31話:ギルバートと話をしていく
とある日。エルフェミナ家の執務室にて。
「……という事でアリシアさんの身体はかなり良くなってきました。ご飯もしっかりと食べられるようになっていて、とても元気になっています」
「ふむふむ。そうなんだね。アリシアが元気になっていってくれて本当に良かったよ……」
俺はエルフェミナ家の現当主であるギルバートに、アリシアのリハビリの報告をしていっていた。
ギルバートは公爵家の仕事で屋敷から出かけている事が非常に多く、さらに昨日までギルバートは出張に出かけていたので、しばらくの間王都から離れていたんだ。
だからギルバートはここしばらくの間アリシアと会えていなかったので、俺はその間のアリシアの経過観察をギルバートに報告していったというわけだ。
「はい、本当に良かったです。そして今現在では片手杖込みですけど、もうほぼ自由自在に歩き回れるようになっています。最近も王都の街中を一緒に歩いてみましたが、転んだり怪我したりする事なく自由に楽しく散策する事が出来ましたよ」
「それは本当に凄いね。街の中をしっかりと散策出来るようになったなんて、あの頃のボロボロな姿だったアリシアからは到底考えられない事だよ……本当にここまで元気になってくれて良かったよ……セツナ殿、アリシアをここまで元気にさせてくれて本当にありがとう。全て貴殿のおかげだ」
「そんなことは無いですよ。ここまで元気になれたのはアリシアさんが毎日リハビリをしっかりと頑張り続けてきた結果ですからね。だから全て俺のおかげという事はありません。アリシアさんの頑張りのおかげですよ」
「はは、そんな謙遜なんてしなくていいよ。もちろんアリシアが頑張っているのは確かだけど、セツナ殿のサポートによる影響がとても大きいと私は思うからね。あ、そうだ。それと近々エステルがアリシアの完治祝いとセツナ殿への感謝を込めて食事会を開くそうだね。私もその食事会に呼ばれているから、当日は何卒よろしく頼むよ」
「はい、こちらこそです。食事会の日はよろしくお願いします、ギルバート様」
ギルバートは食事会についての話を振ってきた。エステルの開いてくれる食事会に関しては二週間後に開催される事が決まっている。
食事会というからにはきっと凄く豪華なご飯が食べられるのだと思う。今から既に楽しみだ。
「うん。こちらこそだ。それにしてもアリシアの完治祝いの食事会か……そうなるとそろそろセツナ殿との契約も完了にする時が来そうだね。それじゃあ食事会が終わった辺りのタイミングでセツナ殿との契約は完了にしようか?」
「そうですね。もう今現時点でアリシアさんは片手杖を使えば自由自在に歩けますし、健康な身体にもなっているので、俺のリハビリの手伝いはほぼ要らない状態になっています。ですから食事会が終わったくらいのタイミングで契約満了にして頂いて大丈夫だと思います」
「わかった。それじゃあその手筈で冒険者ギルドに提出する依頼完了書を作成しておくよ。そしてセツナ殿をこんなにも長い間王都に引き留めてしまって申し訳なかったね」
「いえいえ。全然申し訳なくなんてないですよ。俺も初めての王都を沢山堪能出来て楽しかったですし。それと王都に来てルファスさんという新しい師匠も出来ましたし、嬉しい事がいっぱいですよ」
「あぁ、その話はルファスから聞いたよ。あのルファスが剣の稽古をしてくれるなんて、それを本人から聞いた時はビックリとしたよ。ふふ、本当に君は凄い子だね」
ギルバートは笑いながらそう言ってきた。
「いやいや、俺は全然凄くないですよ。ルファスさんが新人冒険者である俺にとても優しくしてくれたというだけですからね。あ、そうだ。ルファスさんの話で思い出したんですけど……そういえばアリシアさんの呪術の件はどうなっていますか? 何か進展とかありましたか?」
「あぁ、呪術の件に関してだけど、今の所はまだ全然だね。騎士団や冒険者ギルドなどの信頼出来るモノ達と情報共有はしているんだけど、でもこの事件は極秘で行っているから、中々調査は進展していないんだ……」
「そうですか。まぁやっぱりそうなりますよね……」
ルファスから今回の呪術の件については、極秘で調査しているから中々進展しないという話は聞いていた。
だからこんな短期間で話が進むとは思ってなかったけど、でも犯人が全く見つからないと言うのは中々に歯がゆい状態だ。
「そうなんだよ。セツナ殿には色々と情報提供をして貰っているというのに、中々良い報告が出来なくて申し訳なく思うよ……」
「いえ、進展しなくて辛い気持ちなのはギルバート様の方が強いと思うので、そんな俺の事なんて気になさらないでください。それとエルフェミナ家との契約依頼が終了した後も、もしもまたアリシアさんが呪術で大変な目に遭ったりしたら、その時は超特急でエルフェミナ家に駆け付けますから! だから困った事があればいつでも俺に連絡してくださいね!」
「ふふ、そう言ってくれてありがとう、セツナ殿。君のような心優しき若者がアリシアのためにいつでも力を貸してくれるなんて本当に嬉しいよ。それじゃあこれからも……アリシアに何かあったらよろしく頼むよ。セツナ殿」
「はい、任せてください!」
という事で俺はギルバートに向かって元気良くそう答えていった。どんな事があってもアリシアが危ない目に遭っていたら俺が必ず助けに行くに決まってるよ。




