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18話:スクルドからとあるペンダントを貰う

 とある日の朝。


「ふんふんふ~ん♪」


 俺は鼻歌交じりに王都の外にある森の中に入って薬草を集めていた。


 最近はずっと冒険者の依頼を受けていなかったので、たまには依頼を受けとかないと冒険者のライセンスを停止させられてしまう可能性もあるんだ。


 だから今日は久しぶりに冒険者ギルドで簡単な薬草採取の依頼を引き受けたという訳だ。


「よし。それじゃあ薬草も十分集まったし、そろそろ王都に戻るとしようかな」


 鞄の中に大量の薬草を詰め込んでいった俺はホクホク顔で王都に戻った。そして冒険者ギルドに向かう途中で……。


「おう。セツナ。お疲れさん」

「うん? あ、スクルドさん。お疲れ様」


 冒険者ギルドに向かう途中で先輩冒険者のスクルドと出会った。


 スクルドはいつも通り大きく笑いながら俺に挨拶をしてきてくれたので、俺も同じように笑いながら挨拶を返していった。


「お疲れさん。そんな大量の薬草を鞄にいっぱい詰め込んでるなんて、もしかして今日は薬草採取の依頼か?」

「そうだよ。最近はずっと依頼人のリハビリの手伝いをしていて、あんまり冒険者らしい事は全然してなかったからさ、ちょっと身体を動かそうと思って近くの森に行ってたんだ」

「なるほどな。そういえばセツナはリハビリを手伝っているって話だったな。依頼人の身体の調子はどんな感じだ? もうだいぶ良くなってきたか?」

「そうだね。最初の頃に比べたらかなり良くなってきたよ。あと少ししたら元気に動き回れるようになるんじゃないかな」


 俺は以前スクルドに伝えた病人のアリシアについて、その後の経過観察を伝えていった。


「そっかそっか。経過良好のようで安心したよ。それじゃあこれからもリハビリのサポート頑張ってくれよな」

「もちろん。ちゃんと元気になるまで全力でサポートを頑張るつもりだよ!」

「おう、その意気だ。俺もセツナの事を応援をしてるから精一杯サポート頑張れよ。おっと、そうだ。それとさ、今日はセツナに渡しておきたいものがあるんだ。えぇっと……ほら、これだ」

「え? これって?」


 そう言ってスクルドは小さな石がついたペンダントを俺に渡してきた。これは一体なんだろう?


「これは昔俺がドラゴンを討伐した時にドロップした宝石を使ったペンダントだ。お前にやるよ」

「えっ? ドラゴンからドロップした宝石なんて凄く高価じゃないの? そんなの俺に譲ってくれてもいいの?」

「もちろんだ。それにこれはお前に必要だと思うしな。なんと効果は“呪詛返し”だからさ」

「呪詛返し? それってもしかして……?」

「あぁ、そうだ。呪術をかけられそうになったら一度だけこの石を消費して跳ね返せる事が出来るんだ。だからこのペンダントを依頼人に持たせておけば何かの役に立つんじゃないか?」

「えっ!? そ、そんな凄い効果があるペンダントなの!? そ、それは確かに俺の依頼人に役立ちそうだけど……で、でも本当にこのペンダントを貰っちゃっていいの? ドラゴンからのドロップ品をタダで受け取るなんて、あんまり良くない気もするんだけど……」

「あはは、そんな気にすんなって。お前は俺にとっては可愛い弟子みたいなもんだしな。それに俺が持ってても役に立たねぇし、それなら今必要になりそうなセツナにあげた方がいいだろ。消耗アイテムは高価だとしても使わなきゃ意味ねぇからな。だから遠慮せずに受け取れよ。ほら」


