第303話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな・最終戦(32 王子の隣に、裏切り者がいる)
< 裏切り者は誰だ? >
小島達が帰って来て、王子は驚く。
王子は応接室に小島達を招いた。
王子を真ん中にして、右側に紫苑姫と乳母。
左側に城間がいた。
王子「小島殿、どういうことだ? 那覇を奪還しに行ったのではないのか?」
小島「尚清王が一番困る事をしてやりましたわい」
山田「今年の明国に納める納付金一万五千貫と食料を奪ってやりました。これで尚清王は明国に払うお金がなくなりました。尚清王に少しの貯蓄があっても、今は戦争中ですので、兵士の俸給や食料の購入代で消えて行きますよ」
王子「……それはありがたい話であるが、なぜ私にまでウソをつく必要があったのかと聞いている?」
三姉妹が、密かに城間と紫苑姫の後ろに回り込む。
王子は信用していた小島達にウソをつかれた事で、傷つき、怒っていた。
小島「王子、私は王子を信用していますが、王子の周りには裏切り者がいます。その裏切り者は俺の賢弟、山田を誘拐し、那覇の裏門で王子を狙い、俺の酒弟、喜屋武の背中に穴を空け、裏門の警備に毒を混入した者です。私の弟への攻撃は私への攻撃と同じです。私は裏切り者を決して許しません」
小島は弟達への攻撃に、本気で怒っていた。
小島が真っ赤な顔となり、城間と紫苑姫を睨みつける。
殺気が溢れ出る。
<緊迫!王子の前の裏切り者>
紫苑姫「……王子様、私は城間様が、夜間に怪しげな何者かとお話をしているのを見ました。疑うのがイヤで報告をしませんでした」
城間は激怒する。
城間「儂が自分の城を失うのだぞ。そんなバカな事をするはずないだろう」
紫苑姫が美しい顔に涙を浮かべる。
そして王子に抱きつく。
三女が怒りの顔になる。
突然、紫苑姫が王子の腰の長剣を抜き、三歩下がる。
紫苑姫の雰囲気が豹変した。
乳母が王子の首筋に短剣を突きつける。
紫苑姫は冷たい声で皆に言う。
紫苑姫「王子の命が惜しかったらねー、武器を捨てな」
三女「そういうあんたが武器を捨てな」
三女は紫苑姫の背中に短剣を突きつけている。
気配を殺し近づくことは、赤目の忍者を名乗る以上、造作もない。
三女は静かな声で言う。
三女「乳母、王子から剣を離しな。そしたらこの女は生かしてやるよ」
乳母に一瞬の葛藤。
乳母「本当か」
乳母が王子から剣を離す。
その瞬間、三女は紫苑姫に突きつけていた短剣を乳母に投げた。
短剣は乳母の胸に吸い込まれる。
乳母の口から血が出て倒れる。
紫苑姫は目に悲痛の色を浮かべ、乳母の名前を叫んだ。
すぐ紫苑姫は窓に走り、飛び降りる。
三姉妹も飛び降りたが、紫苑姫側の兵士、つまり裏切り者十人が三姉妹の行く手を阻む。
<危機!逃げる紫苑姫>
長女「こいつらが那覇砦の裏門で毒を撒いたんでしょ」
そう言って、紫苑姫側の兵士を片付けていく。
小島や大助が降りてきた。
長女や次女は、二人が来たのを見て戦う気を無くした。
長女や次女は芸術的に敵を片付けるが、小島や大助はまさに敵を粉砕するので、やる気をなくすのである。
任せとけばいいわという気にさせる。
三女も来た。
紫苑姫を追わないといけない。
馬が逃げていく音が聞こえる。
長女「用意の良いことで、こいつらが用意してたんでしょ」
長女は、倒れている裏切り者達を見る。
他にも逃走用の準備をしていたと見るべきだ。
今から馬で追っても、追いつけないだろう。
長女「私もあの女嫌いだったのよ」
次女「あの王子を落とそうとする目でしょ。私も嫌い」
三女「でしょ。っていうか、もっと早く私の味方してよ」
小島「三姉妹さん、とりあえず王子の所に戻ろう」
三女が王子の前に行くと、王子は自分の未熟さを痛感していたようだ。
しかし、すみれの顔を見て、王子の顔が晴れやかになった。
王子「すみれさん、本当にありがとう。君は命の恩人だ」
そう言って、王子はすみれの手を握り、上下に振った。
前回はこれで鼻血ブーとなったすみれであったが、今回は耐えた。
ただ、顔は真っ赤だ。
長女が、これ以上は危険と判断して、すみれと王子を引き離す。
山田「すみれさんは、よく紫苑姫と乳母が肉親のような関係だと見抜いたな」
長女「それは、紫苑姫が何かする度に、あの乳母が母親のような目で見ていたからよ」
三女「私の言いたいこと、盗らないでよ。そうよ、だからあの脅しがきいたのよ」
山田「まぁ、しかしこれからが本番ですな」
城間「儂は王子のために命を張ってきたのだ。それをあの女は……!」
山田「美人には毒があるということですよ」
三女「私にはないわよ」
長女次女「調子乗るな!!」
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