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ブロロロロローーーーーーーーー!

 ブロロロロローーーーーーーーー!

 ブロン。


  家の外に響いたエンジン音。

 コユキが帰って来たな。

 ここは村の我が家。


 ギィーバタン!

「ラララ、ただいま~!」

「おかっ、ぐ!」


 ドアから入るなりラララに抱きつくコユキ。はい、俺とボロリエは置物です。

 ラララをぎゅうぎゅう抱き締めて上からラララの頭に頬をすりすり。


「今日私頑張ったんだよ!鬼を11匹も倒したの~」

 尚もラララをぎゅうぎゅう抱き締めるコユキ。

 いかん、ラララが後ろに倒れそうだ。


「す、凄いわコユキ」

 何とか返事をするも、ラララのピンチは明らかだ。ラララが土俵際で押し出されまいと海老ぞりで耐えてる小柄力士にしか見えない。


 この間やって来たサクラ姫がコユキに抱きつこうとしたときは、必死に避けていたのに自分がラララに抱きつくのはオッケーらしい。


「ちょ、コユキ、落ち着いて」


 必死に身体をよじらさてコユキの腕から逃れようとするラララ。だが、霊長類最強の女から逃げられる筈がない。


「んん~ん、ラララやわらかーい!」

 いえいえ、ラララもちゃんと働いてます。筋肉も目立たないけどちゃんと有ります。それを柔らかいというのは失礼です。それとも()()()()()を触っているのですか?


 コユキの手の位置を見る。

 はい、アウトです。

 ええ、そこは柔らかいでしょうねえ。

 俺がコユキに触るのはアウトなのに貴方がラララに触るのはオッケーですか。そうですか。

 俺は主人(おっと)じゃないけど御主人様なんだがなあ。


「あら?」

「そろそろ離して・・」

「大きくなってない?」


 ガタン!

 俺とボロリエが反応する!


「な、なってない!気のせい!」

「いーえ、この間と違うわ」


 前にも触ったのかい!

 そういえばラララも桜の木に抱きついてたしなあ。

 そうかそうか。



 俺も今日、鬼を何体も倒したんだけど、抱きついたらダメかなあ?ダメだろなあ。




 ーーーーーーーーー





 最近、バイクを買いました。0円で。

 バイクは主にコユキが乗っている。

 黄色いモトクロッサーで馬力の有る奴。ウインカーは無い。ライトは付いてないが夜は強力なライトをくくりつける。

 最初からライトついてるトレールバイクにすれば良かったのだけど、ライトが無いことに気付いたのは取り寄せてから。それでもコユキはまあいいやと答えた。


 自転車すら乗ったことがないコユキがバイクを操作出切るのか? だが、1日で乗れるようになりやがった。運動できる奴は違うわ。あのめんどくさい変速とクラッチも難なく覚えやがった。俺、未だにニュートラルに入れるの苦労してるのに。


 まあ実際は無傷で覚えられた訳ではなく、何度かコユキにヒールしたし、家の脇にはフロントフォークがひんまがったバイクが一台転がっている。一応、パーツ取りとして置いてある。キックベダルとクラッチレバーは既に再利用された。修理はなんとガガガがやってくれた。ガガガは機械の原理は理解してないが、工具の使い方は既に頼りになるレベル。まあ、チェーンソーや車の軽修理は素人ながらも頑張ってしてたしな。


 で、なんでコユキにバイク与えたかというと、ズバリ機動力。コユキは俺と違って現地人で他領の地理にも詳しい。バイクは車より狭い道も行けるし。

 そして単独でも鬼を退治できるコユキはバイクで走り回る。俺は車で近場ばっかり。


 とはいっても、鬼はどこに出るか判らないし、あちこちに散らばっている。退治役はひとりふたりでは足りない。


 そこで、エチゴヤの若い衆、つまりコユキの弟子と『鬼対策班』が組織された。エチゴヤの若い衆は有能だ。コユキには遠く及ばないがなんとか鬼を倒せる。ボロリエより有能だ。因みにボロリエもコユキに課題与えられて修行中。

 かつてギルドに潰された「鬼斬りの衆」を形は違えどコユキが復活させたとも言える。コユキにとっては悲願であり、一族、先祖への罪滅ぼしでもある。


 鬼対策班全員には高出力トランシーバーが与えられて連絡を取り合っている。

 これで四つの町を繋ぎ、届かない場合に備えて、途中にも中継駐在員を配置している。

(電話があればもっと楽なのに)


 コユキは普段は後任若手の指導をしているが、班からヘルプ要請が来るとバイクで飛び出すといった具合だ。


 エチゴヤやオーリンもトランシーバー欲しがっていたが、どこまで渡していいかは悩み中である。オーバーテクノロジーが何か既存の産業破壊しそうだし。




 そして、コユキだけが持ってる特殊装備。スマホ大の生体反応観測機。鬼と人間の観測ができる凄い奴。


 これは俺のナビ能力の子機。

 この間、神様に指導されながら作った代物。

 これを作るのは大変だった。


 日本のテクノロジーではなく神のテクノロジー。

 必要なものはベースにする電子機器と俺のSTAP細胞。

 構造説明は省略。とんでもない苦労と痛みの末、1個だけ作り上げた。凄い作業で何度か自分にヒール使ったわ。


 この子機を現場でコユキが使うのだけど、空間観測したデータを俺の身体に転送して、俺のナビを使って解析して結果をまた子機に転送するというシステムになっている。つまり、俺が死ぬとこの子機もダメになる。

 これに通話とか画像転送とか出来れば色々役に立つのにと思ったけれど、神様に『データ多過ぎ』と言われて他の機能は没になった。まあ、トランシーバーで何人か中継すればなんとか連絡は取れるんだけどね。

 スッゴい遠くだと無理だけど。





 ふふふ~んと上機嫌で風呂に向かうコユキ。

 全ギルド壊滅させてからコユキは機嫌がいい。俺の方は慣れない人死にで落ち込んだってのに。



「はいっ!」

 俺に向かって笑顔で両手を大きく広げるラララ。


「え?」


「コユキの代わり!」

 優しいなあお前。

 うるっときちゃったよ。

 俺はそっとラララを真正面から抱き締める。良い匂いだ。昔は小汚ない臭い子供だったのにすっかり良い娘になったよ。



 あ、確かに大きくなってる。

 はっきりと存在する!

(揉んでません)


「よしよし。お仕事ご苦労様」

 何故かラララが俺の頭を子供の頭を撫でるように撫でる。あれ?


 ラララが俺の背中側から頭に手を伸ばしてるから、アレが当たる。頭を撫でる度にむにむにと。





 ラララ、ブラ必要だわ。




 そしてラララが()()()俺に当てながらこう言った。


「 車 頂 戴 」



 ラララ、女の武器を使うこと覚えやがった。




「・・・・はい」





 ボロリエ、こっち見んな。

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