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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第四十四話 ぐうたら三男、王城へ行きたくない

『王城地下に追加侵食反応を確認』


「……は?」


『中程度脅威判定』


「増えるなよぉ!?」


 レイは頭を抱えた。


 心底嫌だった。


 地下水路問題が終わった直後である。


 休ませてほしい。


 切実に。


「どうしました?」


 セシリアが怪訝そうに聞く。


「嫌な追加情報」


「またですか」


「またです」


 もう慣れ始めている辺りが酷い。


 レイは盛大にため息を吐いた。


「王城地下にも侵食反応」


 空気が変わる。


「……本当ですか?」


 セシリアの顔が険しくなる。


「たぶん」


「たぶん?」


「俺にだけ通知来るんだよ」


「本当に便利なのか不便なのかわかりませんね、その能力」


「本人もそう思う」


 アルベルトが顎へ手を当てた。


「地下水路だけでは終わらない、か」


「むしろ本命が王城側なんじゃないか?」


 レイは顔をしかめる。


 王城。


 王都中枢。


 地脈流の中心にも近い。


 狙うなら確かにそこだ。


「最悪だなぁ……」


 だが。


 セシリアはすぐに切り替えた。


「なおさら王城へ急ぎます」


「帰宅ルート消えた」


「最初からありません」


「酷い」


 本当に酷い。


 ◇


 王城。


 アルデバラン王国の中心。


 白亜の巨大城郭。


 以前、国王との謁見で訪れた時と変わらぬ威容だった。


「やっぱでかいな……」


 レイはぼそりと呟く。


「前回来た時も同じこと言ってましたよ」


 エミリーが小さく笑う。


「覚えてなくていい」


「しっかり覚えています」


 セシリアは呆れ顔だった。


「謁見中に“帰っていいですか”と発言した貴族は初めて見ました」


「だって長かったし」


「国王陛下相手ですよ!?」


「ちゃんと怒られなかったからセーフ」


「セーフではありません」


 そんなやり取りをしながら王城門へ近づく。


 だが。


 様子がおかしい。


 騎士たちの空気が張り詰めていた。


 緊張感。


 慌ただしい足音。


「……なんか空気悪くない?」


 レイが小声で呟く。


 セシリアもすぐ気づいた。


「何か起きていますね」


 すると。


 門側から一人の騎士が駆けてきた。


「セシリア宮廷魔導士殿!」


「何がありました?」


「王城地下区画にて魔物発生です!」


「は?」


 レイが素で声を漏らした。


 タイミング悪すぎる。


「現在、近衛騎士団と宮廷魔術師隊が対応中ですが……」


 騎士の顔が青い。


「侵食型です」


 沈黙。


 セシリアの表情が消える。


「……やはり」


 アルベルトも険しい顔になった。


「地下まで侵入していたか」


 レイは盛大に顔を覆う。


「帰りたい……」


「今来たばかりですよ」


 エミリーのツッコミが冷静だった。


 その時。


 脳内へ球体の声。


『侵食拡大率上昇』


『王城地下第一封鎖区画、封鎖失敗』


「失敗すんなよぉ!?」


 レイが叫ぶ。


 騎士たちが驚いた。


「な、何かわかったのですか!?」


「かなりまずい」


 本気だった。


 地下水路とは違う。


 王城地下は地脈中枢に近い。


 暴走規模が大きい。


「レイ殿」


 セシリアが真剣な顔で言う。


「行けますか?」


「行きたくない」


「聞き方を間違えました」


 セシリアは一歩近づく。


「お願いします」


 珍しく。


 本当に真剣だった。


 レイは少し黙り。


 そして深くため息を吐く。


「……はぁ」


 逃げられない。


 しかも。


 放置すると被害が広がる。


「わかったよ」


 レイは右手を軽く振った。


 青白い古代術式が浮かぶ。


「案内して」


 騎士たちは息を呑む。


 セシリアは小さく頷いた。


 そして。


 一行は王城地下へ向かって走り出した。

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