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30話:エステルに相談していく(アリシア視点)

 それから数日後。エルフェミナ家の私の部屋にて。


「ふむふむ。姉さまはセツナ様に贈り物をしたいという事なのですね」

「えぇ、そうなの。それで何かアドバイスとかが欲しくて……」


 今日は妹のエステルに私の部屋に来てもらい、。セツナ様への贈り物が何が良いかを一緒に考えて欲しいとお願いをした。


「わかりました、そういう事なら沢山アドバイスをしていきますよ!」

「ありがとう。エステル。そう言ってくれると助かるわ」

「いえいえ。姉さまのためなら幾らでも力を貸すに決まってますからね。それで? 今のところ姉さまはどんな物を贈りたいとかイメージみたいなのはあったりするのですか?」

「う、ううん。まだ何も決まってないわ。そもそも私、今までずっと寝たきりの生活だったから、殿方に贈り物なんてした経験もないの……だからそういう所も含めてエステルにアドバイスをして貰えたら助かるわ」

「なるほど。確かにそうですよね。まぁでもセツナ様はお優しい方ですし、姉さまの心が籠っていれば何を渡してもセツナ様は喜んでくれると思いますけどね」

「そ、それはそうかもしれないけど…でもどうせなら少しでもセツナ様に喜んで貰える物を贈りたいというか……なんというかその……」


 エステルのそんな話を聞いて、私はちょっとだけモジモジとしながらそう答えていった。


「ふふ、そうですよね。わかりました。それじゃあ私の経験則から語らせて貰いますけど……まぁやっぱりアレですかね。普段使い出来る日常品や、身に着けられる装飾品などが良いんじゃないですかね。相手様が贈った物を普段からずっと身に着けてくれたり愛用してくれたりすると、贈った身としてはとても嬉しい気持ちになりますし」

「なるほど。それは確かにアリそうね。普段使い出来る物や、身に着けて貰える物かぁ……」

「はい、そうです。それとセツナ様の場合はあまり高価なモノだと逆に気を使ってしまうと思うので、値段にも気を付けた方が良いと思います。あまり高価な物ではなく、かつ普段も使って貰えるような物が良いと思います」

「ふむふむ。ありがとう、エステル。それじゃあ手頃な価格でセツナ様に普段使いして貰えたり、愛用して貰えるような物を考えてみるわね。えぇっと、それじゃあ……」


 私はそう呟きながら普段のセツナ様の事を思い出していった。


 普段セツナ様はアクセサリ類は何も身に着けていない。だからおそらくアクセサリ類には興味が無いんだと思う。それならアクセサリ類じゃない方が良さそうね。


 それとセツナ様は以前私が香水を付けてた時に新鮮な反応を示されていたから、おそらく香水などの嗜好品もそんなに使わないんだと思う。


 そもそもセツナ様は冒険者だから香水なんて常に付けてたらモンスターに見つかって大変な事になる可能性だってあるだろうし……って、あっ!


(そ、そっか! そういえばセツナ様は冒険者だったわ! それならセツナ様が普段使いする物となると、それは冒険者道具になるんじゃないかしら?)


 それに気が付いた私は急いでセツナ様の冒険者姿を頭に思い浮かべてみた。


 私は冒険者姿のセツナ様を一度だけ見た事がある。あの時のセツナ様はレザーの胸当てにブーツ、長袖の衣服、そしてモンスターと戦うための片手剣と、採取用の小さな短剣が腰に付けられていた。


 そしてセツナ様は言っていた。普段は冒険者としては『採取依頼』をする事が多いって。という事はセツナ様が一番使っている物というのは……。


(……よし! それじゃあセツナ様には短剣を贈ってあげよう!)


 私はセツナ様に贈る物を決める事が出来た。セツナ様は本業は冒険者だし、採取依頼で使う短剣はいつも身に着けておいてくれるはずだ。


 それに短剣ならばそこまで高価ではないので、セツナ様もきっと受け取ってくれるはずね。そうと決まれば……。


「? どうしたんですか姉さま? 何だかイキイキとした顔をしてますけど?」

「えぇ。セツナ様へのとっておきの贈り物を決める事が出来たのよ。セツナ様には冒険で使う短剣を贈ろうと思うの」

「あ、なるほど! 確かにセツナ様は冒険者ですし、短剣なら毎日身に着ける物ですから贈り物にはピッタリかもしれませんね!」

「ふふ。でしょう? でもそうなると短剣を売ってるお店を探さなきゃならないわね……私、今まで寝たきり生活だったから、王都の街中で短剣を売ってるお店なんて知らないのよね……」

「あぁ、大丈夫です。王都にある武器屋なら知ってますよ。あのシフォンケーキのお店があった場所の向かい側にありますよ」

「え、そうなの? それは凄く助かる情報だわ! ありがとうエステル! それじゃあもう一つエステルにお願いしたいのだけど、近い内に私と一緒にそのお店に買い物に付き合って貰えないかしら? セツナ様へのプレゼントを買いに行くのに、セツナ様に付き添いをお願いする訳にはいかないからね。だからエステルに付き添いをお願いしたいのだけど、どうかしら?」

「あ、すいません、姉さま。それはちょっと難しいかもしれません……私、明日から二週間ほど隣の領地に出張する事になっているんです。ですから姉さまの買い物の付き添いはちょっと難しいかもしれません……」


 私がそんなお願いをしていくと、エステルは申し訳なさそうな表情をしながらそう返事を返してきた。


「あぁ、そうなのね。うん。わかったわ。それじゃあ買い物の付き添いは従者に頼む事にするわ」

「そうして頂けると助かります。すいません、姉さま……」

「ううん。大丈夫よ。エステルも出張の方が大事だしね。それじゃあ出張頑張ってね、エステル」

「はい、ありがとうございます。姉さまもセツナ様への贈り物で良い短剣が見つけられるように頑張ってくださいね。私も応援しています!」

「ふふ、ありがとう。頑張るわね!」


 という事でエステルはしばらくの間は出張に出かけるとの事なので、私は従者に頼んで近い内に王都の武器屋さんに行く事を決めた。


 それじゃあ早速だけど明日にでもシルスに相談してみようかしら。

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