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第44話 『日蝕の時 前日』

 決行前日は仕事を休んだ。体調が悪いということにした。実際はもちろん、昼夜逆転による体調までしっかりと整えている。怪しまれるので、委員長は有給休暇、一琉は当日仮病、加賀谷は無断欠勤して、有河には普通に出勤してもらった(でも途中で帰りやがった)。


 その日、文化会館の奥、いつものアジトに集まった棟方以外の一班は、しかし夜勤時以上の武装をキメていた。黒衣の下にはきっちりと制服を着込んでいる。日食が起きるとはいえ日中の市街戦だ。サングラスも忘れない。市街戦の紫外線対策、なんて冗談を思いついて、一琉は心の中でくだらんと笑った。

 一琉は出発前に、改めてみんなに伝える。


「まひるは今、研究施設にいる」

 加賀谷、有河、委員長の目を見ながら、

「研究施設の中では今でも死者の蘇生と、生き返らせた者の利己的利用と殺戮が繰り返されている」


 改めて、繰り返す。


「その産業廃棄物として、死獣を生み続けている。それを始末させられているのが、俺達夜勤だ。巧妙に、生まれたその瞬間から、国家ぐるみで搾取が始められているシステム」


 親から引き離された無力な夜生まれは、国に提供され、昼生まれを支え続ける憐れな奴隷として使われる。知識も、力も、愛すら与えられず。


「もう悠長なことは言っていられない! 研究所の構成員を俺たちで勝手にしょっ引くんだ。まひるを取り返すぞ!」

 各人、ごくりと唾を嚥下し頷いた。一琉も、返すように頷く。


「さて、行こう」

 空は晴れていた。日蝕日和だ。

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