21話:今までの冒険譚をアリシアに語っていく
ギルドマスターのルファスと邂逅を果たした後。
ギルドマスターの部屋を出て一階の冒険者ギルドの受付に戻ると、職員さんが薬草採取の依頼報酬を支払ってくれた。
その依頼報酬を受け取ってから冒険者ギルドを後にした。
そしてそれからすぐに俺はアリシアのリハビリを手伝うためにエルフェミナ家を訪れた。
―― コンコンッ
『はい?』
「俺です。セツナです」
『あぁ、セツナ様、どうぞお入りください!』
「わかりました。それじゃあ失礼します」
―― ガチャッ
「こんにちは、アリシアさん」
「はい、こんにちはセツナ様」
アリシアの部屋に入って俺はすぐにアリシアに向かって挨拶をしていった。アリシアは柔和な笑みを浮かべながら俺を出迎えてくれた。
「あら? セツナ様は今日はいつもと服装が違いますね? それに大きなカバンも手に持っているようですし……今までどこかに出かけていたのですか?」
「はい、今日は朝から王都の外にある森の中に行ってました。久々に冒険者依頼を受けて薬草採取をしてたんです。だからこれは冒険用の服装と装備ですよ」
「あぁ、なるほど! そのレザーの胸当てや、腰に付けてる短剣、大きなカバンなどは冒険者用の服装と装備なんですね。そういえばすっかりと忘れていたんですけど、セツナ様は冒険者様でいらしたんですよね。冒険者と言えばとてもロマン溢れる職業ですから尊敬します!」
俺は冒険者依頼を受けていた事を伝えていくと、アリシアは目をキラキラと輝かせながらそう言ってきた。
「俺は尊敬される程凄い冒険者じゃないですよ。まだ冒険者歴はたったの一年くらいですしね。俺はまだまだ初心者冒険者だから全然凄くないですよ」
「いえいえ、一年もやられていれば十分立派な冒険者じゃないですか。だって冒険者と言えば様々な未知なる地域を冒険したり、希少なアイテムを探し求めたり、強力なモンスターと戦ったりしたりする大変な職業だと聞きますからね。そんな大変な職業を一年も続けられてるなんて、それはセツナ様がとても凄い証拠だと思いますよ」
「あはは、そう言って貰えると嬉しいですけど、でも俺は冒険者としての実力は本当にもう全然ですよ。前にも言いましたけど、未だにスライムとかゴブリンみたいな下級モンスターにもてこずるレベルですからね」
「なるほどなるほど。モンスターと言えばとても危険な生物だという話はよく聞きます。セツナ様は冒険中や戦闘中にお怪我とか辛い目とかには遭ってませんか? それだけがちょっと心配です……」
「それは絶対に大丈夫です。基本的に下級モンスターしかいない場所しか回らないようにしてるんで。まぁ下級モンスターと戦う時に苦戦して辛い目に遭う事も多々ありますけど、それでも毎日楽しく冒険者として活動出来てるから全然大丈夫ですよ。自然溢れる森や山に入って貴重な薬草とか鉱石を掘ったりするのも中々に面白いですしね!」
「そうなんですね。それなら良かったです。それにしてもセツナ様のその楽しそうに笑ってる顔を見ていると……ふふ、セツナ様は冒険者という職業が本当にお好きなようですね」
「……え? そ、そんなに笑ってましたか?」
「えぇ、とてもイキイキとした表情で笑っていましたよ。ふふ」
そう言ってアリシアは俺の顔を指さしてきた。どうやら俺はかなり楽しそうに笑っていたらしい。そういえばちょっと饒舌になってたかもしれない……。
そしてそんな楽しそうに笑いながらペラペラと得意げに喋ってた顔をアリシアに見られたなんて……な、何だか子供っぽくて恥ずかしいな……。
「あ、あはは、そんなに楽しそうに笑ってたなんてちょっと恥ずかしいですね。何だか子供っぽくてすいません……」
「そんな事ありませんよ。大好きな事を仕事に出来るなんて一番素敵な事ですからね。そうだ。それでは良かったら今日のリハビリを始める前に、セツナ様の冒険者の話を聞かせて欲しいです。今までのセツナ様の冒険譚を私にも聞かせて貰えませんか?」
「えっ? お、俺の冒険譚ですか? いやでもその……今までそんな大した冒険はしてないので面白い話なんて何も無いですよ? アリシアさんをワクワクとさせられるような面白い冒険話は特にないですよ」
「ふふ、それでも良いんです。だって私はワクワクとする冒険話が聞きたいのではなくて、大切な友人であるセツナ様の冒険話が聞きたいのです。ですから良かったらセツナ様の冒険話を聞かせて頂けませんか?」
アリシアは柔和な笑みを浮かべながらそんな事を言ってきてくれた。
俺の事を大切な友人だと言ってくれたのはとても嬉しいし、俺の話が聞きたいって言ってくれたのもとても嬉しい気持ちになった。
「そう言ってくれるのなら……はい。わかりました。それじゃあ俺の冒険話を聞いて下さい。まぁでもあんまり面白い話は無いので期待はしないで貰いたいんですけど、それじゃあ……あ、そうだ。冒険者になってすぐにスクルドさんって師匠が出来たんですけど、その師匠と一緒に初めてダンジョンに行った時の話をしますね。あれは今から半年以上前なんですけど……」
という事で俺はそんな優しい言葉をくれるアリシアのために、今まで俺がこの異世界で冒険してきた思い出話をアリシアに語ってみた。




