第227話 ルート確定フラグ
俺達はイタリアンの店にやってくると、パスタセットを頼み、食べ始める。
「美味いな」
「ええ。評判が良かったし、一度行きたかったのよ」
へー……クロエと……いや、メイド服と一緒に外食は嫌か。
「俺もイタリアンは好きだけど、ウチはあまり外食しないからなー」
「そうなの? 仲が良い家族だし、頻繁にしてそうなイメージがある」
「子供の頃は行ってたかな? 中学くらいからあまり行かなくなったかも。思春期だな」
「こう言ったら悪いけど、あなたやトウコさんはずっと変わらないイメージがあるわ」
俺はあまり変わってないと思う。
「そんなことないぞ。トウコなんか一時期、お嬢様路線を目指して、いつも日傘を持ってたし」
ただ、あまりにも学校に忘れるから母さんに怒られてた。
「お母さんをリスペクトしたわけね。そのお嬢様路線で魔法学校にも入ったわけだ」
「うーん……あいつ、ブームがころころ変わるからなー……今はスーパーエリートウコ様で売ってる」
一言で言えば、アホなのだ。
「ちょっとあの子の生き方が羨ましいと思うわ」
「なんで? やめろよ」
嫌すぎる。
「そんなに眉をひそめなくても……単純に自由だなって思っただけ」
「シャルは自由じゃないのか?」
「どうだろ……ただ、自分でも色々とわからなくなってきた。クロエには呆れられちゃったしね」
クロエに呆れられる?
クロエに呆れたじゃなくて?
「何かあったの?」
「そうね……いや、今はデートを楽しみましょう。サラダも美味しいわ」
「確かに美味しいな」
『これ、デートなんだ……』と思いながら食事を続けていき、他愛のない話をした。
そして、食事を終えると、会計をし、店を出る。
時刻は19時半であり、辺りはまだ明るいものの、日が沈み始めていた。
「ウチに来る?」
「そうね。良い機会だし、もう少し勉強をしましょうか。あ、逆にこんな時間だけど、行っても良いのかしら?」
親は何も言わないだろうな。
「事情を説明すれば大丈夫だと思う。遅くなってもゲートで帰るだけだしな」
というか、勉強するって言えば絶対に何も言わない。
「そう? じゃあ、お邪魔するわ」
俺達は歩いていき、家までやってくる。
そして、家に入ると、リビングの方から賑やかな声が聞こえてくる。
というか、トウコの笑い声だ。
「ただいま」
「お邪魔します」
俺達はぽつりとつぶやき、家に上がると、リビングに向かい、扉を開けた。
「あ、おかえり……」
「おかえりなさい……」
「おかえり……」
トウコ、母さん、父さんから笑顔が消え、じーっとシャルの方を見る。
「何?」
急に静かになるなよ。
「いや……」
「ツカサ、シャルリーヌさんと一緒に帰ってきたんですか?」
母さんが聞いてくる。
「実はシャルの家でクロエとミシェルさんとメラニーさんって新しく赴任してきた先生が飲むらしい。同級生なんだってさ」
その場にはいないけど、エリク君も同級生。
「あ、そうなんですか。それでシャルリーヌさんがウチに?」
「うん。勉強する。それとトウコ、帰る時にお前の部屋のゲートを貸してくれ。クロエがそこから帰ればいいってさ」
トウコに頼む。
「それはいいけど……お兄ちゃん、勉強に目覚めたの?」
「優等生委員会に入ったんだ」
「平均点下げよう委員会の名誉会長のくせに」
うっせ。
「あとシャルが来てるからってお祭り女と下世話な巨乳を呼ぶなよ」
「きょ!?」
母さんがリディと同じ反応をする。
もしかして、ラ・フォルジュの伝統なのかもしれない。
「お祭り女は土日はいつも実家に帰ってるし、巨乳はユイカのお勉強を見てるよ。というか、私も勉強するし」
ユイカの奴、出し抜く気か?
ツカサ、負けない。
「じゃあ、そういうわけだから」
「あ、お茶を……」
「いいです! いいです! お食事を続けてください!」
母さんが立ち上がると、シャルが慌てて止める。
「そう?」
「私達も食べてきましたし、ちょっと勉強をしたら帰りますから」
そんなに遅くまではおらんわな。
「デートだ、デート。お父さん、デートだよ」
トウコが嬉しそうに父さんを見る。
「お前は?」
「私、パパと結婚するー」
「ハァ……」
「何故にため息?」
バカだからだろ。
俺とシャルは階段を上がり、俺の部屋に入ると、勉強を始める。
窓の外は暗く、この時間にシャルが部屋にいるのがちょっと不思議な感じがした。
「ツカサの家っていつもあんな感じで明るい食卓なの?」
ん?
「うるさいのが1人いるからな。あんなもんじゃないかな?」
別に特段、明るい食卓とも思わないが。
まあ、いつぞやの4月は真っ暗だったからそれに比べたらかなり明るい。
「そう……」
なんとなくだが、今日のシャルはなんか変だ。
いや、月曜からちょっと変な気がする。
「どうしたん? 何かあった?」
「いや、私、やっぱり暗い女なのかなーっと思っただけ」
どうだろ……
「アクティブな方じゃないとは思うけど、別に暗くはないと思うぞ」
「そうかしら?」
「いつも楽しそうに錬金術のことを話しているし、なんだかんだで海も楽しそうだったじゃん」
「まあ、確かに楽しかったわね……」
何かを悩んでいる感じがする。
しかし、これに踏み込んでいいものなのだろうか?
俺とシャルには壁がある。
お互いに話していないことが多くあるのだ。
「本当に何かあった? もしかして、クロエとケンカした?」
クロエに呆れられたって言ってたし、シャルの家を出る際、クロエとシャルは目を合わさなかったのがすごく不自然だったのだ。
「ケンカではないかな……ツカサさ、なんで私が日本に住んでいると思う?」
シャルの方から踏み込んできた……
5月に出会って、ずっと気になっていたことではある。
しかし、シャルが言いたくなさそうな雰囲気を出していたし、俺の方から絶対に触れなかった話題だ。
さて、どうするか……
俺はバカだけど、こういうのはわかる。
ここの対応次第で何かが変わる予感がした。
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