第312話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな ・最終戦(41 祝宴の席、琉球の勝利が重すぎる)
< 祝宴 >
祝賀会場は大盛り上がりだ。
大テーブルでは、右側に小島兄弟――小島、大助、山田、淀橋が座り、左側には馬場達――鬼瓦、環金、河合、虎千代、数丸、胤早、胤剛が座る。
馬場「小島、よくやった!!! これで長尾家は北から蝦夷地、越後、会津盆地、越中、加賀、そして琉球と影響が及ぶことになった」
河合「琉球を拠点として明国はもちろん、ルソン(フィリピン)、シャム(タイ)、カンボジアまで交易が可能となりますし、西洋とも深く繋がることもできます」
淀橋「砂糖の貿易にも一枚噛めるというのも大きいですよ」
小島「若様が大喜びだな」
皆、若様の顔を思い出し、ニヤつく。
馬場「小島の功績も大きいぞ」
小島「弟達のおかげです。大助は、部隊の編成から守備から、俺の至らぬ細かい点まで助けてくれた。山田は、琉球での勝利は山田の知略なくしては、達成不可能だった。淀橋は、琉球での勝利の影の立役者だ。淀橋の綿密な頭脳なくして尚 世真王擁立は不可能だった。そして喜屋武は、尚 世真王の命を二度救った」
弟達は小島の言葉に涙ぐむ。
そして口々に小島を褒め称える。
大助「兄貴の一騎打ち格好良かったですよ」
山田「兄貴のおかげです」
淀橋「兄貴、最高だったよ」
虎千代が山田に聞く。
虎千代「今回の琉球で一番大事な判断というと何?」
山田が少し考える。
山田「兄者(小島)が河合を琉球に誘って、河合がこれを断ったことです。そのおかげで俺と河合は揉めることがなく、判断が遅れることもなかった。河合の判断が一番大きい」
虎千代「師匠(河合)は山田さんに褒められたのか、けなされたのか?」
河合「どっちもだよ」
そう言って、河合は虎千代の頭をくしゃくしゃにする。
山田「虎千代の戦略、戦術の学習具合はどうなんですか?」
河合「虎千代は面白い。今は先に答えが直感でわかる。答えが先に来て、後付けで理由を付けていくという形だ。これは虎千代の長所だと思う。長所を損なわない形で、理由から答えが導き出せるようにしてやりたい」
山田「河合も師匠となってきたじゃないですか?」
河合「俺達は師匠がいないから苦労しただろう。俺は長所を伸ばす方法で弟子を教えていきたいんだよ」
小島「賢弟も弟子が欲しくなったんじゃないか。俺がいくらでも弟子を連れてきてやるぞ(笑)」
<祝宴の影>
馬場「そう言えば、津村と喜屋武が新王から琉球に残ってくれと言われている。王府将軍が喜屋武、親衛隊長が津村だそうだ」
小島の顔が少し暗くなる。
小島「津村はとにかく、喜屋武は弟だからな。弟の判断だ。……あいつの好きにさせる」
山田が小さく頷く。
馬場は黙って杯を持ち上げる。
山田「喜屋武は有能だ。越後に戻せば、次の戦で一番働く。ただ、あれさえなければな……」
山田達はそう言って柱の方を見る。
喜屋武は相変わらず柱に縛り付けられ、酒を飲んで暴れていた。
喜屋武「ウガーーーー」
小島が喜屋武を見て思った。
小島(酒弟が本当に王府将軍が務まるのか……心配)
< 恋の結末 >
李超は顔が赤い。
花束を抱えている。
部屋に一人の女性を呼び出していた。
部屋にいたのは黒子の木杉だ。
木杉「何? 話って」
李超がどうでも良い話をしてしまう。
木杉が苛つく。
木杉「用がないなら、私は席に戻るわ」
李超が片膝をつき、花束を差し出す。
李超「結婚して下さい」
木杉の顔が赤くなる。
木杉「気持ちは嬉しいけど、私は明に行かないから無理」
李超、撃沈である。
木杉「私、席戻るわ。あんたのこと嫌いじゃないけど、明は無理」
木杉が何事もなかったかのように席に戻った。
李超が死人の顔で席に戻り、静かに泣いた。
それを見た小島が、何も言わず杯に酒を入れる。
小島「飲め、話ならいくらでも聞いてやる。喋りたかったら喋れ。黙りたいなら黙ってろ。飲め」
李超が小島にぼそぼそ話す。
李超「明に戻るよ……」
一方、津村も木杉を連れ出し、部屋の一室に入る。
