12話:街中で馴染みの冒険者と遭遇する
それから数日後。お昼過ぎにアリシアとのリハビリを済ませた後。
―― ワイワイ、ガヤガヤッ!
「うーん、やっぱり王都は凄い人で賑わっているなー」
アリシアとのリハビリが終わって今日のやる事が無くなって暇になったので、せっかくだから王都の街並みを見学していた。
王都の中心地にやって来たんだけど何処を見ても沢山の人達で賑わっている。流石は大都会という感じだ。
「……ん? あ、セツナじゃないか! よっす!」
「……え? って、あっ! スクルドさん! 久しぶり!」
するとその時。王都の街中で唐突に声をかけられたので、俺は声をかけられた方に振り返ってみた。そこにはデカい大柄の男性が立っていた。
その男の年齢は三十歳半ばくらいで、見た目は短髪の黒髪ショートに日焼けした浅黒い肌と筋骨隆々の逞しい肉体を持った強そうな男だ。まぁ強そうというか強い人なんだけど。
「おう。久しぶりだな! どうだ、最近は冒険者としてちゃんと活躍出来てるか?」
「うん。それなりにね。スクルドさんの冒険者の教えのおかげで何とかこの一年間冒険者を続けられてるよ。あの時は色々と教えてくれてありがとうね」
「はは、そっかそっか。それなら良かった! 元気に冒険者を続けられてるようで何よりだ!」
目の前の屈強な男はニカっと大きく笑いながら俺にそう言ってきてくれた。半年以上ぶりにあったというのに全く変わらない豪快で優しいおっちゃんだな。
という事で目の前にいるこの屈強な男はスクルドといって、全国各地を旅してる超熟練の冒険者だ。性格は見た目通り豪快で大雑把なんだけど、意外と困った人を見かけたら親身になって話を聞いてくれたりもする優しいおっちゃんだ。
冒険者ランクはS級で、一人で最上級の飛竜種も倒せる程の実力を持っているので、全国を旅しながら強いモンスターと戦いまくってる凄腕の熟練冒険者だ。
そんなスクルドと出会った経緯は、半年以上前にスクルドが俺の住んでた田舎町に旅で訪れた際に冒険者ギルドで知り合ったんだ。
そしてスクルドがS級の凄腕冒険者だという事を知ったので、駆け出し冒険者だった俺はスクルドに駄目元で冒険者として色々指南して欲しいとお願いしたら、スクルドは二つ返事でオッケーをしてくれたんだ。
そんな縁があって、スクルドとは田舎町から旅立つまでの二週間くらい冒険者の師匠として色々と学ばせて貰った事があるんだ。スクルドと一緒にダンジョンの中に籠って冒険したのも懐かしい記憶だ。
「それにしても王都でセツナと会うとは凄い偶然だなー。今日はどうして王都にいるんだ? 何か依頼でも受けてここまで来たのか?」
「うん。そうだよ。依頼を受けてここまで王都に来たんだ。そういうスクルドさんはどうして王都にいるの? いつも強いモンスターを戦うために全国にある秘境とかダンジョンを巡ってるって言ってたのに、王都にはそんな秘境とかダンジョンは無いでしょ?」
「あぁ、今はちょっとモンスターと戦うのは休暇中なんだ。ちょっと前に受けたホワイトドラゴンの討伐依頼が中々にしんどくて疲れちまってさ。まぁ無事に倒して大金も稼げたし、しばらくは依頼を受けずに王都でのんびりと休もうって思って久々に王都に来たんだよ」
「へぇ、ホワイトドラゴンなんて最上級のモンスターじゃん! そんな強力なモンスターを一人で討伐するなんてやっぱりスクルドさんは凄い冒険者だなー!」
「はは。まぁS級冒険者だからこれくらい余裕ってもんよ。それで? そういうセツナの依頼ってのはどういう依頼だったんだ? 何かモンスター討伐系の依頼か? もし人手が要りそうなら手伝ってやるぜ??」
「いやいや。まだまだひよっ子冒険者の俺に討伐系の遠征依頼なんて流石に無理だよ。俺が今回受けたのは治療依頼だよ」
俺はスクルドに依頼内容を簡単に伝えていった。するとスクルドはすぐに納得した表情をしてきた。
「あー、なるほど。治療依頼か。そういやセツナは回復魔法が物凄く得意だったもんな。という事は王都に住んでる病人の治療依頼を受けに遠征してきたって訳か」
「そうそう。そういう事だよ。それでまぁ回復魔法をかけて完治させる事は出来たけど、筋力とかが低下しちゃってるから、今はその人のリハビリを手伝っている所なんだ」
「ふぅん? リハビリを手伝う事になるって事は……どうやらその依頼人は今までかなり重い病気を患っていたって事みたいだな。でもその依頼人はそんなにも重い病気を患っていたというのに、今までヒーラーに診察して貰わずにずっと放置してたって事か?」
「いや、違うよ。今まで何度もヒーラーに診て貰ったんだけど、誰にも治せなかったんだ。原因不明の奇病だって診断されて、今まで回復魔法を受けても全然効かなったらしいんだ」
「原因不明の奇病? 何だか物騒な話だな。その奇病とやらは一体どんな症状だったんだよ?」
「うーん、まぁ簡単に言うと……全身大火傷を負ったような状態になっていて、全身にずっと激痛が走っていて一切動く事が出来なくなる症状だったよ。そんな奇病にずっと罹っていて、今までどのヒーラーでも治せなかったそうなんだ。本当に辛そうで可哀そうな患者さんだったよ……」
「……は?」
アリシアの病状をスクルドに伝えていくと、スクルドは何故か急にポカンとした表情をしてきた。
「? どうしたのスクルドさん?」
「いや。えっと……全身に大火傷を負ったような状態? 全身に激痛が走って動けなくなる? そしてヒーラーたちはその患者を診察しても原因不明だと言ってた? それって本当か?」
「うん。そうだけど……でもそれがどうしたの? 何か俺、変な事を言った?」
「……あぁ。セツナ、それさ、多分だけど……病気じゃねぇぞ」
「えっ? 病気じゃないってどういう事? もしかしてスクルドさんはこの症状を知ってるの?」
「あぁ、多分な。その症状が身体に出る可能性があるモノを知ってるよ。それは多分だけどな……“病気”じゃなくて“呪術”だよ。セツナ」
「……えっ!? じゅ、呪術だって?」
スクルドは真顔になって俺にそう伝えてきた。アリシアが今まで受けてたあの身体の酷い怪我は病気のせいではなく……呪術のせいだったというのか?




