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07話:翌日アシリアに会いに来た

 それから翌日の午前。


 今日も俺はエルフェミナ公爵家の屋敷前にやって来た。理由はもちろんアリシアのリハビリを手伝うためだ。


 という事で昨日と同じように守衛に挨拶をしていくと、特に詳細を聞かれる事もなくすんなりと屋敷の中に通して貰えた。


 おそらくギルバート公爵が事前に従者たちにリハビリの件をちゃんと説明してくれたんだろう。事前に従者たちに説明してくれてるなんて有難い限りだ。だって周りの従者たちに不審人物だと勘違いされたら嫌だもん。


 なのですんなりと屋敷の中に通して貰えた俺は、それから一人でアリシアの部屋を目指して歩いていった。 


―― コンコン


『……はい? どなたでしょうか?』

「俺です。セツナです」

『あぁ、セツナ様。カギは開いてますからそのまま入ってください』

「わかりました。それじゃあ……」


―― ガチャッ


「お邪魔します。アリシアさん。こんにちは」

「はい、こんにちは、セツナ様。今日もエルフェミナ家に来て下さってありがとうございます」


 アリシアの部屋に入ってすぐに俺たちは挨拶を交わしていった。


 あの痛々しかった包帯は全て外されており、今のアリシアはとても元気そうに素敵な笑みを浮かべている。


 そんな元気そうなアリシアの姿が見れてホっと一安心しながらも、俺はアリシアに向かってこう尋ねていった。


「えぇ。そりゃあもちろんですよ。アリシアさんのリハビリを手伝うって言いましたからね。それでその後はどうですか? 何か身体に不調とか問題とかはありませんでしたか?」

「はい、何も問題はありません。昨日はセツナ様が帰られた後すぐにベッドで休んでいったのですが、咳や身体の痛みに悩まされる事なくグッスリと眠る事が出来ました。あんなにもグッスリと眠れたのは数年振りです。セツナ様が私の身体を治してくださったおかげです」

「たっぷりと眠る事が出来たのなら良かったです。そして身体の不調とか問題がないようで安心しました。それじゃあ今日から一緒にリハビリを頑張っていきましょうね」

「はい、わかりました。よろしくお願いしますね、セツナ様」


 という事でこれからアリシアのリハビリが始まっていく事になる。俺も頑張ってアリシアのリハビリを手伝っていくぞ。


「はい、こちらこそよろしくお願いします。あ、そうだ。そういえばアリシアさんは病気が治った後にベッドから立ち上がって一人で歩いてみたりとかはしましたか?」

「あ、い、いえ。自分で立ち上がって歩いてみたりとかはまだ一度もしていません。昨日はセツナ様が帰られた後はすぐに寝てしまったので……」

「なるほど。それじゃあまずは一旦ベッドから立ち上がってみる所から始めていきましょうか」

「はい、わかりました。でもベッドから立ち上がるなんて凄く久々です……ちゃんと立てるかな……それじゃあ……きゃあっ!」

「おっと!」


―― ガシッ……


 アリシアはベッドから足を出して立ち上がっていこうとした瞬間……アリシアの足はガクっとふらついてしまい、そのまま床に倒れこみそうになった。


 俺はすぐさまアリシアに近寄っていき、倒れそうになったアリシアの両肩を手で掴みながら支えていった。


「す、すいません。セツナ様。いきなりご迷惑をお掛けしてしまって……」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ。というか俺もとっさの事とは言えアリシアさんの身体を思いっきり触れちゃってすいません。男の俺がアリシアさんの身体を触ってて不快じゃありませんか? もしも不快だったらすぐに離れますから言ってくださいね」

「い、いえ、全然不快じゃありませんよ。むしろセツナ様が支えてくださった事でとても安心しました……ふふ、ありがとうございます、セツナ様」

「それなら良かったです。それじゃあ焦り過ぎるのも良くないですし、一旦座ってゆっくりと休憩しましょう。俺がしっかりと支えているんで、アリシアさんは腰を下ろしてそこのベッドに座ってください」