津村が木杉を連れ出し、告白する。
津村「木杉さん、結婚して下さい」
木杉「いいよ。でも私は黒子続けたい。琉球残らないよ。私か琉球か選んで」
津村は即答する。
津村「木杉さん」
木杉が呆れる。
木杉「あんた親衛隊長どうするの?」
津村「早瀬に任せるよ」
木杉「少しは悩みなよ。責任無い奴って言われるよ」
津村「俺はお前にだけ責任を取れれば良いよ。それで良いだろ?」
木杉「バカだね」
津村「越後での家探しどうしよう?」
木杉が少し照れる。
<乙女の突撃>
三女すみれは一人盛り上がっていた。
三女すみれ「恩を返すって言ってたから、答えは一つしかないでしょう」
三女すみれ「そうだ、お姉ちゃん達に言わないと」
三女すみれは次女と長女を別室に連れ込む。
三女すみれは二人に言う。
三女すみれ「私、結婚するから忍者を辞める」
長女と次女はびっくりし、二人で顔を見合わせる。
三女すみれ「琉球残る」
長女「幸せになりなよ」
次女「応援している。頑張れ」
三女すみれが出て行った後、長女と次女はため息をつく。
尚 世真王は、革命当初から応援してくれた按司と今後について話をしていた。
尚 世真王が一人になるときを、じっと待つ三女すみれ。
尚 世真王が一人になった。
絶好の機会である。
三女すみれ「好きです。結婚して下さい」
尚 世真王「……すみれさんは命の恩人。しかし、私は琉球王家を守らないといけない。すまない、すみれさんの気持ちは嬉しいが受け取る事は出来ない。私の気持ちだ。先祖伝来の王家の腕輪をあげる」
尚 世真王は自分がしていた腕輪を外し、三女すみれに渡した。
尚 世真王はすみれに背を向け、その場を離れた。
尚 世真王が去った後、三女すみれはしばらく動けなかった。
<布団の中の敗者復活>
三女すみれが逃げ込んだ先は、女性のみの祝賀会である。
すみれ以外は全て笑顔である。
すみれは布団を持ってきて、部屋の片隅で布団をかぶって泣いた。
長女と次女が察する。
三上姉妹が心配する.長女が事情を話す。
三上姉妹「……いや、それうまくいってたよ」
布団の中のすみれが反応する。
三上姉妹「あーーーんな真面目な尚 世真王に、忍者が正妻にしてくれって言ったって、断られるに決まっているわよ。でも、すみれは命の恩人だもん。側室にしてくれって言ったら、あーーんな真面目王子は了承するに決まっているよ。もったいない。誰かがついて行って、側室でどうかって橋渡しする人がいたら上手く行ってたよ」
長女が布団をめくって、すみれの反応を見ると、すみれは顔を横に振っていた。
乙女なのだ。
三上姉妹「そしたら良いの紹介するよ」
長女と次女は三女すみれを放っておいて、話に食いつく。
長女「どういう人がいるの?」
興味津々で話を聞く。
三上姉妹「色気だけなら、鼻血が出る位のいるよ。鼻血ブーよ。見ただけで溶けるのいる。全身の力を持ってかれるよ。腰が砕けて倒れる」
次女「マジ? 見るだけでいいから見たい」
三上姉妹「たまに目の保養しないとーーー」
長女「したいーーーー目の保養」
盛り上がるガールズトーク。
抜け殻三女の布団の中で、耳だけ動く。
三女すみれが布団から這い出る。
三女すみれ「混ぜて」
夜、那覇の海岸。
海を見て酒を飲んでいる三姉妹。
長女「あんた、振られたけど、その腕輪どうするの」
三女すみれ「見たくないから若様に渡す。この首飾りも渡す。若様なら、わけ言ったらこの腕輪の代わりに良いものくれるよ」
次女「あんた悪どい笑顔してるよ」
長女「あんたねー、普通は献上で、代わりの物なんてくれないのよ、絶対。まぁ若様優しいから、わけを言えばくれそうだね」
次女「でも、すみれは琉球残るんだろ?」
次女はニヤニヤする。
三女すみれ「琉球残る? 残ってどうするの? 私、忍者続ける。お姉ちゃん達ほっておけないでしょ」
長女・次女「そりゃ私達の言う事だよ!」
夜の波が静かに寄せては返す。
失恋も、涙も、すべてをさらっていくように。
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