194 誰に捕まった?
どうぞよろしくお願いします。
身体が細かく揺れている。この振動は……馬車?
レンは目を覚ました。
身体の自由が利かない、手が、腕が痛い。
目を開けると、布張りの少し柔らかい椅子に寝転がっているのがわかった。
両手首で後ろに括られている。
リオルは大丈夫だったんだろうか!?
やはり馬車の中のようだ。それも貴族が使うような高級な馬車。
向かいの座席にひとりの男性がいた。なんとなく見覚えがある。パーティの中のひとりだ。服装から魔法使いではと推測できた。
「ここはどこ?」
だんだん意識がはっきりしてきて、レンは声を出した。
思ったより小さな声しか出なかった。
「カラコムの屋敷に向かっている。魔王討伐パーティの聖女ミレーヌだな?」
「……僕はレン。クルトの……、パテマのギルド職員クルトの弟だ!」
「嘘だね。聖女なのに嘘をつくとは。
女だというのは確認済みだ」
ミレーヌの顔色が悪くなる。
「確認?」
「……大丈夫だ。裸にしたわけじゃない。
運ぶ時に身体に触れたが、それでわかった」
魔法使いはリオルより年上にみえる、目の鋭い男だった。
「あ、リオルは?」
「あの男は、頭を殴ったら気を失った。
魔法を発動して、あなたを捕まえたので、少々焦ったが、そこまでの使い手ではなかったな」
「……気を失って、そのまま?」
「あいつはあなたを襲おうとしてたんだぞ?」
ミレーヌは思い出す。
あの時の恐怖。リオルは魔法の才能があって、自分の身を守る時だけ、無意識に使っていたのかもしれない。だから、あの時はレンを、ミレーヌをつかまえることだけに意識が行っていて、周囲に気がつかなかった。それはミレーヌも同じ。
「うー、でも、怪我がひどかったら……」
言い返しながら気がついた。
ミレーヌの力を警戒しているが、それなりに敬意を持って扱ってくれている!?
この馬車もそうだ。そして、あなたという呼称。
……ナナも騒いでいたし、ライナスにジョバンニもいたのだから、すぐ異変に気がついて、リオルを見つけてくれただろう。
ミレーヌは大きく息をついた。
「ファルク公爵の手の者?」
「……まあ、我々はそうだが……」
「我々って、パーティのこと?
公爵家と私を捕まえるように指示した者は違う?」
「もうあきらめたのか?
私になっているぞ。聖女ミレーヌ」
「だから、聖女はやめろって。
魔王討伐のために任命されただけで、私は聖女なんかじゃない!」
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