193 どこへ
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ナナの騒ぐ声に、ジョバンニとバートが灯りを持って出てきた。
「ナナ! どうしたんだ?」
ジョバンニがナナの方に行こうとすると、灯りが横倒しになっていてそのそばにリオルが倒れているのに気がついた。
慌てて駆け寄ると頭に傷があり……。
「……レン! レンは!?
バート! ライナスさんを呼んで来て!!」
「うん!!」
バートが家の中に走り込むように戻って行き、ギム爺さんとライナスが出てきた。
「ナナが騒いでいて、レンがいない!!」
ジョバンニの言葉にギム爺さんは周囲をざっと手に持った灯りで照らして言った。
「最低でも4人以上いたな。
レンの足跡が途中で無くなっている。抱えられて攫われたんだろう」
「ギム爺さん、そんなことわかるの!?」
ジョバンニが驚いたように叫ぶ。
ライナスが笑った。
「ギム爺さんは、俺が子どもの頃、ここらで有名な冒険者だったからな。
『白刃のギムレット』だよな!」
「昔のことだ。
今は解体と毛皮の加工職人だよ」
ギム爺さんがぼそっと言った。
リオルを家の中に運び、頭の傷を見る。
バートが収納魔法から薬の瓶を取り出した。
「レンがくれた薬だよ」
そう言って、リオルの頭の傷に振りかける。傷は塞がり始め、リオルは目を開けた。
「レン……、レンは!?」
「リオル、何があったんだ?」
ギム爺さんの言葉にリオルは頭の傷に手をやるとぼそぼそと答えた。
「……レンは、女だよな。たぶん、そうじゃないかと。
女でも男でもどっちでもかまわなかったんだけど……。
その、そばにいて欲しいと、好きだと、言った。
でも、レンは困った様子で……。だから、俺は、レンをつかまえて……」
「はあ、それで殴られた?」
「レンじゃない! 知らない誰かが、いつの間に後ろにいて!」
「……リオルを気絶させて、レンを攫った奴らがいる」
ギム爺さんの言葉にライナスが慌てて村の方へ視線を巡らした。
「ああ、たぶん奴らだな」
ライナスは村の方へ走りだしそうになり、一度止まってから言った。
「ジョバンニ! 一緒に来てくれ!
役人達とパーティがいるか、確認してくる!!」
「バートとわしはここでリオルを見ている。
……ケイトに申し訳ないと伝えてくれ」
ギム爺さんの言葉にライナスが頷く。
「俺達の村で、好き勝手するとは!
いくら公爵様とはいえ、これはひどすぎる」
「待て! ライナス。
証拠はない。あまり騒ぎ立てるな!
もし、本当に公爵家が相手なら、村などすぐに捻り潰される。
レンを殺さずに攫ったということは、何か理由があるはずだ。
レンとて、村に被害が、ケイトやジョバンニやバートが不利益を被ることは望んでいないだろう」
読んで下さり、ありがとうございます。
『白刃のギムレット』
この言葉を書きたいがために、ギム爺さんだったのですよ。
自分で書いていて変な名前だとは思ったのですが。




