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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第二十九話 ぐうたら三男、見なかったことにしたい

『ようやく来たか』


『待っていた』


 術式盤へ浮かぶ文字。


 完全な日本語。


 レイは無表情になった。


「……」


「レイ様?」


 エミリーが不思議そうに覗き込む。


 当然、読めない。


 周囲の研究員たちも困惑していた。


「何が表示されているんだ?」


「古代語か?」


「反応記録を――」


 ざわつく研究員たち。


 その中で。


 レイだけが現実逃避していた。


(見なかったことにできないかな)


 無理だった。


 術式盤が追撃してくる。


『返事をしろ』


「うわ喋った!?」


 レイが反射的に後退した。


「レイ様!?」


「どうした!?」


 セシリアたちが構える。


 だが彼らには文字も読めず、音も理解できない。


 聞こえているのはただの魔素振動だ。


 レイだけに意味が通じている。


(最悪だ……)


 完全に。


 完全に同類認定されている。


「レイ君」


 アルベルトが静かに口を開く。


「読めるのかい?」


「……」


 レイは数秒黙った。


 そして。


「読めない」


『嘘を吐くな』


「即バレした!?」


 術式盤が容赦なかった。


 エミリーが完全に不審者を見る目になる。


「レイ様?」


「いや違うんだ」


「何がです?」


「えっと……」


 説明不能。


 無理。


 無茶。


 レイは頭を抱えた。


 すると術式盤が再び光る。


『安心しろ』


『敵ではない』


「そう言うやつ大体敵」


 即答だった。


 研究員たちは「何か会話してる……?」という顔になっている。


 アルベルトだけが異様に冷静だった。


「やはり、君には見えているんだね」


「……」


「その反応は肯定と受け取るよ」


 レイは嫌そうに顔を歪める。


 もう隠しきれない。


 少なくともアルベルトには。


『現在、深層封印区画へアクセス不能』


『第七鍵を要求』


「鍵?」


 レイは眉をひそめた。


「なんだそれ」


『保有者を確認』


『適合率一致』


『権限を移譲する』


 次の瞬間。


 術式盤から光が溢れた。


「っ!?」


 レイの右手へ紋様が浮かぶ。


 青白い古代魔術式。


「レイ様!」


 エミリーが駆け寄る。


 だがレイ自身も困惑していた。


「なにこれ」


 右手へ浮かぶ紋様。


 日本語術式。


 しかも。


(認証キー……?)


 前世知識が反応する。


 これは鍵。


 アクセス権限。


 つまり。


「お前、管理AIか?」


 周囲が静まり返る。


「管理……えーあい?」


 セシリアが困惑する。


 術式盤が淡く光った。


『近い』


「うわ肯定した」


 レイは本気で嫌そうだった。


 つまりこれ。


 古代文明の管理システム。


 しかも未だ生きている。


 アストラ遺跡とは比較にならない。


「教授」


 セシリアが険しい顔で言う。


「危険です。封鎖を――」


「待って」


 レイが止めた。


 全員が彼を見る。


「……敵意はない」


「わかるのか?」


 アルベルトが聞く。


 レイは少し悩み。


「なんとなく」


 誤魔化した。


 本当は日本語会話している。


 とは言えない。


『深層区画へ来い』


『継承を開始する』


「嫌です」


 即答だった。


『……』


 一瞬。


 術式盤が沈黙する。


 レイは真顔だった。


「絶対面倒じゃん」


『否定できない』


「否定しろよ!」


 とうとう古代文明側にまでツッコミを入れ始めた。


 研究員たちは完全についていけていない。


 エミリーだけが慣れた顔をしている。


「レイ様らしいですね」


「らしくない状況なんだが?」


 すると。


 アルベルトが静かに口を開く。


「……深層区画」


 その目が鋭くなる。


「やはり存在していたか」


 レイは嫌な予感しかしなかった。


 中央研究院。


 地下遺跡。


 古代文明。


 そして日本語。


 全部が繋がり始めている。


「帰っていい?」


「ダメだろうね」


 アルベルトが穏やかに微笑む。


 その笑顔を見て。


 レイは確信した。


(この人、絶対ノリノリだ……)

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