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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第二十八話 ぐうたら三男、研究者たちに囲まれる

 地下研究区画は静まり返っていた。


「……ぐうたら貴族です」


 レイの言葉に。


 研究員たちはなんとも言えない顔をした。


 誰一人信じていない。


 エミリーは慣れた顔で紅茶でも淹れそうな雰囲気だ。


 セシリアは半分諦めている。


 アルベルト・クロイツだけが楽しそうだった。


「ははは」


「笑って誤魔化さないでください」


「いや、本当に面白いね君」


「褒められてる気がしない」


 すると。


 周囲の研究員たちが一気にざわめき始めた。


「今の術式変換見たか?」


「封印を書き換えたぞ……?」


「古代魔語を完全構築していた」


「いや、あれ理解してないと不可能だ」


「まさか本当に――」


「やめてその空気」


 レイは嫌そうな顔をした。


 完全に注目を集めている。


「帰りたい」


「もう無理ですね」


 セシリアが即答する。


 研究員の一人が恐る恐る近づいてきた。


「れ、レイ卿……!」


「はい?」


「い、今の術式ですが、どのような理論で――」


「やめろ」


「え?」


「研究者スイッチ入ると長いタイプだろ」


「なぜわかったんです?」


「顔」


 その瞬間。


 別の研究員も来た。


「古代語文法についてぜひ――」


「魔素循環理論を――」


「封印構造の再現性は――」


「囲まれた!?」


 一気だった。


 レイは完全に研究者たちへ捕獲される。


「うわ知識欲の暴力」


「人気者ですね」


 エミリーが楽しそうに見ている。


「助けて!?」


「無理です」


 セシリアまで裏切った。


 研究員たちは完全に目が輝いていた。


 長年解明できなかった古代術式。


 その理解者らしき人物。


 しかも実演済み。


 食いつかない訳がない。


「レイ卿、この記号配列について――」


「この魔素圧縮理論は――」


「古代文明では一般的だったのですか!?」


「知らん知らん怖い怖い!」


 レイは本気で怯えていた。


 研究者の熱量が強すぎる。


 アルベルトは少し離れた場所から笑っている。


「助けろぉ!!」


「いやぁ、実に良い光景だ」


「最悪だ!」


 だが。


 その時だった。


 ピコン――。


 突然、区画奥の術式盤が淡く発光した。


 レイの表情が変わる。


「……ん?」


 今の反応。


 明らかに異常だった。


「どうした?」


 アルベルトが聞く。


 レイは術式盤を見る。


「……今、誰かアクセスした」


 空気が止まった。


「何?」


「この区画の深部」


 レイは目を細める。


 古代術式反応。


 しかも。


「現代術式じゃない」


 つまり。


 古代魔語使用者。


 研究員たちの顔色が変わる。


「ま、まさか侵入者!?」


「いや」


 レイは静かに否定する。


「たぶん元から中にいる」


 嫌な沈黙が落ちた。


 地下研究区画。


 封印区画。


 そして古代術式。


 それらの奥に。


 誰かがいる。


「……教授」


 セシリアが静かに構える。


「この反応、危険です」


 アルベルトも真面目な顔になった。


「総員、警戒態勢」


 研究員たちが慌ただしく動き始める。


 だが。


 レイだけは妙な違和感を覚えていた。


(……なんだこれ)


 反応が妙だ。


 敵意が薄い。


 だが。


 まるでこちらを“観察”しているような。


 そんな感覚。


 そして。


 古代術式盤へ、文字が浮かび上がった。


 日本語だった。


『ようやく来たか』


「」


 レイの思考が停止した。


 周囲の誰も読めない。


 だが。


 レイだけは理解できた。


『待っていた』


 冷や汗が背中を伝う。


 これまでとは違う。


 明確な意思。


 明確な言語。


 そして。


 自分へ向けられた言葉。


「……うわぁ」


 レイは心の底から嫌そうな声を漏らした。


「めちゃくちゃ面倒なやつだこれ」

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