第023話 便利な街
森を出ると、村に向かう。
時刻はすでに15時を回っていた。
「さっさと帰ろうぜ。決起会兼歓迎会の前にシャワーを浴びたい」
それは俺も思う。
「そうねー。二人ほど動いてないけど、汗かいちゃった」
「シャワーは大事なマナー」
「シャワーとマナーをかけてるの?」
「え? いや、意識してない」
「あ、そう……」
何故か嬉しそうな顔をしていたアリアがしゅんとする。
でも、俺もそう思ったから大丈夫。
俺達は村に戻ると、門の方に回り、門番のところに向かった。
「ん? あ、戻ったのか。どうだった?」
俺達に気付いた門番が聞いてくる。
「原因はウルフの特別種だった。それは討伐したし、もう大丈夫だと思う」
「おー! マジか! あ、ちょっと待ってくれ。村長を呼んでくる」
興奮した門番が村に走っていった。
そのまま待っていると、すぐに村長さんがやってくる。
「お待たせしました。ウルフの特別種を倒したとか……ありがとうございます」
村長さんが頭を下げる。
「おそらく魔物の増加の原因でしょう。これで大丈夫だと思いますが、もし、何かあるか、魔物が減らないということであれば、また要望を出してください。すぐに動きます」
「本当にありがとうございました。ただただ感謝です」
「いえ、我らは職務を全うしただけです。それではこれで」
俺達は揃って敬礼すると、村をあとにし、車まで戻った。
「よし、帰るか。運転はどうする?」
「俺がやってもいいか? もうちょっと慣れたい」
10分くらいしか運転してないし。
「じゃあ、任せた」
「よろしくー」
「安全運転でよろー」
女子2人が荷台に乗り、ギルバードも助手席の方に回ったので運転席に乗り込んだ。
そして、後ろの2人を確認し、問題なさそうなので出発する。
帰りもスピードは出さずに安全運転で進んでいくと、後ろの小窓が開き、アリアとフィリスの顔が半分ずつ見えた。
「レオン、今日はどうだった?」
「感想を聞かせて。今後に生かす」
2人が聞いてくる。
「良いと思った。ギルバードは経験があるようで安定していたし、アリアとフィリスも落ち着いていた。この感じで良いと思う」
悪くはなかった。
「ダメな点は?」
「そこも大事」
うーん……確かに言った方が良いな。
「アリアとフィリスは魔法使いということもあるからだと思うが、前しか見ていないのが気になった。もちろん、俺やギルバードが守るんだが、普段から周りを観察する癖をつけた方が良い。俺達がいないというケースも十分に考えられる」
口には出さないが、俺とギルバードがやられるというケースもある。
その時は当然、逃げるのだが、その時に注意散漫では別方向からやられてしまう。
「周りを見ることね」
「わかった。他は?」
「いや、それくらいだ。あとはさっき言った魔法の選択と幅だな」
選択肢は多い方が良い。
魔法ならなおさらだ。
「了解。自主練する」
「フィリス、インパクトを教えてよ」
「そだね。魔法を教え合おう」
2人は窓を閉め、魔法の練習を始めた。
「ギルバードも魔法を使えるんだよな?」
「そういや全然、使ってなかったじゃねーか」
俺とエルが聞く。
「使えるは使えるが、アリアやフィリスと比べられるレベルじゃない。それに槍の方が得意だし、そっちがメインなんだよ。魔法は奥の手だな」
ギルバードは体術もできるって言ってたし、戦いの幅が広そうだ。
「ギルバード、元ハンターか?」
「まあ、そんなところだな。俺もルーファスから誘われたんだ」
ルーファスから……
「ルーファスってどこの所属なんだ?」
「軍だと思うが、部署は……わからん」
謎な男だな。
その後も話をしながら進んでいくと16時前には王都に戻ってきた。
車を門の前に止め、門番に声をかけると、中に入り、歩いていく。
「帰りは列車にしようか。そこから部署に帰ろう」
「西の駅に着くのか?」
「いや、途中、途中で駅があるよ。行政区にもあるからそこ。街の人も普通に使うし、安価だから便利」
王都も広いし、確かに移動するには便利そうだな。
前世にも街中を走る列車はあったが、ここまで発達しているのか。
俺達は東の駅までやってくると、中に入る。
やはり人が多く、よく利用されるんだなと思った。
そんな中、切符の買い方や時刻表の見方を教えてもらい、列車に乗り込んだ。
もちろん、俺が乗ってきた個室ではなく、一般車両のボックス席だ。
そこで俺とギルバードが並び、正面にアリアとフィリスが並んで座ると、すぐに列車が動き始めたので窓から外を見る。
「上から見てもすごいな」
「ヴァルテンブルクとは全然ちげーな」
列車は高いところを通っているので街並みがよく見える。
利用客が多いのは変わらないが、建物や街並みがまったく違うのだ。
ただ、そんな中、南の方に明らかに色が異なる街並みも見えた。
「アリア、スラムはあれか?」
正面にいるアリアに聞く。
「ええ。ここから見たらすぐにわかるでしょ。実際にあそこは空気も何もかも異なっているわ。建物も昔のままだし、衛生面も良くない。当然、街の人も良く思っていないし、近寄ろうともしない」
それはそうだろうな。
そのまま街中を見ていると、所々で駅に止まりつつも10分くらいで行政区にある駅に到着したので列車から降りる。
「ここの駅は小さいんだな」
というか、小さなロータリーがあるだけであとは下り階段だ。
「駅が大きいのは西と東だけ。あとは止まるだけね。下りたらすぐに部署だから行きましょう」
俺達は階段を下りる。
すると、本当にすぐ近くに部署が見えたので歩いていき、中に入った。
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