「わ、わかりました。それじゃあ……よいしょ……ふぅ」


 俺はアリシアをベッドにゆっくりと座らせていった。すぐにアリシアは表情を暗くさせながらこんな事を呟いてきた。


「ふぅ……それにしてもベッドから降りて真っすぐと立とうとしただけなのに……それなのにこんなにも足がガクっとふらついてしまうなんて……これは前途多難ですよね……」

「はは、そんな心配する必要はありませんよ。アリシアさんは絶対にちゃんと自由に動き回れる身体に戻りますからね。だからそんな暗い表情をしないで大丈夫ですよ」

「……え? ほ、本当ですか? で、でも……どうしてセツナ様はそんな確信が出来るのでしょうか……?」

「はは、そんなの決まってるじゃないですか。だってアリシアさんはこれから一人で粛々とリハビリをする訳じゃないんですよ。アリシアさんには俺が付いてるんです。アリシアさんが元気な姿を取り戻せるように、俺も頑張って毎日リハビリを全力でお手伝いします。だから絶対に大丈夫ですよ。俺が必ずアリシアさんを元の身体に戻せるように精一杯サポートしていきますから。だからアリシアさんはそんな心配なんてしないで、これから俺と一緒にリハビリを頑張っていきましょうよ!」

「セツナ様……はい。ありがとうございます。ふふ、本当にセツナ様は……とても優しい御方ですね」


 アリシアは柔和な笑みを浮かべながら俺に感謝の言葉を伝えてきてくれた。その時、アリシアの笑みがとても素敵だったので、俺はふいにドキっとしてしまった。


「え、あ、そ、そうですかね? ま、まぁ俺は何処にでもいる普通の男子だと思いますけど……でもアリシアさんにそう言って貰えると嬉しいです! よし、それじゃあ休憩も済んだ事ですし、気を取り直してもう一度立ち上がってみましょうか。という事で今度は……はい、良かったら俺の手をどうぞ!」

「え? あっ……」


 俺はそう言ってアリシアの前に両手を差し出していった。するとアリシアはちょっとだけキョトンとした表情を浮かべていった。


「ん? どうかしましたか?」

「……あ、い、いえ。何でもありません。そ、それじゃあ……」


―― ぎゅっ……


 アリシアはちょっとだけ頬を赤くしながら、俺の両手をぎゅっと握りしめていった。


「よし。しっかりと握ってくれましたね。それじゃあ今度は俺が最初からアリシアさんを支えますから、もう一度立ちあがってみましょうか」

「は、はい、わかりました。それじゃあ、いきますね……よ、よいしょ……!」


 その掛け声とともにアリシアはベッドからゆっくりと立ち上がっていった。今度は俺の両手の支えもあって何とか無事に立つことが出来た。


「わわっ! た、立てました……立てましたよセツナ様……! わ、わぁっ……!」

「はは、俺もしっかりと見てますよ。アリシアさんはちゃんと両足で立ててます。どうですか? 久々に自分の足で立ってみた気持ちは?」

「は、はい、何だか凄く高揚とした気持ちです……! そ、それと……えっと……セツナ様の手をぎゅっとして貰っていると……何だか物凄く勇気が湧いてる気がします……! ふふ、だからそんな勇気のおかげで立てたのかもしれませんね……」

「え? 勇気ですか?」

「はい、セツナ様が私の手をぎゅっと握ってくださると……私は一人ぼっちではなく、私にはセツナ様が付いて下さってるんだって気持ちになって……それで何だかポカポカとした気持ちになるんです。ふふ、だから改めてですが……私に沢山の勇気を下さって本当にありがとうございます、セツナ様」

「そ、そうですか。まぁアリシアさんの役に立ててたようなら良かったです。それじゃあせっかく立ち上がれた事ですし、このまま屋敷の外にある庭まで歩いてみましょうか?」

「あ、それは良いですね。屋敷の外になんて数年は出てないので是非とも行ってみたいです。それではセツナ様……屋敷の庭先に行くためのサポートをお願い出来ますか?」

「もちろんです。この後も俺がアリシアさんの身体をちゃんと支え続けていきますよ。それじゃあ早速庭先に移動してみましょう」

「はい、わかりました。それでは……よいしょっと……」


 という事でそれからも俺達は両手をぎゅっと繋いだまま、ゆっくりとしたペースでアリシアの部屋から屋敷の外庭へと移動していった。

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