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「謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める」  作者: 27Be


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第326話 1541年 11歳 長尾家、明国に倭国代表として認識されてしまう

<那覇港に集まる視線>


那覇港に西洋帆船三十二隻の帆が風にたなびく。


その威容に琉球の漁民も、


「……流石、長尾様だ」


口々に感心していた。


いくら那覇港が広いと言っても、全ての船が入るわけもない。


近くの浅瀬に停泊し、小型船舶で兵士や物資を降ろしていく。


龍義の姿を一目見ようと、琉球の民が集まっていた。


「長尾様だ……」


小さなざわめきが広がる。


俺と柿崎は那覇港に降り立ち、尚世真王の出迎えを受ける。


尚世真王「上杉龍義殿。琉球王国は貴殿の御力により、再び王を戴きました。この尚世真、王として誓います。長尾家の友誼と恩義――永く忘れぬと」


尚世真王の顔は輝き、目は真っ直ぐ俺を見る。


俺「尚世真王に英雄の気が無ければ、長尾家がいくら王位につけようとしても無理であったであろう」


俺はニコリとして続ける。


俺「尚世真王になってから琉球王国の財政は良くなったと聞いているけど、どうなっているのか?」


俺は尚世真王の配下を見る。


那覇の按司・城間「若様のおっしゃる通りでございます。越後をはじめ倭国の船が増えたことで、明国の船も増加し、税収は前王家より好調です」


俺「琉球王国の政治に不満を持つ者とかは大丈夫か?」


城間「淀橋殿の考案された木板新聞で、尚世真王のお言葉を直接伝えていますので、国民に好評です」


うーむ、越後でも木板新聞を取り入れた方が良いだろうな。


俺は寝てばかりの淀橋の顔を思い出す。


アイツ、やる奴なんだけどなー。


<英雄の眠る浜>


次に俺達は、那覇の浜にある、帰れなかった者の名が刻まれた木札が立てられている場所へ向かった。


小島隊は当初の千人から五百人まで半減し、激闘を物語っていた。


現地では「英雄の眠る地」と呼ばれている場所に、お経をあげに行く。


家族から渡されたお供え物を、きちんと個人別に置いていく。


花と水も捧げる。


清掃はきちんとされているようだ。


長尾家の兵士が総出で世話をする。


小島は自分の部下の墓参りなので今回来たがったが、領地経営や新しい軍団育成等、やる事は山積みなので、また落ち着いた時に連れてくる事にした。


お経をあげ、冥福を祈る。


俺(……皆、よく戦った。ありがとう。感謝する)


