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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第三十話 ぐうたら三男、深層へ向かわされる

「帰っていい?」


「ダメだろうね」


 アルベルト・クロイツは爽やかに言い切った。


 レイは死んだ目になる。


「知ってた」


 中央研究院・地下研究区画。


 空気は完全に緊迫していた。


 研究員たちは術式盤を囲み、慌ただしく観測を続けている。


「深層反応、依然活性化中!」


「古代術式出力が上昇しています!」


「封鎖壁の維持率低下!」


 レイはその様子を眺めながら深いため息を吐いた。


「完全にイベント始まってるじゃん……」


「他人事みたいに言わないでください」


 セシリアが呆れる。


「いや巻き込まれ側だし」


「中心人物です」


「不本意」


 すると。


 術式盤が再び光る。


『アクセス権保持者へ通達』


『深層封印維持限界まで残り二十八時間』


『ただし封印崩壊時の被害想定は王都半壊』


 日本語だった。


 当然、周囲の研究員たちは読めない。


「……また反応しましたか」


「内容は?」


 アルベルトがレイを見る。


 レイは嫌そうな顔をした。


「タイムリミット付きらしい」


「具体的には?」


「……封印が限界近いっぽい」


 完全には言わなかった。


 王都半壊など口にした瞬間、大騒ぎになる未来しか見えない。


 だがアルベルトは察したように目を細める。


「かなり危険なのだね?」


「まあ」


「レイ様」


 セシリアが真面目な顔になる。


「放置は?」


「したくない感じ」


 かなりぼかした。


 だがそれでも十分だった。


 研究員たちの顔色が悪くなる。


「やはり深層区画が原因か……」


「封鎖維持が限界なのでは……」


 レイは内心で(いやもっとヤバいんだけど)と思ったが黙った。


 絶対面倒な案件だ。


 アルベルトは腕を組む。


「深層調査は必要だろうね」


「ですよねー……」


「もちろん強制はしない」


「でも行かないと危ないんだろ?」


「そういうことだ」


「実質強制では?」


 誰も否定しなかった。


 レイはしばらく黙り込む。


 本当に面倒だ。


 だが。


 放置した場合、確実に碌でもないことになる。


「……はぁ」


 盛大なため息。


「行けばいいんだろ行けば」


 研究員たちが少し安堵した。


 セシリアも小さく息を吐く。


 だが。


 レイは真顔で続けた。


「ただし働きすぎない」


「そこは譲らないんですね」


「大事だからな」


 すると。


 アルベルトが微笑んだ。


「同行者はこちらで選定する」


「少人数の方がいい」


「理由は?」


「大人数だと絶対トラブル起きる」


 妙に説得力があった。


 その結果。


 深層調査メンバーは。


 レイ。


 エミリー。


 セシリア。


 アルベルト。


 この四名に決定した。


「嫌なパーティだ……」


「私もそう思います」


 セシリアが真顔で同意する。


 アルベルトだけ楽しそうだった。


「実に興味深い探索になりそうだ」


「研究者テンションやめて」


 その時。


 術式盤が最後に光る。


『深層区画開放準備開始』


『継承者認証完了』


 ゴゴゴゴゴ……。


 地下全体が揺れ始めた。


「うわ始まった!?」


 奥の壁面がゆっくり開いていく。


 その先。


 暗い通路。


 青白く光る古代術式。


 そして。


 明らかにアストラ遺跡より古い構造。


「……マジか」


 レイは目を細めた。


 ここは研究施設じゃない。


 もっと根本。


 古代文明中枢に繋がっている。


『ようこそ』


 術式盤が淡く光る。


『第零管理区画へ』


「名前からして危険なんだが?」

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