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ぐうたら三男は古代魔語で悠々自適生活を目指す  作者: シロネル
2章

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第二十六話 ぐうたら三男、地下研究区画へ行く

「やっぱ帰りたい」


「諦めてください」


 エミリーが即答する。


 中央研究院の応接室。


 レイは高級ソファへ沈み込みながら死んだ目をしていた。


「なんで王都来てから地下施設率高いんだよ……」


「レイ様、遺跡とか好きですよね?」


「見るだけなら」


「毎回奥まで行きますよね」


「流れで」


 アルベルト・クロイツはそんな様子を楽しそうに眺めていた。


「本当に変わった子だね」


「よく言われます」


「褒めてるよ」


「最近その言葉信用してない」


 アルベルトはくすりと笑う。


 だが次の瞬間、表情が少し真面目になった。


「地下研究区画について説明しておこう」


 空気が変わる。


「元々は古代遺物保管庫だった」


「へぇ」


「だが最近、一部の遺物が異常反応を起こしている」


 レイの目が細くなる。


「……アストラ系統?」


「可能性は高い」


 アルベルトは頷いた。


「特に古代魔語反応が異常に強い」


 レイは嫌な予感しかしなかった。


 アストラ遺跡。


 変異事件。


 研究資料。


 全部繋がり始めている。


「研究員失踪も地下区画?」


「そうだ」


「うわぁ」


 露骨に嫌そうな声が漏れる。


 エミリーが呆れたように言う。


「でも行くんですよね」


「断れない流れになってる」


「自覚はあるんですね」


 その時。


 応接室の外が少し騒がしくなった。


「……?」


 直後。


 バンッ!!


 扉が勢いよく開いた。


「教授!!」


 飛び込んできたのは若い研究員だった。


 顔色が悪い。


「第三保管室でまた反応が!!」


 アルベルトの表情が変わる。


「詳細は?」


「封印術式が不安定化しています!」


「……早いな」


 レイがぼそりと呟いた。


 嫌なタイミングすぎる。


 アルベルトは即座に立ち上がる。


「案内してくれ」


「は、はい!」


 研究員は慌てて走り去った。


 レイは嫌そうな顔のまま立ち上がる。


「今から?」


「今しかないだろうね」


「帰るチャンス消えた」


 セシリアが肩を竦めた。


「元々ありません」


 ◇


 中央研究院・地下研究区画。


「……うわ」


 レイは率直に顔をしかめた。


 空気が重い。


 魔素濃度が異常だ。


 しかも。


「アストラに似てるな」


 白銀の壁面。


 古代術式。


 自動照明。


 明らかに同系統技術。


「元々、王都地下にも古代遺跡が埋まっていたんです」


 アルベルトが説明する。


「研究院はその上へ建てられた」


「危なくない?」


「危ないよ」


 さらっと返された。


 その時。


 前方通路で赤い警告灯が明滅する。


 ピコン、ピコン――。


『封印術式不安定化』


「うわ喋った」


「そこですか?」


 エミリーが突っ込む。


 レイは周囲の壁面へ視線を走らせる。


 刻まれた古代魔語。


 だが。


「……雑だな」


「え?」


「修復術式」


 レイは壁へ近づく。


「無理やり継ぎ足してる」


 現代術式で古代術式を補強していた。


 だが理解不足。


 根本構造が噛み合っていない。


「これ組んだ奴かなり焦ってたな」


 アルベルトが静かに目を細める。


「……読めるのかい?」


「なんとなく」


 レイは誤魔化した。


 だがアルベルトは完全に気づいている顔だった。


 そして。


 一行は第三保管室へ到着する。


 重厚な扉。


 その中央には巨大な封印術式。


 だが今、その一部が黒く侵食されていた。


「……あー」


 レイが嫌そうな声を漏らす。


「これ暴走寸前」


 内部から、低い唸り声のようなものが響く。


 ゴォォォォ……。


 空気が震えた。


 研究員たちが青ざめる。


「教授、やはり処分を――」


「待て」


 アルベルトはレイを見る。


「君ならどうする?」


「丸投げやめろ」


 レイは深くため息を吐き。


 そして封印術式へ手を伸ばした。


「……これ、元の術式組んだ奴、日本人だな」


 その場の空気が止まった。


 アルベルトの目が、僅かに細められる。


 レイは気づいていなかった。


 今、自分がかなり危ない発言をしたことに。

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