188 偵察
どうぞよろしくお願いします。
また長くなっちゃいました。
「いえ、その、森の中で、何か視線を感じて、でも、なにも見当たらないし……」
「ああ、なにか、冒険者が来ているようだぞ」
ギム爺さんの言葉を受けてリオルが説明してくれる。
「最近、あんたとジョバンニがいろいろな獲物を持ち込んで、ギルドの方でも評判になってるとか。
それで、珍しく冒険者のパーティがこの村の森に入っているそうだよ」
「そうか! パーティなら魔法使いが探索魔法を周囲にかけていたのかも!?
その気配か!
でも、それなら、なんで姿を隠してたんだろう?」
「……いつもの変な鳥に乗ってるからじゃね?」
まあ、確かにコボーはここらへんではすごく珍しい、か。
「……村の方にも見慣れない人達がいた。役人かという感じの人達」
レンの言葉にリオルが首を傾げる。
「うーん、それは珍しいな。商人は最近聞くけど」
ギム爺さんが、顎をくいっと上にあげた。リオルが言う。
「ああ、そうだね。ついでに様子を見てくるか……。
レンも行くか?」
「えっ、僕はナナが……」
「村の方が気になるんだろ?
あの鳥はここに置いておいて、馬車にこっそり乗せてやるよ」
それなら、隠れて様子を見れるか?
「ああ、じゃあ、馬車に乗せてもらって……」
「ああ、毛皮を縫製の職人に届けたら、また戻ってくるしさ」
ナナに「ちょっと村の偵察に行ってくるからここで待っていて」と伝えて、餌を出して、馬の桶を借りて水飲み場を用意した。
ナナは理解できたようでその場に座りこんで休むことにしたようだ。
リオルは馬を繋ぎ、馬車の用意をして、巻いた毛皮を荷馬車に積み込むと、毛皮と一緒に荷台にいるようにレンに言った。
「……ありがとう。でも、隠れてて、いいの?」
「いいって、師匠がそう言うから」
リオルは淡々とした様子で言う。
荷台に乗り込んだが、御者台のすぐ裏あたりにいて、話し掛けるレン。
「師匠って。ギム爺さんの孫じゃないの?」
「孫ではない。遠縁らしいけど。
俺の両親が死んで……、引き取って、弟子にしてくれた感じかな」
「そうなんだ」
「レンも似た感じ、だよな」
「え?」
「ケイトさんとこに弟子入り、だろ」
「そうだね。
確かに。ケイトさんが師匠になる!」
笑うレンに、リオルは少しだけ微笑んだ。
「レンは、気にしないでくれるんだな」
「何を?」
「いや、毛皮の加工の仕事を……、死体を扱うから気持ち悪いという人もいるからさ」
「仕事だもの。気にはならないけど。
大変な仕事だよね」
「……ありがとう。
なんか……。
また、時々こうやって話をしてくれるとうれしい」
「うん、そうだね。
毛皮の加工も見たいな。今度、見学に来るよ」
「頭を引っ込めて。村に入るよ」
レンはずるっと身体を滑らせて、そっと伺う。
ライナスのところに3人、役人風の男がいて、何やら話をしている。
そこへ冒険者の4人組パーティが合流した。
モルドバでは見かけなかった顔だ。この領地で活動しているパーティなのだろう。それなら、聖女のミレーヌのことも知らない、はず。
魔法使いらしい男の気配が、あの時、感じた視線に似ている……。
男達と冒険者は何やら話してから、ライナスから離れて、薬屋の方に向かったようだ。
リオルは普通に縫製工房の前に荷馬車を止めると荷物を運び始めた。
レンは男達の姿が見えなくなると、そっと荷馬車を降りてライナスの所へ行く。
「ライナスさん! あの人達は?」
「おお、レン!
レンとジョバンニのことを聞かれた。
ジョバンニにこの地の公爵から声がかかったみたいだぞ」
「公爵?
領主ってこと?」
「ああ、直接、獲物を卸してもらいたいみたいだな」
騎士として育てたいとか、そういう話じゃないんだな……。
「レンのことも聞かれた」
「えっ?」
「ああ……、でも、王都の方から来たギルド職員のクルトの弟だと言ったら、その後は特に聞かれなかったぞ。クルトはあのコボーという鳥のことで、けっこう有名みたいだな」
まあ、この近くのギルドにも寄ったしね。
「そうですか。あ、もう少ししたらケイトさんのところに帰りますが、あいつら、いつまでいそう?」
「今日はこのまま、村に泊るんじゃないかな?
パーティはケビンのところに泊まる契約を結んだとか」
「うーん?」
唸るレンにライナスが言った。
「そういや、今日の獲物は?」
「あ、バートがブラウンボア、持ってるよ。
まだ来てない?」
「レン! 戻るよ!」
リオルが荷馬車から呼んだ。
「今、行く! ライナスさん、なんかよその人に会わない方が良さそうだから、今日はギム爺さんの所にいるって、ケイトさんにこそっと伝えといて!」
読んで下さり、ありがとうございます。
ああ、新たな登場人物が……出てくる。
後日録という体裁をやめて、第二部としようかと思案中です。内容は変わらず、章立てし直しをしてみます。
これからもお付き合い、どうぞよろしくお願いします。




