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バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~   作者: 出雲大吉
第6章

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226/226

第226話 薬を盛ったお嬢様に言われたくない


「――ツカサ、ツカサ」


 揺すられる感覚とシャルの声で目が覚めると、シャルが覗き込んでいた。


「あと5分……」


 そう言って布団を被る。


「起きなさいってば。もう1時間経ったわよ」

「早くなーい?」

「1時間は早いわよ」


 まあな……


「起きるか」


 上半身を起こすと、不思議と眠気がなくなっていた。


「体調はどう?」

「良い感じ。ちょっとした睡眠って良いんだな。まあ、夜にやったらそのまま朝になりそうだけど」

「それはそうでしょうね。じゃあ、勉強を再開しましょうか」


 俺達は隣の部屋に戻ると、勉強を再開する。

 わからないところや覚えるのが難しいところはシャルが丁寧に教えてくれたし、平日に勉強すべき点もまとめてくれた。

 そして、昼になり、1階のリビングで昼食を食べる。


「…………ミシェルさん、なんでそんなに暗いの?」


 なんかミシェルさんが俯きながら昼食のオムライスを食べている。


「ちょっとね……考えることが多いの」

「負けても気にしなくていいじゃん」

「チェスのことじゃないわよ」

「違うの? いつも考える人になってるからそれかと思った」


 ホント、ピクリとも動かなくなるからな。


「ツカサ君、チェスやる?」

「テスト前に教師が勧めるなよ。というか、ルール知らんし」

「じゃあ、リバーシにしますか?」


 クロエが誘ってくるが、全部真っ黒にされる未来しか見えない。


「テストだっての。それよりも同窓会を兼ねた歓迎会って何時までなの?」

「何時くらいですかね?」


 クロエが隣のミシェルさんを見る。


「どうだろ……お嬢様にはツカサ君の家に泊まってもらうのはどう?」

「隣がトウコ様の部屋じゃないですか。あ、駅近くに良い感じのホテル――」

「そーっと帰ってくるから大丈夫よ。すぐに2階に上がればメラニーも気付かないでしょ」


 というか、ミシェルさんかメラニーさんの家でやればいいのにね。


 俺達は昼食を食べ終えると、2階に戻り、勉強を再開する。

 そして、順調に勉強をしていくと、18時を過ぎた。


「そろそろ行く?」

「そうね……じゃあ、下で待っててくれる? 出るなら準備したいし」


 女子はそうだろうな。

 トウコですらなんかしてるし。


「わかった。まだ時間もあるし、ゆっくりでいいからな」

「ええ」


 俺達は勉強道具を片付けると、部屋を出た。

 そして、寝室の方に向かったシャルと別れると、階段を下り、1階のリビングに向かう。

 すると、テーブルで固まっているミシェルさんとキッチンにいるクロエがいた。


「やっぱり考える人じゃん」

「難しいところなの……あれ? もう出る感じ?」


 顔を上げたミシェルさんが聞いてくる。


「シャルの準備が終わったらね。というか、もう18時を過ぎてるよ?」

「あ、ホントだ……いつの間に」


 そこまでチェスに集中していたのか。

 楽しいのかね?


「クロエ、料理してるの?」


 良い匂いがする。


「歓迎会ですからね。お酒は缶酎ハイですが、摘まめるものは作ります」


 メイドさんはすごいなー。


「ちなみにだけど、護衛は良いの?」


 護衛を兼ねたメイドじゃなかったっけ?


「日本は安全ですし、ナイトがいるので大丈夫です。あ、ナイトが豹変するのは丸です」


 ダメだろ。


「シャルが怒るぞ」

「大丈夫ですよ。それと食後は本当にツカサ様の家に寄ってもいいですよ」

「なんで?」


 ふざけないと死んじゃうんだろうか?


「勉強しても良いですし、息抜きをするのも良いと思います。というのも帰りはトウコ様の部屋にあるゲートから自分の部屋に行けばいいんですよ」

「シャルは人に見られるのが嫌って言ってたぞ」

「土曜の夜なら誰もいませんよ。ほとんどの人間が実家に帰ってますしね」


 確かに男子寮はそうだし、女子寮もなのかもな。


「うーん……」

「勉強は大事ですよ? それに夜道を帰るよりもずっと安全ですしね」


 まあねー……


「シャルに聞いてみる」

「そうしてください……ミシェル、そろそろメラニーを呼んできてください。それと適当にお酒もお願いします」


 クロエがいまだに悩んでいるミシェルさんに指示する。


「え? もうすぐで考えがまとまるんだけど?」

「もう詰んでますから考えても無駄です」

「あ、そう……」


 ミシェルさんはガクッと落ち込み、立ち上がった。

 そして、落ち込みながらリビングから出ると、シャルが代わりに入ってくる。


「なんかミシェル先生がすごくへこんでいたんだけど……」

「いつものやつ。チェスで負けたっぽい」

「そんなにチェスが好きなのかしら……」


 多分、クロエに負けるのが悔しいんじゃないかな?


「あの人はねー……まあいいや。行ける?」

「ええ。大丈夫」


 シャルが頷いた。


「じゃあ、行こう。クロエ、行ってくるから」

「いってらっしゃいませ。ちゃんとお嬢様を家に誘うんですよ」

「はいはい」


 軽く流すと、シャルと共に家を出て、イタリアンの店に向かう。


「……家に誘うって何?」


 シャルがジト目で聞いてくる。


「今日は土曜だし、寮は人がいないからトウコの部屋のゲートから帰れだってさ。ついでに勉強しろだって」

「そういうこと……なんであの子はいちいちいやらしい言い方をするのかしら?」


 そういう人間なんじゃないの?


お読み頂き、ありがとうございます。

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