐藤だが、お前は勘違いをしている。
あれは素でやっているんだぞ。基本何も考えてないぞ、アイツは。
リッカは変にお人好しだから親身に対応することが多い。
だからなのか妙な固定客がついてる事が多々あり、店舗としては本来ならばありがたい筈なのだが、たまにリッカ目当てに無理矢理クレームを入れにくる困ったお客さんがいるのだ。
今はマシだが、昔はよくストーカー被害にあって泣いてたな、アイツ。
男の癖に泣くなと、よく昔の上司と励まし弄ってはいたが、まさか男女問わずストーカーされているとは思わなかった……すまん、リッカ。
「店長、5番からお電話が……」
「分かってる。俺が出るから繋いでくれ」
そんなこんなしてる内にまたクレームの電話が……て言うかこのままだと回線がパンクするぞ?
「佐藤、少し厳しいかもしれんが、ホールスタッフの昼休憩を回し始めてくれ。人が足りない場合は裏のスタッフから調整するか、最悪は俺がホールに出る」
「はい、分かりました。でも、裏はいいのですか?」
良くはねぇよ。
だけど、労働基準法でそうなってるから仕方ねぇんだよ。
最悪、昼休憩を夕方から回す事も出来るが……アイツらの疲れた顔を見てたらそうもいかない。早く飯を食って休んでもらわないとヤバイ。
「じゃあ始めは林田から休憩を回してみます」
「あぁ、頼む」
林田か、ちょうどいいな。
アイツ、今日は少し挙動不審だったから早めに休んだほうがいいだろう。
「佐藤、ちょっと待て」
「はい、何ですか?」
「お前もホールのフロア案内で一番疲れてんだろ。これでも舐めておけ」
ホールのフロア案内スタッフは朝からずっと立ちっぱなしだからな。それに時間を気しながらスタッフやお店を回したり、待ち時間の調整等で一番頭を使う役割だ。
「ありがとうございます。美味しいですね、これ」
「あぁ、リッカが気に入って常に買い置きしている飴だからな」
何でも疲れた時は糖分を取るのがいいのだそうだ。
「それにしても、あの真っ赤なスーツの人の免許証見ました? 住所が地獄の一丁目って……俺、この仕事して始めてそんな地名の場所があるって知りましたよ」
「分かった。俺がホールに出るからお前は休憩を取れ。今すぐに」
お前は酷く疲れてるんだ、もう休め。
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ちなみに続くかは未定です。




