第321話 1541年 十一歳 毛利元就を攻略出来るかな(6 毛利元就、最後の策を放つ)
< 攻城戦 >
【北(N)】
┌─────────┐
│ 北尾根・小壇群 │
│ (堀切多数) │
└─────┬─────┘
│
┌───────┐ 西口
本丸 西尾根
(小壇群)
│ │
(副攻口) │
└───┬───┘ 奇襲・横撃向き
堀切 │
┌───┴───────┐
│ 二の丸 │
└───┬───────┘
│
┌───┴───────┐
│ 三の丸 │
└───┬───────┘
│
(南東尾根・旧城域方面)
│
───────
\
\ ← 南口(広い主攻口)
\ __________
広い登城路・兵展開可能地
橋頭堡形成地帯
───────── ─────────
吉田盆地
──────────────
│
│
長尾軍五千
───────────────────
可愛川(西)
俺「野戦では圧勝したが、攻城戦は厄介だぞ。上から弓矢が来るし、石や岩、油が来る。横からは弓矢が来る。しかも思わぬ所から敵の伏兵があると思え」
柿崎「ここに来て、若様が敵の忍びを潰した意味が出てきましたな」
俺「こちらの手の内を知られると相手に準備されるからな。それにしても毛利軍の殿はしつこいな。まだ潰れてくれないのか?」
俺達の目の前の毛利軍の殿三百人は、全て盾兵で構成されていた。
長弓や震天雷を防ぎながら、じわじわ後退していく。
柿崎「あーいうのを見ると毛利元就がただの武将ではないのは分かりますね。若様がこれだけ準備して新兵器も矢継ぎ早に投入するのも分かります」
俺「これ以上時間をかけられても厄介だから、全軍で突撃してあの殿を潰せ」
何しろ五千対三百だ。
いくら細い道で数の力を活かせないとしても、防戦一方の敵など圧倒出来る。
三十分も経たずに制圧が完了した。
俺「これで吉田郡山城の残存兵力はざっと千名となる。東西南北と道があるので、兵五千を南二千、西千三百、東八百、北八百、俺達の手元に百残して攻めることにする。対する毛利軍は、これに千名で対抗しなければならない。毛利も手元に五十ほど残すとして、東西南北に二百名余りで精強な長尾軍に対応しなければならないのだ」
俺はこれを見越し、黒子の北爺に命じていた。
攻撃が始まれば、毛利兵は東西南北の門にかかり切りになる。
その隙に、手薄な所から城内に侵入する。
こちらの狙いは、南から突破と見せかけ、西を黒子と通常攻撃隊で突破する作戦なのだ。
<緊迫の南門>
一方の毛利元就は、忙しく指示を出す。
志道広良「戦況は極めて不利です。上杉龍義殿は同盟と言ってくれているのだから、早い段階での停戦が望ましいと思いますぞ」
桂元澄「志道殿の言われる通りですぞ。上杉龍義殿はまだまだ新兵器を出してくるかも知れませぬ」
毛利元就「儂にはまだ策がある」
志道広良「我々も数を減らしておりますから、持って一刻か二刻かと思います。早目が良いでしょう」
毛利元就「わかっておる」
一方、その頃。
南側斜面で重装歩兵は盾を方陣で構え、敵の矢を受けていた。
南側にいるのはヤンキー兄弟だ。
今回は重装歩兵となり、盾を構えて弓矢を防いでいる。
井口剣一「お前ら投擲範囲まで近づくぞ」
井口剣一は大声で叫ぶ。
隊員「オッス」
ヤンキー兄弟の目の前には南門があり、その上から毛利兵が散々矢を射ってくる。
井口剣一「お前ら投擲手を盾で防ぐぞ、とにかく火油雷を撃たせろ」
投擲手が次々と南門に火油雷を投げ込む。
