表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/247

192 自覚

どうぞよろしくお願いします。

 レンは賑やかな場をそっと離れ、ナナの様子を見に外へ出た。

 暗いが、厩の前に小さな灯りが灯っていて、場所はわかった。

 ナナは落ち着いて過ごしている。


「ナナ、家の方にジョバンニとバートも来ているからね!

 明日、うーん、どうしようか。

 しばらくパーティがいるんだっけ。でも、罠も確認しに行きたいしね……」


「明日もこっちに泊れば?」


 レンは背後からの言葉にびっくりして振り返る。

 リオルが明かりを手に持って立っていた。


「あ、心配してついてきてくれた?

 すぐ戻るよ。ありがとう


「……レンなら、ずっといてくれてもかまわない」


 リオルの顔が少し赤い気がする。酒のせいか?


「それは、ありがとう。

 みんなも心配するね。戻ろう」


 レンがリオルの横に行き、そのまま家の方へと歩き出す。

 リオルは立ち止まったままだ。


「リオル?」


 レンが怪訝そうに立ち止まり振り返る。


「レン……、もう少し、ふたりで話をしたい」


「うーん。みんなで、ではなく?

 リオルはさ……。

 たぶん、子どもの頃、大人にひどく扱われて、子ども時代というか、その時の経験がないまま、大きくなったんだろうね。

 だから、やさしくしてくれる人には甘えたくなるのかも。

 でも、もっといろいろな人と、子どもや大人、ちょっと嫌なことを言ってくる人とも……、付き合って、経験を積み重ねた方がいいよ」


「いろいろな人……」


「うん、今はギム爺さんって保護者が、居場所があるんだもの。できるよきっと」


「居場所……。レンは一緒にいてくれない?」


「僕は……、この先どうするか、考え中で」


「俺と一緒に、ここにいるってのは?」


「えっ?」


「俺は……、レンが好きだよ。

 たぶん、この気持ちは、好きだというもの、なんだと思う」


「えっと……」


 レンは何か言わなくてはと焦るが、言葉が見つからない。


「レンは、俺のことなんか……、だよな」


 リオルが顔を歪めて笑う。


「初めて、初めて、こんなにそばにいて欲しいと思った。

 俺を見て、俺だけを見て欲しいと。だから……」


 リオルが素早く手を伸ばしてきた。ただの動きならばレンなら逃れられる。

 何故かその動きがぬるりとした感触で、手を動かしたと認識した時には掴まれていた。


「魔法?

 リオル、魔法が使える!?」


 レンが驚いて言った。

 自分の動きの速さを上げている!?

 それとも時間に干渉している?


 気がついたらリオルに抱きしめられていて、レンの顔や表情が強張る。恐怖だ。

 抵抗しようとするが、地面に引き倒されていた。

 ナナが異変に気付きけたたましい叫び声をあげる。


「やだ! カイエン!! カイエン、助けて!!」


 思わず別れを決めた人の名前を叫んでしまう。

 今更ながらミレーヌは自覚した。カイエンと別れるなんて、忘れるなんて、無理なことに。


 その時、リオルが「うっ!」と呻いて、ミレーヌの身体の上に倒れ込んできた。

 ミレーヌはリオルを横に丁寧に転がして、何が起きたのか確認しようとした時、顔に何か布のようなものを押し当てられた。

 誰!?

 レンは自分の顔を押さえ付けている手の先を見た。

 パーティの冒険者?

 それとその奥に、役人風の男……。

 ナナの叫び声が遠くなる。ミレーヌは意識を失った。


読んで下さり、ありがとうございます。

ケイトはリオルのことを知っていたので(前に治療で関わったことあり)、レンが気に入られてしまい距離をつめられて、さらに女だと知られたら、とっても面倒なことになりそうだと、心配したのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