203 覚悟を決める
どうぞよろしくお願いします。
ジョナサンが言った。
「クルトはずっと東部の方を回っていて帰ってきたわけだが、途中、ミレーヌを捜索している男達、ギルドには知られないように探している不審な男達に出会ったそうだ」
カイエンがクルトを見た。
「ギルドからそんな連絡があったな。クルトが知らせてくれた?」
「はい、カラコムの街で、すぐギルドには伝えました」
ジョナサンが気づいたように言った。
「そういえば……。
クルト、コボー、2頭しか連れ帰らなかったな?
もう1頭は?」
「カラコムのさらに奥の、一番東部の辺境の村に預けてきました」
「……売ったのではなく、預けてきた?」
ジョナサンが不思議そうな顔をする。
クルトは覚悟を決めた。
「はい、そのコボーはお嬢さんにとても懐いていて、村に残るというお嬢さんのそばを離れなかったからです」
みんな一瞬理解が追い付かず、間があった。
「えっ? お嬢さんって?」
ウィリアムが一番最初に声を上げ、カイエンがクルトに掴みかかろうとし、コーラスとジョルジュがそれを止めようとした。
クルトはカイエンに向き直り言った。
「お嬢さんは……、男の格好をして現れて『王都を出るまで』と言ってきました。
髪も自分で切ったのかザンバラで、見られたもんじゃなかった。
断ったら、何をしでかすかわからなかったので、言われるがまま、とにかく連れ出しました」
「……なんで教えてくれなかった!」
「だから……、お嬢さんが何をしでかすかわからなかったからです。
王都を離れると、落ち着いてきて、話を聞くことができました。
カイエンには自分の他に前から愛する人がいて、どうやらレンダート伯爵夫妻には認めてもらえない人で言い出せなかったのだろうと。
だから、とりあえず、決められてた婚約者であるミレーヌを、婚約者で妻とすることで、彼女との関係を続けることにしたのだろうと。知らなかったこととはいえ、カイエンにも彼女にも申し訳ないと。
騙されたというのではなく、気がつかなかった自分が悪いと。
カイエンの真の幸せのためにはその人とカイエンが一緒になれるように、自分は身を引くべきだと。
そんなことを言っているお嬢さんをひとりにしたら……、王都に帰そうとしたら、どこにひとりで行ってしまうかわからなかった。身を隠すためにはギルドも利用できない……。だから、保護して一緒に旅をしていたのです」
「だから、そんな女性はいない!!」
「……お嬢さんは真剣でした。
本当に心を痛めていた。
カイエンに確かめたのかと聞いたら、苦し過ぎて確かめることすらできないと……。消えてしまいたいというように身体を縮こませて震えていた!」
カイエンが少し目を潤ませる。
「ミレーヌは俺のことを、そこまで愛してくれている?」
「はい、御自分のことより、あなたの幸せを考えていることは確かでしたね」
「今、ミレーヌはどこに!?」
ジョナサンがやっと話に入る隙ができたと言わんばかりに聞いてきた。
読んで下さり、ありがとうございます。