次に俺達は首里城に向かい、歓迎式典に参加する。


歓迎式典は、尚世真王の感謝が伝わる、とても温かい式典であった。


式典の隅では、赤目三姉妹が揃って参加していた。


三女は、尚世真王の前に出たいが、出られずにモジモジしている。


次女「あんた、王様からのプレゼントを金の腕輪に変えたものねー」ニヤニヤ


長女「うちら生活の大半が戦いだから、ほとんど付けれず夜中に眺めるだけってやつよね」


次女「あらー、すみれさん。僕のあげた腕輪、どうしたんですか?」 (王の声真似)ニヤニヤ


三女「言うなー。金の腕輪になった時はやったーだったけど、今は後悔してる。でも、王の腕輪は見たら悲しくなるから、やっぱ金がいいのか?」


三女は自問自答で、一人闇に入る。


そこに、いきなり王が登場した。


どぎまぎして顔を真っ赤にする三女。


尚世真王「皆さん、変わらず元気そうで嬉しいよ。任務よろしく頼むね。じゃ」


颯爽と立ち去る尚世真王。


耳まで赤くなる三女。


長女「あんたー。また王子にハマりそうになったの、自分で抑えたでしょ?」


三女「言うなーーーー」


式典の終わり、俺は書簡でも伝えていた案件について、尚世真王に確認する。


俺「書簡で伝えていた件だが、明国皇帝に会いに行く準備は出来ているか?」


尚世真王が一瞬だけ緊張し、すぐに決意の顔に変わった。


<明国皇帝への道>


琉球王国、首里城。


歓迎式典が終わった後。


俺は尚世真王に呼ばれ、王の間へ通された。


尚世真王の左右には重臣。


その奥に、琉球の書記官と通訳役も控えている。


尚世真王「上杉龍義殿。改めて礼を言う。琉球王国は貴殿の御力により、再び王を戴いた」


俺「尚世真王に英雄の気が無ければ、長尾家がいくら王位につけようとしても無理であったであろう」


尚世真王は静かに頷いた。


尚世真王「書簡で伝えていた件だが――明国皇帝への謁見。準備は整っている」


俺「よし」


重臣達の顔が引き締まる。


尚世真王「だが、確認しておきたい。この謁見は――琉球王国の名で行う。上杉龍義殿は……」


俺「“後見人”として付き添う。余計な出しゃばりはしない。ただし、必要な時だけ“倭国側の挨拶”をする」


重臣達が小さく息を飲む。


尚世真王「……分かった」


俺は言葉を続ける。


俺「琉球の正面には、琉球の王が立つ。それでいい。俺が前に出るのは――“琉球の背後に誰がいるか”を明に一瞬で理解させたい時だけだ」


尚世真王「なるほど」


王は決意の顔になる。


尚世真王「ならば行こう。琉球王国は海の国だ。海の礼儀で勝負する」


那覇港。


西洋帆船十隻で明国へ出港することにする。


残りの二十二隻は先行して堺に行かせる。


那覇港は小舟が忙しなく行き来し、兵と物資を降ろしていく。


龍義の姿を一目見ようと、琉球の民が集まっていた。


安田「若様、琉球の皆様に手とか振らなくて良いのですか?」


俺「安田が代わりに振って来て」


安田「私が若様って、言われちゃいますよ」


俺と安田は船へ向かう。


安田「明国の宮殿、楽しみですね」


俺「そうだな」


帆が上がる。


船団はゆっくり港を離れた。


目的地。


明国首都北京付近の港、天津衛だ。


通常は琉球から福州へ向かい、そこから陸路で北京へ行くため、七十日ほどかかる。


俺達は西洋帆船なので、北上航路も可能となる。


全て海路だと、片道二十日の行程となる。


二十日後。


天津衛港には巨大なジャンク船が並び、倉庫が海岸線に延々と続いている。


明国役人達が船団を見ていた。


西洋帆船十隻。


そして――琉球王旗。


明国役人の何人かが口々に驚く。


「琉球の王が来た……?」


「……西洋帆船で来たのか?」


「琉球が、ここまでの海軍力を?」


尚世真王が前に出る。


王の衣は控えめだが、背筋が伸びている。


琉球通訳「琉球国王、尚世真にございます。明皇帝陛下へ、朝貢の礼を申し上げたく参上いたしました」


役人達の態度が変わる。


明国役人「よい。都へ案内する。……そちらの少年は?」


視線が俺へ向く。


俺は一歩だけ前に出た。


“前に出すぎない”距離だ。


俺「琉球王国の後見を担う。倭国より来た越後の上杉龍義だ」


俺は中国語で答える。(この時代の中国語もちゃんと勉強し直した)


明国役人の眉が動く。


明国役人「……倭人が、中国語を」


役人達は短く相談し、深く頷いた。


明国役人「分かった。皇帝へ報告する」


数日後。


明国、首都北京。


巨大な城壁。


城門だけで城が一つ建つようだ。


安田「……でかすぎますな」


俺「世界の中心だと思っている国だからな」


安田「越後にこの大きさで作ったらどうなるでしょうね」


俺「バカ殿って、言われるよ」


俺達は宮殿へ通される。


玉座の間。


嘉靖帝、朱厚熜。


永楽帝の血を引く皇帝だ。


皇帝が座している。


周囲には宦官と文官。


空気が重い。


琉球通訳が一歩前へ出る。


琉球通訳「琉球国王、尚世真にございます。陛下の御威光のもと、海の道は安寧を得ました。本日は朝貢の礼と、献上品を捧げに参上いたしました」


尚世真王が深く礼をする。


王の動きに無駄がない。


兵が献上品の箱を運び出す。


・海産物の珍品

・香木

・工芸品

・琉球の織物


皇帝は頷き、淡く手を振る。


明皇帝「琉球王。遠路、ご苦労」


それだけで、王の面子は立つ。


ここで終わってもいい。


だが――視線が俺へ来た。


明皇帝「……そなたは何者だ」


尚世真王は一瞬、緊張した。


だが、すぐに決意の顔に変わる。


尚世真王「この者は、琉球王国の後見を担う者にございます。倭国の有力者――上杉龍義」


俺は半歩前へ出る。


“ついでの挨拶”の距離だ。


俺「琉球王国が海を治めるなら、背後の秩序も整えておくのが後見の務め。本日は、琉球王の朝貢に付き添い、ご挨拶と献上品を捧げに参上いたしました」


皇帝の目が細くなる。


純金製の龍の置物と、対になる純銀製の龍の置物。


二万貫相当。


さらに、蝦夷地の珍しい毛皮や海産物。


干し鮑や干し海鼠などである。


文官が少しどよめく。


明皇帝「倭の少年……。言葉が達者だな」


内心で感心しているのが分かる。


だが、表には出さない。


俺「孔子や老子が好きですので」


皇帝が僅かに笑った。


明皇帝「面白い。老子のどの言葉が好きか?」


俺「上善若水。水善利萬物而不争。処衆人之所悪。故幾於道」


最高の生き方は「水」のようなもの。


水はすべてのものを潤すが、争わない。


そして人が嫌がる低い場所に自然に流れる。


だからこそ「道」、自然の理に最も近い。


皇帝が頷く。


明皇帝「琉球王の献上は受け取ろう。倭の後見も――覚えておく」


宦官「はっ」


箱が運ばれていく。


謁見は、それで終わりだった。


余計な礼賛もない。


だが十分だ。


琉球王の名が立ち、その背後に“倭の後見”が見えた。


それだけで勝ちだ。


宮殿を出た後。


安田「若……歓迎会はしてくれないんですね。楽しみにしてたんですけど」


俺「安田、そりゃ無理だ。日本の将軍や天皇に献上しても、いちいち歓迎会なんて開いてくれないんだろう。同じだよ」


安田「本場の鶏湯麺が食べたかったんですけど」


俺「安田、今の謁見の意味が分かっているか? 俺達は歴史を動かしたんだぞ」


安田が驚く。


安田「どういう事ですか?」


俺「明国は今までは大内家を倭国の代表として扱ってきたけど、これからは長尾家が倭国の代表として扱われるという事だよ」


安田「そんな勝手は幕府が許してくれないんじゃないですか?」


俺「そう。だからこれから京都に行って、倭国の代表は長尾家になるからって、言いに行くんだよ」


安田「それは、ものすごーーーく怒られる案件ですよね」


俺「そうだよ。ものすごーーーく怒られる案件だよ。だから明国にいくつかのお土産をもらうんだよ」


安田が珍しく不安そうな顔だ。


俺「安田、心配するな。いつものように上手く行くよ」


安田「イエ、このままどこにも寄らずに船に戻ると、本場明国料理が食べれないじゃないかと不安で」


俺「そっちかーい」

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明国皇帝が相手でもブレぬ、か。 流石安田、さすやす、よのぉw
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