第297話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな・最終戦(26 琉球王家、ついに本気で潰しに来る)
< 消えた山田 >
大助が慌てて小島に報告しに行く。
大助「大変だ、兄者。賢弟が消えた。部屋にも城内にもいない。兄者は何か聞いているか?」
小島も血の気が引く。
小島(賢弟……どこへ行ったんだ。まさか、まさか……)
小島は自分の義兄弟、大助、山田、淀橋、喜屋武を、実の兄弟のように思っている。
小島「・・・・兵士全員で賢弟を探し出せ」
大助「わかった。でも兄貴、いいのか? 賢弟が敵襲が来るかもって言ってたぜ」
小島「大助、俺達が今までうまくやってこれたのも、賢弟の作戦があったからだぞ。忘れたか」
大助「そうだ。賢弟がいるいないとじゃ、俺達兄弟の戦闘力のケタが違うからなー。絶対探すよ」
喜屋武「俺は町を探す」
淀橋「僕は聞き込みをします」
小島は山田の部屋へ急ぎ、手がかりがないか探し出す。
山田の部屋は荒らされた形跡がない。
三姉妹が小島の元に来た。
三姉妹の長女が小島に告げる。
長女「小島様、堀の外側の泥に足跡が残っていました。侵入者が砦に入ったようです。」
次女「侵入者は夜半に山田さんの部屋に入り、拉致して脱出したと思われます」
小島「・・・・なぜ、賢弟なんだ。普通、王子だろ。それで現王家は勝利するのだから」
三女「王子は、私や黒子さんが厳重に見張ってますし、那覇砦の倉庫や城間様の所も見張っています。しかし山田さんは誰も見張ってません。そこを突いたのだと思います。」
小島「この砦は、そうやすやすと侵入出来ることはないのだが・・・」
< 敵襲 >
突然、見張り台の鐘が鳴り響く。
「敵襲、敵襲ーー」
乾いた空気を裂くように、見張り台の鐘が狂ったように鳴り響いた。
小島と李超と大助は、二千の兵を連れて出撃した。
真玉橋周辺に守備陣形を作る。
喜屋武は玉城盛炎と那覇砦の守備だ。
王府将軍謝名親盛が、三軍三千名を連れて那覇に進軍してきた。
謝名親盛「もっと早くこうして攻め込んでおれば良いのだ。文官はまるでわかっていない」
三軍の内一隊八百名は迂回して那覇砦を攻めること。
砦の敵は弱体化しているそうなので、八百名で十分である。
残り二隊は、自分とともに真玉橋の敵を叩くことを命じた。
一方、李超は小島に言う。
李超「小島、山田がどこか行ったのか、噂になっているぞ」
小島「どうやら、王家の奴らに誘拐されたようだ」
李超「そしたら、目の前の髭将軍を捕まえて山田と交換しようぜ」
小島「李超、お前、賢弟のように賢いなー」
李超「そうだろーー(エヘン)」
李超はちょっと胸を張る。
小島「やるぞー」
大助(あの髭将軍を捕まえたら、この戦争、ほぼ勝ちが確定するのでは……まぁいいか)
<危機!>
一方、那覇砦では玉城盛炎が真っ青な顔をして、喜屋武に報告していた。
玉城盛炎「裏門を守備している兵士百二十名が、配給された水を飲んだ途端、下痢や嘔吐をし、戦力になりません」
喜屋武「玉城盛炎、お前も飲んだのか」
玉城盛炎「はい、すいません」
玉城盛炎は、窓から外へ嘔吐する。
喜屋武は守備四百名の内、百二十名が戦闘不能と判断した。
喜屋武(こんなとき三兄、山田がいてくれたらなー)
黒子からの報告で、八百名が迂回して那覇砦を攻めにくる。
喜屋武は判断を迫られる。
A案 断固守備
百二十名を長兄から補填してもらう。
B案 撤退
スパイが忍びこんでいる。自分達の水も危ないかもしれない。
水がないと長期の戦線維持は不可能。
那覇を捨てれば、城間殿の心は折れる。だが――王子を失えば終わりだ。
今なら、ほぼ無傷の小島李超隊がいるから、糸満まで無事撤退出来るだろう。
王子さえ無事ならなんとでもなる。
結果、B案とする。
早速、青い顔の玉城盛炎を連れ、王子に報告に行く。
王子は按司城間と紫苑姫とともに応接室にいた。
喜屋武は現状を伝える。
喜屋武「王子、ここは一旦引いた方が良いと思います。もうしばらくすれば長尾家の兵も来ます。那覇もすぐ取り返せます」
城間「どこに逃げるというのか?」
喜屋武「糸満しかありません」
王子「那覇は守りきれませんか?」
喜屋武「王子の命さえ守れれば私達の勝ちです。王子の命を最優先に考えれば、撤退をして、長尾家の兵が来たら那覇を取り返すで良いと思います。」
王子「・・・・わかりました。那覇から撤退しましょう。どう、撤退しますか?」
喜屋武「馬が五頭あります。(ほとんどの馬は小島と李超が持って行ってしまっていた)王子と城間殿と私と玉城殿と紫苑姫殿でどうでしょう」
紫苑姫「・・・私には乳母が肉親同然なので、見捨てるわけにはいきません。私と乳母は下女に扮装しまして、糸満砦を目指します」
王子は紫苑姫の近くに行き、路銀を渡す。
王子「お金があれば、見逃してくれる兵士もいるでしょう。
糸満砦で必ず会いましょう。必ず」
紫苑姫は熱い眼差しとなり、
紫苑姫「・・・はい、必ず」
三女「王子、急ぎましょう!! 馬はこちらです。さぁ急いで急いで」
三女は、必要以上に王子を急き立てた。
次女「ミエミエだぞ」(小声)
三女「うるさい」(小声)
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