25話:ルファスにとあるお願いをしていく
「そういえばアリシアの様子はどうですか? 元気ですか? 身体は復調に向かっていますか?」
「はい。アリシアさんは凄く元気ですよ。それに毎日一生懸命にリハビリに励んでいるので、身体はだいぶ良くなっています。あと一ヶ月もあれば自由に歩き回れるようになると思いますよ」
「そうですか。それなら良かったです。本当ならアリシアの様子を見にエルフェミナ家に向かいたいと常々思っているのですが、でも毎日仕事が多忙なので中々行く事は叶わなくて……ですからセツナさんからアリシアの様子が聞けて良かったです」
ルファスにアリシアの現状の様子を伝えるとほっと安心した様子になっていった。
そしてその様子からして、ルファスはアリシアの事をとても大切に思っているのがよく伝わってきた。
(あ、そうだ。せっかくルファスさんに会えたんだから……)
「そうだ。そういえばルファスさん。アリシアさんの身体が復調したら食事会をしようって話を最近してるんですけど……」
「あぁ、その話ですね。昨日にエステルからアリシアの呪じゅ……病気が完治したお祝いとセツナさんへの感謝のために食事会を開くという話を聞きましたよ。そしてセツナさんが私をその食事会に誘いたいと仰ったという話も聞きました。まさか私も誘って頂けるなんて思わなくてちょっとだけビックリとしました。私もその食事会に参加しても本当に良いのですか?」
「はい。だってルファスさんはアリシアさんのお姉さん分ですしね。アリシアさんもルファスさんに完治のお祝いをされたいと思ったので、是非ともルファスさんに来て欲しいと思ってそう提案したんです。という事でルファスさんも今回の食事会には参加して頂けませんか?」
「はい、もちろんです。妹のように思っているアリシアの病気が完治した記念の食事会なら是非とも参加させて頂きます。ですからその日だけは何が何でも仕事は休みにしてみせますよ」
「はは、ありがとうございます。きっとアリシアさんも喜ぶと思うので、それでは食事会当日は何卒宜しくお願いしますね」
「はい、こちらこそです」
という事でルファスもエステルが主催の食事会には参加してくれる事になった。エルフェミナ家に戻ったらその事をアリシアに伝えてあげなきゃだ。きっと喜んでくれるに違いない。
「ふふ、それにしてもセツナさんには感謝したい事がどんどんと増えていってます」
「え? 俺に感謝したい事ですか? そんなに感謝される事はありましたっけ?」
「はい。アリシアの身体を治してくれただけでなく、リハビリのサポートまでして頂けるなんて感謝してもしきれません。さらに今回の食事会にも誘って頂けるなんて嬉しい気持ちでいっぱいです。ですから今回はセツナさんには感謝の気持ちをちゃんと伝えさせて欲しいので……そうだ。それでは我がスカーレット家からもセツナさんへお礼をさせて頂けませんか?」
「お礼ですか?」
「はい。お礼です。まぁお礼の王道と言えばアレですよね。欲しいモノ等ですよね。セツナさんが欲しいモノ等がありましたら何でも贈呈させて頂きますよ。という事で何か欲しいモノなどありますか?」
「えっ!? な、何でもですか? で、でも流石にそれは……」
「ふふ、遠慮などしなくて良いですよ。セツナさんはアリシアを助けて下さった命の恩人であるのですから。ですから遠慮などせずに欲しいモノがありましたら何なりと仰ってください」
ルファスはそんな事を言ってきた。欲しいモノがあれば何でもくれると言ってくれた。
ルファスも貴族家だから俺が欲しいと言ったモノはおそらく何でも贈ってくれるだろう。でも欲しいモノと言われても俺はそんな欲もあんまりないし……。
「うーん、欲しいモノか……あ。そうだ。それじゃあ……」
「何か欲しいモノが見つかりましたか?」
「はい。でもそれはスカーレット家のルファスさんにではなくて、ギルドマスターのルファスにお願いしたい事なんですけど……良かったら聞いてくれますか?」
「ギルドマスターの私にですか? はい、私に出来る事なら何でもやりますので、気軽に仰ってください」
「わかりました。それじゃあ仕事で多忙なルファスさんにこんなお願いをするのは不躾だと思うんですけど……もし良かったら俺に一度稽古を付けて貰えませんか?」
「稽古ですか? ふむ……それはつまり、冒険者として稽古を付けて欲しいという事ですか?」
「はい、そうです。俺は冒険者になってまだ一年くらいなんです。だからまだまだ戦闘技術とか色々と拙い所が多いんです。ルファスさんは剣の腕前も凄いと聞きましたし、俺はもっともっと冒険者として頑張っていきたいので、だからルファスさんに稽古を付けて貰えたら嬉しいんですけど……どうでしょうか? もちろんルファスさんは多忙なのはわかっているので、難しいようなら断って頂いて構いませんので!」
俺はそんなお願いをルファスにしてみた。するとルファスは……。
「ふふ、大丈夫ですよ。冒険者として成長したいという思いがあるのなら、ギルドマスターである私としてはお手伝いするのは当たり前です。ですからセツナさんの稽古に付き合わせて頂きますよ」
「本当ですか! ありがとうございます! そう言って貰えると助かります!」
「はい。それでは次の仕事まであと三十分くらいは残ってるので……せっかくですから良かったら今からここで稽古を付けてあげましょうか?」
「え? 今からですか? 俺は全然構わないんですけど、でもルファスさんは良いんですか? せっかくの休憩時間なのに……」
「ふふ、構いませんよ。セツナさんのためならば私も力を貸したいですからね。という事でどうでしょうか? 今から私の稽古を受けていきますか?」
「は、はい、それなら是非ともお願いします!」
俺はルファスに頭を下げながらそう言った。ルファスは多忙の身だから正直断られると思ったんだけど、まさか今すぐ稽古を付けてくれるなんて有難すぎる!
「わかりました。それではまずはセツナさんの実力を見せて欲しいので、ここで軽く模擬戦をしてみましょうか? ここなら森林公園で地面はふかふかの草むらですので、倒れても怪我はしませんしね。どうでしょうか?」
「はい、わかりました! 是非とも模擬戦をお願いします! それではよろしくお願いします、ルファスさん!」
「えぇ、こちらこそです」
こうしてそれからすぐに、俺は森林公園の中でルファスと一緒に軽く模擬戦を始めていった。




