第304話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな・最終戦(33 尚清王、明国への金を失い激怒する)
< 尚清王、激怒 >
尚清王は真っ赤な顔になり、大激怒している。
普段は物静かで、怒ることはないと言われていた人だ。
しかし顔や首筋に青筋を立て、目は充血し、喉をからして二人を叱責していた。
尚清王「毛国鼎摂政、明国に支払う金が盗まれたとはどういうことだ?」
尚清王(明国を怒らせれば、琉球は滅ぶことがわからんのか?)
毛国鼎も顔は青くなり、尚清王に土下座している。
過去、これまでどのような場面でも、毛国鼎は尚清王に土下座などしたことはない。
失態中の失態だ。
毛国鼎「……賊軍は那覇を攻めると聞いていたので……平時は二十人でも多いくらいでして……」
毛国鼎は煮えきらない言い訳を繰り返す。
さらに、尚清王のイライラが止まらない。
<危機!明国への支払い>
尚清王「明国への支払い一万五千貫をどうするつもりだ? しばらく那覇からの支払いがなかった。加えて、今は戦争中だから支払いが多くなっている。蓄えは底をついておるぞ」
毛国鼎「……琉球王国の按司や商人に特別課税をしましょう。琉球王国の全てから集めれば一万五千貫は出ます」
毛国鼎(反発は必至だが、今はそれしか手がない)
尚清王「お前が、琉球中全て走り回り、必ず集めろ。良いな!!!」
尚清王はもう一人の方を向く。
この一人も土下座をしている。
尚清王が、この一人を蹴り飛ばす。
尚清王「儂は、尚世真王子を暗殺しろと言ったのだぞ。それを偽情報を掴まされ、失敗しましたとはどういうことだ? 母の命はどうなっても良いのか? 紫苑姫」
王子の前から逃げた紫苑姫が、尚清王の前にいた。
紫苑姫は顔色が変わる。
紫苑姫「そんな、約束が違います。私は肉親同然の乳母を失ったのです。これに母まで奪われたらどうして良いかわかりません」
尚清王「尚世真王子を暗殺してこい。手段は問わん。戦場だろうと王宮だろうと構わん。殺したら、お前とお前の母の名誉を回復して、財産を分けてやる」
紫苑姫がうなだれる。
それから二週間、毛国鼎は琉球中の按司や商人を巡り、しかも自分の長年貯めた財産まで吐き出し、やっと一万三千貫まで掻き集めた。
按司たちの目は、もはや摂政を見る目ではなかった。
毛国鼎は一万三千貫を集められた。
しかし、按司や商人の尚清王に対する信頼は失われた。
< 尚世真王子 >
淀橋「兄者、兄者、狙い通り尚清王が金を按司や商人から掻き集めましたよ」
山田「寝弟の試算では一万五千貫に届かないんだろ?」
淀橋は手をブンブン振る。
淀橋「琉球王国で儲かるのは那覇だけですよ。那覇以外は那覇の収入の一割か二割くらいと見るべきです。そこから推定すると、集められる金額が出ます」
山田「そしたら、せいぜい一万貫を少し超えるくらいだろ」
淀橋「それと、王子側が一万五千貫をもらったという話を、全ての按司が知っているんですよ。兄者が按司だったらどう思います?」
山田「早く糸満攻めて一万五千貫取り返せよ、だらしねーなーと思う」
淀橋「攻めてくるはずの王家軍が攻めてこない。なぜでしょう?」
山田「そりゃ、糸満は徹底的に守備固めしてるからね。俺が敵だとすると、攻めたくないね。向こうも俺達が那覇を攻めてくると思っているし、俺達も糸満を攻めて来てくれると思っている」
淀橋「先に動いた方の負けってヤツだね」
山田「そうだよ。攻めて来ないというのは、敵は相当出来るよ」
淀橋「だから今こそ、あの作戦やっちゃいましょうよ、兄者」
山田「そうだな。長兄、小島も呼んで王子を説得しよう」
山田と淀橋は小島を呼んで作戦を言い、二人とも小島に褒められてニンマリである。
<緊迫!動けない王家軍>
小島と山田と淀橋は王子の元に行く。
小島「王子、戴冠式をやって正式に琉球王になる宣言をして下さい」
王子は驚く。
王子(まだ、早いのではないか?)
淀橋「現在情勢は、尚清王が金を按司や商人から集め、信頼を失っています。ここで王子が王になれば、按司や商人の信頼が王子――いえ、尚世真王に向きます」
山田「加えて重要なことは明国に対してです。明国が王と認める者が琉球王です」
淀橋「長尾家は明国の役人と交易で繋がりがあります」
小島「長尾家を代表して、尚世真王を琉球王とするよう明国へ働きかけます。王子、あなたはもう王にならなければならない立場となったのです」
王子は覚悟を決めた顔をする。
王子「わかりました。お願いします。進めて下さい」
王子の声は、意思を固めた声だ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
ブックマークや、評価ポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★にして
応援していただけると、とても励みになります。
皆様のブックマークと評価が、
今後の更新の大きなモチベーションになっています。
どうぞ、よろしくお願いいたします!




