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魔導国家の魔斬剣士 ~王国最強騎士団をクビになった俺は敵国にヘッドハンティングされました~   作者: 出雲大吉


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第027話 初日終了


 少しすると、次々と料理が運ばれてきたので食べていく。

 なお、本当にアリアがサラダを取り分けてくれた。


「悪いな」

「いーえ」


 取り分けてくれたサラダを食べると、新鮮さを感じたし、ドレッシングがよく合っていて美味い。

 次に焼き貝が来たので食べてみる。


「貝、美味いな」


 塩味が効いていて、すごく美味い。

 何よりも懐かしい味だった。


「ホントにな。フィリス、良い店だな」


 ギルバードも満足のようだ。


「でしょ? 私も紹介してもらった店だけど、また来ようと思ったんだ」

「うん、良いわね」


 俺達は美味い料理を食べ、ワインを飲んでいく。

 フィリスは言っていたように最初の1杯だけであとはジュースを頼み、それを飲んでいた。


「飲めないのか?」

「そんなに強くないってだけ。嫌いじゃないけど、泥酔したらダメってお母様に言われた」


 それに関しては良いことを教えたと思う。

 男性云々はちょっと偏見が……


「アリアは飲むんだな」

「私も嗜む程度よ。普段から飲んでいるわけじゃないし、こういう席だけ」

「ギルバードは飲んでそう。レオンはなんかヤバそう」


 ヤバいって何だろう?


「俺もたまにしか飲まないな。レオンは確かにザルっぽいな。なんか騎士団はそういうイメージがある」


 あ、そっちか。


「年に一回くらいは店の酒を飲み尽くすみたいな飲み会があるな。辛いのはその時だ」


 酔う酔わない以前にもう胃に入らない状態になるまで飲む。

 死人が出てもおかしくないと思うほどだ。


「ほら、ヤバい」

「想像通りだ」

「ウチでは禁止しまーす」


 いや、やりたいわけじゃない。


「やらないし、強制する気もない。一回、ヤバかったよな?」


 エルに聞く。


「トイレで寝てたな。あんな飲み方をするのは異常だぜ? 俺ならすぐにふやけちまう」


 そりゃそうだ。

 紙じゃん。


「でも、警察とか軍もそのイメージがあるんだが、この国ではどうなんだ?」

「俺は知らないな。軍所属と警察所属、どうだ?」


 ギルバードがアリアとフィリスに聞く。


「私、経理だったからなー。女性職員が多かったし、そんなことはなかったわよ。現場の人達は知らない」

「警察はちょっとひどかったかも。まあ、私に注いで来る人はいない」


 小さいし、何よりも貴族令嬢を潰したらヤバそうだからかな?


「偏見かもしれないが、特殊捜査チームとかすごそうだな」


 あ、わかる。


「かもねー」

「行きたくない飲みの場だね」

「お前らはこういうところで普通に飲みな。騒ぐだけが飲み会じゃないぜ」


 俺達はエルに言われた通り、その後も摘まめるものを頼み、ワインを嗜みながら話をしていく。

 普通の他愛のない雑談がメインであり、楽しいと思う。


「ちょっとトイレ」

「あ、俺も行く」


 ギルバードと共にトイレに向かった。

 そして、小便器の前で並んで用を足す。


「どうするんだ?」


 ん?


