第317話 1541年 11歳 毛利元就を攻略出来るかな(2 尼子氏、毛利元就を甘く見る)
<緊迫!尼子家の評定>
領主尼子晴久、その弟尼子誠久、軍事責任者尼子国久、重臣立原久綱が、越後上杉龍義から来た書簡を前に協議している。
尼子晴久「確かに越後からの一万貫は役に立った。龍義殿が石見銀山の防衛のために使えと言ってくれたおかげで、大内の攻撃も防げた」
尼子誠久「越後との取引も大きい。銀だけあってもしょうがない。越後が金、米、塩、醤油、酒、武具、生活用品、薬に替えてくれる。
越後は我々の暮らしに欠かせない」
尼子晴久「それにしてもだ。龍義殿は、たかだか二千人の毛利元就に二万人出してくれ、石見路で攻めろと言っている」
尼子国久「イクサを知らぬ十一歳ですな」
立原久綱「そうは言うが、三好や本願寺を叩き、琉球まで支配した十一歳だぞ。儂は本物だと思う」
兵士「上杉龍義様ご一行が来られました」
尼子晴久「皆で出迎えようぞ」
美保関には、出迎えの者が来た。
月山富田城の前まで行くと、領主尼子晴久、その弟尼子誠久、軍事責任者尼子国久、重臣立原久綱が出迎えてくれた。
尼子晴久「遠路はるばる、よくぞお越しいただきましてありがとうございます。
一万貫のおかげで、石見銀山を大内の魔の手から守れました」
石見銀山は元々大内の物だけどね。
尼子晴久「宴席が用意してあります。中の方へ」
俺「まずは吉田郡山戦の戦い方から決めましょう」
俺達は中に入る。
俺の後ろには、柿崎、山本勘助が続く。
<危機!備後路か石見路か>
俺「書簡で出した通り、戦意の高い尼子兵二万(石見路で尼子が最近降伏させて強制徴収した毛利戦に対して戦意がない兵を除く)と、長尾家五千で毛利元就を叩きたいのだ」
尼子晴久「備後路だと吉田郡山城の後ろを取れる。毛利元就は二千人ですぞ。
五千人で十分でしょ」
俺「大内が後詰めで一万率いて来る」
尼子晴久「……尼子が越後の指図で動くと思うか」
俺「石見銀山で大内が攻めて来た。俺の一万貫がなければ、尼子は石見銀山を失っていた。俺の予言は当たる。従うか従わないかは任せる」
尼子晴久「……二万人とします。それで一蹴しましょうぞ。但し、備後路で」
俺「備後路だと、毛利血縁である宍戸氏の祝屋城・五龍城は落ちない」
尼子晴久「龍義殿は、尼子を侮るか」
だから史実では尼子は滅びるんだろ。
俺「それでは提案がある。
尼子は二万人で備後路を行き、長尾家は五千人で石見路を行く。
先に毛利元就を捕らえるなり、吉田郡山城を先に落とした方が、吉田郡山城の領地の処遇を決める事にしましょうぞ」
尼子晴久が不敵な笑みを浮かべる。
尼子晴久「良いでしょう。勝つのは我々ですからな。見ていて下さい」
<不穏!信用出来ぬ男>
宴席となった。
尼子晴久「龍義殿は毛利元就を高く評価していますが、あの男のここいらの評判を知りませんか?」
俺「信用出来ぬ男とか」
尼子晴久「そうです。それで尼子の先代、私の祖父尼子経久は、毛利元就は信用できぬ。いつか裏切る男として、元就の異母弟である相合元綱を擁立しようとしたのです」
俺「つまりそれで毛利元就は尼子を見限り、大内氏に長男を人質に出して大内側についたというわけですよね」
尼子晴久「尼子としては明確な敵対行為ですから、毛利元就は潰すしかありません」
俺「そうですよね」
史実では、尼子が三万人で毛利元就二千人を攻めても、毛利元就を落とせず、そこから尼子は転落の一途を辿った。
俺としては、大内や毛利や尼子が勝ちすぎるのは、コントロールが効かなくなるので困るのである。
将来拡大するであろう毛利元就の牽制役として、尼子が元気でないと困るのだ。
俺「石見銀山の最寄り港の温泉津港は、石見銀山の銀を使い、もう少し発展させたらよろしいでしょう。そしたら我々の舟も来やすい」
尼子晴久が考え込む。
尼子晴久「わかりました。温泉津港を博多に負けない港にしてみますよ」
安田「温泉津港は名前からして温泉が出るのですか?」
尼子晴久「出ますよ。銀山労働者が湯治に使っています」
安田「おっしゃー、若様、帰りに入っていきましょう」
おい、我々は戦いに来たんだぞ。