 そう言ってスクルドは俺に呪詛返しのペンダントを手渡してくれた。


「あ、ありがとうございます、スクルドさん! この恩は一生忘れません!」

「はは、別に良いって。いつもお前が冒険者として頑張ってるのは俺も知ってるしよ。だからそんな今まで頑張ってきたお前へのご褒美ってやつさ」

「えっ? 俺がいつも頑張ってきてたって……何でスクルドさんはそんな俺の事を知ってるの? 何だかまるで俺の事を誰かから聞いてたみたいな言い方だよね?」

「おう。そうだよ。俺は今まで世界各地を旅しながらも、ちょくちょくダグラスとは連絡を取り合ってたんだ。アイツとは昔からの友人だからよ。だからついついアイツとは話したくなっちまうのさ。そんでダグラスからよくセツナの事を聞かせて貰ったんだ。毎日冒険者として頑張ってるってさ」

「そ、そうだったの? そ、そんな事をギルドマスターが言ってくれてたんだね。それはちょっと恥ずかしいな……って、あれ? でもスクルドさんって今まで全国を旅してたじゃん? それなのにどうやってギルドマスターとちょくちょく話してたの?」

「ん? あぁ、セツナは知らないのか。えぇっと……ほら、これを使ったんだ」

「これは……これも石ですか?」


 スクルドはそう言って俺に手の平に収まるくらいの緑色の石を見せてきてくれた。


「おう。これは“通信石”って呼ばれる通話用の石だ。魔力を込める事で同じく通信石を持ってるヤツと通話する事が出来るっていう便利な石さ」

「へぇ、なるほど。それは確かに便利だね!」


 つまりは携帯電話みたいなモノか。それは確かに便利そうだ。


「あぁ、凄く便利なアイテムだよ。というかセツナは通信石の存在は今まで知らなかったのか?」

「うん、全然知らなかったよ。今までずっと田舎町で過ごしてたから、特に通信石が必要になる場面は一切なかったんだ。でも今みたいに出張中にはそういう通信石は便利そうだね」

「あぁ、出張中には凄く便利だな。それじゃあ、そうだな。せっかくだし通信石もお前にやるよ。ほら」

「えっ?」


―― パシッ


 そう言ってスクルドは俺に通信石を放り投げてきてくれたので、俺はそれを受け取っていた。


「え、良いの、スクルドさん? 通信石も高価だったりするんじゃないの?」

「いや、別にそんな事はないぞ。そこら辺のアイテム屋で買える普通のアイテムだ。でも通話するためには相手の通信石を登録しないといけないからな。その登録さえ完了すればいつでもどこでも通話が出来るようになるんだ」

「登録? それは一体どういう方法なのかな? もしかして難しい方法だったり……?」

「いや難しい事じゃないぞ。自分の持ってる通信石と、相手の持ってる通信石に魔力を流すだけだ。それで登録完了となって、いつでもどこでも通話できるようになるんだ」

「なるほど。番号交換ならぬ魔力交換って事か。という事は通信石を持ってれば誰とでも気軽に通話出来るって訳ではないんだね」

「はは、そりゃそうだ。通信石を使って気軽に王様とか貴族様にイタ電なんか出来たらヤベェだろ?」

「はは、確かにそうだよね。そんな事が気軽に出来たら世界中大混乱になっちゃうよね」

「あぁ、そうだな。まぁとりあえず通話が出来るようするためにも、俺の通信石に魔力を通してくれないか? ほら、これに頼む」

「うん、わかったよ。それじゃあ……」


―― ポワッ……


 俺はスクルドの指示に従って通信石に魔力を通していった。


「これで大丈夫なのかな?」

「おう、大丈夫だ。これで俺達はいつでも通信石を介して通話が出来るようになったぞ。まぁそんな訳で何か困った事があったらいつでも通信石を使って連絡してくれ。セツナの頼みならいつでも聞くからさ」

「うん、ありがとう、スクルドさん!」

「おうよ。それじゃあ俺はそろそろ宿屋に戻るとするよ。そんじゃあまたな、セツナ」

「うん、またね、スクルドさん!」


 そう言ってスクルドとは冒険者ギルドの前で別れていった。呪詛返しのペンダントと通信石を貰えるなんて本当に優しい先輩だよ。


 アリシアのリハビリが終わったら改めてスクルドにはちゃんとお礼をしなきゃだな!

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