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20話:ルファスからのお願い

「えっと、それでさっき職員さんに言われてここにやって来たんですけど、ルファスさんは俺に一体どのような用件があるんですか?」

「まず一つ目の用件はアリシアの件です。セツナ殿、アリシアの身体を治療して頂き本当にありがとうございました」

「え? アリシアさんの件? あ、もしかしてルファスさんってアリシアさんは面識があるんですか?」

「はい。スカーレット家とエルフェミナ家は古くから交流のある家系同士なのです。ですからアリシアとは小さい頃から何度も遊んできましたし、実の妹のように可愛がっていたのです。そんなアリシアの事を救って頂き本当にありがとうございました。セツナ殿には感謝してもしきれません」

「なるほど、そうだったんですね。まぁ俺はヒーラーとして当たり前の事をしたまでです。でもそんな温かい感謝の言葉をくれてありがとうございます。ルファスさん」


 ルファスは深々と頭を下げながら丁寧に感謝の言葉を伝えてきてくれたので、俺は笑みを浮かべながらそう返事を返していった。


(それにしても何だかここ最近は色々な貴族の人たちから感謝されているよなー)


 今まで見てたマンガとかの影響で貴族といえば“悪役貴族”とか“悪役令嬢”みたいな悪者のイメージがちょっと付いていたんだけど、でもこの異世界に来てから今のところ悪い貴族とは一度も出会っていない。むしろ皆とても優しい貴族たちばかりだった。


 まぁやっぱり心優しいアリシアの周りにいる貴族も皆心優しい人たちばかりって事なんだろうな。


「そして二つ目の用件なのですが、アリシアの病気……いえ、呪術についての話も少しだけさせて頂けますか?」

「あ、ルファスさんもアリシアさんの身体は呪術による影響だったという事については把握されているんですね」

「はい。先日ギルバート殿からその話を聞かせて頂きました。そして今は誰がアリシアに呪術をかけたのかの犯人捜しを極秘に調査している最中です」

「なるほど、そうなんですね……って、あれ? 調査は極秘なんですか? もっと大々的に調査するというのは出来ないんですか?」

「本来ならばそうしたい所なのですが、しかし今回犯人の動機がギルバート殿もしくはエルフェミナ家への怨恨だとしたら、大々的に事件調査をしてしまうと犯人を刺激してしまい、呪術以上に凶悪な復讐をしてくる可能性がありますからね。ですからここはなるべく穏便に秘匿調査をしようという話になりました。表向きには今まで通りアリシアの身体は病気によるものだという事にしておいて、高位のヒーラー様による治療で一命をとりとめたという事でまとめている最中です」

「あ……な、なるほど。確かに大々的に事件だと公表してしまうと、何かしらの危険はあるかもしれませんね。そう考えると犯人をあまり刺激しないように穏便に調査をした方が良いですよね」

「はい。ですから今回のアリシアに呪術を依頼した犯人捜しに関しては極秘に調査を行っていますので、セツナ殿もこのアリシアの呪術の件に関しては今後は秘匿にして頂けますか?」

「はい、わかりました。もちろん大丈夫です」


 俺はルファスのお願いについてしっかりと了承していった。


「そう言って貰えて安心しました。それでは何か新しい情報が入りましたらセツナ殿にも逐一伝えさせて頂きますね」

「わかりました。それにしても……アリシアさんに呪術を仕掛けるような酷い人間がいるなんて恐ろしいですね」

「そうですね。私としてはアリシアにそんな酷い事をした人間がいるなんて信じたくはありませんが……しかし可能性がある以上は私もスカーレット家の人間として、そして血は繋がってませんがアリシアの姉代わりとして必ず犯人を見つけてみせます。それとセツナ殿の方でも何か新しい情報が手に入ったら逐一私に報告をして頂けると助かるのですが……そんな情報提供のお願いは可能でしょうか?」

「もちろん大丈夫ですよ。俺の方でも何か情報が入ったらルファスさんに伝えますね。あ、そうだ。それじゃあ良かったら通信石の魔力交換をしませんか?」

「あぁ、確かにそうした方が良さそうですね。えぇっと、それでは……はい、これが私の通信石です」

「ありがとうございます。それじゃあ俺の通信石も渡しますので魔力を注いで頂けますか?」

「わかりました。それでは少しの間お借りしますね」


 という事で俺達はお互いの通信石に魔力を注いでいった。


「……ふぅ、魔力を注ぎ終えました。これでいつでもセツナ殿とは通信石でやり取りが出来ます。今回のアリシアの件で何か新しい情報が手に入った時はいつでも気軽に通信石で連絡してください。いつでも話を聞かせて頂きますので」

「はい、わかりました。何か情報が手に入ったらすぐに連絡しますね。それじゃあ今後ともよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願い致します」


―― ギュッ……!


 そう言って俺はルファスと固い握手を交わしていった。こうして俺は通信石に新しい連絡先が追加されたのであった。


 まだ今はスクルドとルファスの二人だけど、これからどんどんと連絡先が増えていったら嬉しいな。

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