爆発音と共に混合油、つまり軽油と灯油が撒き散らかされ、土塁だろうと何だろうと燃え広がる。
毛利兵の弓矢攻撃が途絶える。
後は、丸太を尖らせた物で門を破壊するだけだ。
井口剣一がその指示を出そうとした所、突然味方から法螺貝と鐘が鳴った。
内容は、若様の本陣が襲われている合図だ。
今、若様の本陣は親衛隊だけで守っている。
マズイ。
井口剣一「お前ら、副隊長に千預ける。後ろ半分の千名は俺について来い」
井口剣一は全速力で、今駆け上がって来た吉田郡山城の道を戻る。
見ると、若様の軍に近づいてくる三百ほどの兵がいた。
そう。
毛利元就の策とは、児玉就光に兵三百人を預け、上杉龍義の索敵圏外に忍ばせておくことだった。
上杉龍義の軍がこの城の攻撃に集中した時、奴らの後方から襲いかかる作戦なのだ。
井口剣一「間に合え。お前ら急ぐぞ」
ヤンキー兄弟の部隊は軽装歩兵も兼ねており、足の速さに自信のある者が多い。
下り坂ということもあり、一段とスピードを上げる。
<本陣に迫る三百>
一方、俺の方は三キロ圏内に赤目を散らし、索敵をしていた。
そのため、児玉就光の兵三百人の発見も早かった。
法螺貝と鐘を鳴らして状況を周りに伝えたら、井口剣一が反応してくれた。
幸い、三百人より先に井口剣一が到着してくれた。
井口剣一がゼイゼイ言いながら、横陣三列を敷いて千人で迎え撃つ。
児玉就光の兵三百人が来た。
紡錘陣形で一点突破を図ろうとする。
震天雷の投擲範囲に来た時に、投擲。
爆発音とともに鉄片が毛利兵士に突き刺さり、倒れる。
しかし、毛利兵は構わずこちらに突っ込んでくる。
三列目が半弓を撃ち、一列目、二列目が盾と片手十字槍で反撃していく。
俺「敵の戦意が高いな・・・」
俺は三列目を左右に突出させ、半包囲にさせるよう指示を出す。
段々削れていく毛利兵。
これを吉田郡山城で眺める毛利元就。
何かを決心した顔となる。
児玉就光が額から血を流し、兵を叱咤激励する。
児玉就光は吉田郡山城から上がる黒煙を見て、自分の頑張りで何とかせねばという気持ちになる。
児玉就光「者ども死ねやーーー」
児玉就光の急所に弓が当たり、動かなくなった。
その頃、西門では空曹が南門と同じように火油雷で門に火を付け、毛利兵は消火活動で掛かり切りとなる。
西門の少し離れた所から、黒子五十人が山の斜面を登り、堀切を越えて侵入していく。
黒子が西門の前で消火活動をしている毛利兵を襲おうとした。
その時、吉田郡山城の高台から白旗が掲げられた。
しかし、長尾家の軍規では、自軍の停戦命令が出るまで作戦続行なのである。
黒子が再び戦闘を再開しようとしたその時、長尾軍の法螺貝と鐘が鳴らされた。
一時中断の合図である。
黒子の北爺は、ハンドサインで撤収の合図を出す。
その顔は少し悔しそうだ。
黒子はこのままだと身を晒すので、一旦城の外に出て待機することになる。
<終わらぬ毛利>
南門から、毛利元就の三男を連れた山本勘助が出てきた。
親衛隊第三席の田中を始め、第六席まで皆無事だ。
毛利兵は悔しそうな顔と、ホッとした顔が半々だ。
終戦である。
不安そうな三男が出て行く所を、上から眺める毛利元就。
志道広良「さて、どうなりますか」
毛利元就は敗れた顔ではなかった。
毛利元就「負けてはおらぬ。いつものようにこれからだ」
志道広良「そうですな、また始めましょう」
この二人は、何度も絶望から立ち上がっている。
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