「何が?」

「いや、お前、アリア狙いだろ」


 なんか本当に合コンみたいになってきた。

 噂で聞いたことがあるトイレで作戦タイムだ。


「いや、決起会だろ」


 それと歓迎会。


「関係ないと思うが……それにお前にはとんでもないアドバンテージがあるんだぞ」


 アドバンテージ……

 しかも、とんでもない……


「何だ?」


 ちょっと気になっただけで他意はない。


「同じところに住んでるだろ。一番苦労する部屋に誘うというのがスムーズにできる」

「スムーズにできるか?」


 ハードルが高いんだが。


「簡単だろ。アパートに戻ったらもうちょっと飲まないかって誘えばいい。帰ってから店に行くのは億劫だし、自然とお前の部屋になる。あとは流れ」


 へ、へー……俺、その流れに乗れない自信がある。


「いや、さすがに今日はない。今日はお前らと楽しみたいんだ。それだけで良い」


 こういう良い飲み会は久しぶりなのだ。

 いや、初めてかもしれない。


「そうかい。今度は2人で飲みに行こうぜ。こういう雰囲気のある店じゃないけどな」

「ああ。良いな。行こう」


 俺達は用を足し終えると、手を洗い、席に戻る。

 なお、戻る際にアリアの『もう! やめてよー!』が聞こえた。


「何を話してたんだ?」


 席につくと、ギルバードが聞く。


「女子の会話」

「あ、エル、言わないでね」

「言わねーよ」


 ちょっと気になる……


 俺達はその後も会話をしながらワインを飲む。

 さすがにもう満腹と思っていたのが、アリアとフィリスが最後にケーキを頼んだ。

 それを見て、女子らしい飲み会だと思った。

 騎士団の飲み会では絶対に注文しないやつだからな。


「おっ、ケーキも良いわね」

「でしょ? 良い店を見つけた」


 俺とギルバードは食べないが、確かに良い店だと思う。

 値段もそこまでだし。


 美味しそうに食べる2人を眺めながらワインを飲んでいると、ちょうどケーキを食べ終えたタイミングでボトルが空いた。

 4人で2本を空けた程度だ。


「ご馳走様。さて、お開きかな。というわけでリーダー、締めの挨拶をお願い」


 フィリスが指名してくる。

 まあ、俺の歓迎会だし、乾杯が副リーダーだったのでそうなるだろうとは思っていた。


「そうだな。皆、決起会を兼ねたものだが、俺の歓迎会を開いてくれてありがとう。美味い店だったし、楽しかった。俺はヴァルテンブルクに30年住み、ここには来てまだ2日だ。わからないことも多いし、リーダーとしてふがいないことも多いかもしれない。でも、俺なりに頑張っていくから皆も協力して欲しい。明日からまたよろしく頼む」

「任せて!」

「頑張ろう」

「よろしくな」


 挨拶を終えたので会計をし、店を出た。

 もちろん、割り勘である。

 そして、歩いていき、集合場所だったアパートに行く通りで立ち止まった。


「じゃあ、また明日ね」

「うん。ギルバード、フィリスをお願い」

「ああ。アパートまで送っていく」


 それが良い。


 俺達はこの場で別れると、アパートに向かう。


「いやー、ちょっと飲みすぎちゃったかも。楽しかったしね」


 アリアはご機嫌だ。


「ああ。俺もだな。良い飲み会だった」


 本当に……


「大丈夫? 飲み足りないとかない?」


 …………トイレでのギルバードとの会話がちらつく。


「俺も普通に飲む時はあのくらいだよ。明日は仕事だしな」

「それもそっか。あ、ちゃんと水を飲んで寝るのよ? それで翌日が全然、違うから」

「ああ。そうするよ」


 気配りのできる子だなと思いながら歩き、アパートに入る。

 受付にはハンナがいなかったが、食堂の方は灯りがついており、人の気配がするのであっちにいるのだろう。


「じゃあ、明日ね。寝坊……はしなさそうね」

「明日も早起きで日課だよ」


 素振り。


「そっか。すごいわね。じゃあ、おやすみなさい。明日からもよろしくね」

「こちらこそ。今日はありがとう」

「それこそこちらこそ。じゃ」


 アリアが右の通路に入っていったので階段を上がり、自分の部屋に入った。


「ふう……」


 剣とエルを置き、ベッドに腰かけると、一息つく。


「実際、飲み会はどうだったよ?」


 エルが飛んできて、聞いてくる。


「良かった。穏やかな飲み会だったが、華やかだったな。本当に楽しかったよ」

「そうかい。もうちょっと飲まないかって誘わなくても良かったか?」


 エルはトイレについてきてないはずなんだがな……


「大丈夫だ。今日は本当に満足した」

「少しは欲を出せたか? 自分の思うように過ごせたか?」 

「出せた。美味い料理と酒を飲み、同僚と他愛のない話で盛り上がった。こんな感じでいきたい」


 明日からも頑張ろうと思えた。


「そりゃ良かったな。俺も良いと思うぜ」

「ああ……俺とギルバードがトイレに行っていた時、アリアとフィリスは何の話をしてたんだ?」


 気になっていたことを聞いてみる。


「そりゃ言えねーよ。そういう約束をしたからな。ま、どうせお前らの方と変わらねーよ」


 俺達とねー……


「まあ、いいか。今日はもう寝る」

「ああ。寝ろ。俺も寝床に行く」


 エルはそう言って、本棚に空いているスペースに収まる。

 俺も風呂に入ると、さっさと就寝した。


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