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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第五十九話 ぐうたら三男、借りを作られる

 ――その後は、本当に大変だった。


 地下崩落から救助活動。


 王城の封鎖。


 負傷者確認。


 事情聴取。


 事情聴取。


 さらに事情聴取。


「ほんとなんであんなに質問されたんだ……」


 レイはソファへ沈み込みながら呟いた。


 現在地。


 王都中央区画。


 王城近辺に用意された特別拠点。


 国から半ば強制的に与えられた屋敷である。


 広い。


 無駄に広い。


 そして高級。


「住み心地は最高なんだけどなぁ……」


 窓際ではエミリーが紅茶を淹れていた。


「ほぼ軟禁みたいなものですけどね」


「言わないで」


 悲しくなる。


 あれから数日。


 王都は大騒ぎだった。


 地下封印区画の崩壊。


 未知の侵食個体。


 謎の仮面の男。


 そして。


 王城地下を半壊させた超大規模戦闘。


 当然、国王への報告案件である。


 結果。


 レイは盛大に巻き込まれた。


「……はぁ」


 思い出すだけで疲れる。


 あの後、王城謁見の間へ連行され。


 国王直々に事情説明を求められた。


 なお。


 セシリアと教授がかなりぼかして説明してくれたおかげで、管理領域や古代魔語については深く追及されなかった。


 本当にありがたい。


 ただし。


「功績は誤魔化せませんでしたけどね」


 エミリーが苦笑する。


「誤魔化したかった……」


 本気だった。


 だが現実は非情である。


 王城地下崩落の被害抑制。


 近衛騎士団救援。


 侵食個体討伐。


 仮面の男の撃退。


 功績盛り盛り。


 結果。


『レイ・ゴールドよ』


 国王は重々しく告げた。


『そなたを王国直属特別特務へ任命する』


「嫌です」


 レイは即答した。


 謁見の間が静まり返った。


 セシリアが頭を抱え。


 教授が遠い目をし。


 エミリーは慣れた顔をしていた。


『……理由を聞こう』


『面倒なので』


 正直だった。


 非常に正直だった。


 だが。


 当然通らない。


 結局。


 爵位授与案まで出された。


『伯爵位を与える』


「重い!」


 レイは全力拒否した。


 三男で気楽に暮らしたいのだ。


 権力とかいらない。


 責任もっといらない。


 すると国王はしばらく考え――。


『では借りとしておこう』


 そんなことを言い出した。


『いずれ必要な時、王国はそなたへ正式に報酬を支払う』


「嫌な言い方だなぁ……」


 断れなかった。


 完全に貸し借り案件である。


 しかも国王相手。


 重い。


 すごく重い。


「絶対あとで面倒事来るじゃん……」


「来ますね」


 エミリーが即答した。


 酷い。


 だが否定できない。


 レイはソファへさらに沈み込む。


 現在、王都では半ば英雄扱い。


 なお本人は全力で嫌がっている。


「俺、のんびり生活したかっただけなんだけどなぁ……」


「ダンジョンで暴れて王城地下を半壊させた人が何を言ってるんですか」


「半壊させたの俺だけの責任じゃないだろ!」


「三割くらいはあります」


「増えた!?」


 エミリーがくすくす笑う。


 レイは盛大にため息を吐いた。


 だが。


 少しだけ思う。


 仮面の男。


 侵食。


 管理権限。


 全部、まだ終わっていない。


 王都にも何かが残っている。


 地下施設の技術。


 古代文明。


 そして。


 自分だけが読める“古代魔語”。


「……面倒事、まだ増えるんだろうなぁ」


 ぼやきながら。


 レイは紅茶へ手を伸ばした。


 せめて今くらいは。


 だらだら休みたかった。

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