表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/109

第三十五話 ぐうたら三男、同類を確信する

『――邪魔を、するな』


 ノイズ混じりの日本語。


 だが。


 間違いなく意味を持った言葉だった。


 レイの目が細くなる。


「……やっぱりか」


「レイ様?」


 エミリーが不安そうに声をかける。


 だがレイは黒い人影から目を離さない。


 今の言葉。


 日本語だった。


 つまり。


(転生者か、あるいは……)


 少なくとも古代魔語を理解している。


 偶然ではない。


 これまでの事件。


 アストラ遺跡。


 侵食実験。


 全部繋がった。


「お前、転生者か?」


 レイが日本語で問いかける。


 周囲には意味不明な音にしか聞こえない。


 セシリアたちは警戒したままだ。


 黒い人影は沈黙した。


 だが。


 空間の黒い魔素が僅かに揺れる。


 反応した。


『……継承者、か』


「質問に答えろ」


『管理権限を渡された時点で、お前は敵だ』


「答えになってない」


 レイは露骨に嫌そうな顔をした。


「面倒な会話タイプだこれ」


『……』


「無言やめろ怖い」


 すると。


 黒い人影がゆっくりと形を崩し始める。


『まだ不完全だ』


「逃げる気か?」


『次は直接会おう』


「嫌です」


 即答だった。


 だが人影は気にしない。


『継承者』


『お前はいずれ選ばなければならない』


「だから何をだよ」


『この世界を維持するか』


 一瞬。


 黒い魔素が脈動する。


『壊すかを』


 次の瞬間。


 人影が崩壊した。


 ドバッ!!


 黒い魔素が霧散する。


「うわっ」


 セシリアが身構える。


 だが攻撃は来ない。


 侵食反応が急速に消えていく。


『侵食端末消失を確認』


 球体が淡々と告げる。


『脅威反応低下』


「逃げられたか」


 レイは大きく息を吐いた。


 空気が重い。


 エミリーが静かに近づく。


「……レイ様」


「ん?」


「今の、古代語だったんですよね?」


 レイは少し迷う。


 だが。


「まあ、そんな感じ」


 完全否定はしなかった。


 エミリーはそれ以上追及しない。


 代わりに。


「レイ様が嫌そうな顔をしていたので、ろくでもない相手なのはわかりました」


「正解」


 本当にろくでもない。


 しかも。


 自分と同じ、日本語理解者。


 つまり。


(転生者の可能性が高い)


 前世持ち。


 あるいは古代文明関係者。


 どちらにせよ危険だ。


 アルベルトが水晶柱を見上げる。


「侵食現象……やはり意図的な干渉だったか」


「アストラ遺跡も同じだろうな」


「そう考えるのが自然だね」


 セシリアは険しい顔になる。


「目的はなんなのでしょう」


「知らん」


 レイは即答した。


「でも碌でもないのは確定」


 その時。


 水晶柱が再び発光する。


『侵食排除を確認』


『継承処理を再開します』


「しなくていい!」


『接続率45%』


「増えてるぅ!?」


 レイは頭を抱えた。


 さっきの戦闘中にも進行していたらしい。


『中枢管理者不在期間が長期化しているため、自動継承を優先』


「ブラック企業か?」


『不明単語』


「そうだろうな!」


 すると。


 巨大水晶の奥。


 さらに下層へ続く階段が浮かび上がった。


 ゴゴゴゴ……。


「……まだ下あるの?」


『中枢管理室へ案内します』


「帰りたい」


『拒否』


「お前に拒否権あるの!?」


 球体が当然のように前進を始める。


 エミリーが小さく笑った。


「諦めましょう、レイ様」


「最近みんな俺への扱い雑じゃない?」


「慣れました」


「酷い」


 だが。


 レイも理解していた。


 ここで逃げても終わらない。


 むしろ。


 事態は確実に悪化する。


「……はぁ」


 深いため息。


「行くぞ」


 そう言って。


 レイたちは、第零管理区画のさらに深部へ足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