第296話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな・最終戦(25 王家の倉庫襲撃)
< 倉庫襲撃 >
山田「やっぱり警戒されてますね」
紫苑姫が母を失ってまで持ってきた情報なので、何とか形にしてあげたいのが人情である。
しかし、那覇の倉庫を襲った時の警備は二交替十六人前後であったが、今回の倉庫は三百人ほどが警備していた。
こちらも八百人ほどの兵士を連れてきているが、一大決戦を控えるので兵士の損耗を控えたいのが本音だ。
一見すると数的優位になる。
だが、敵は建物内で防御するので、兵法的には三倍の人数が必要とされる。
敵三百に対して、攻め手は九百人が必要。こちらは八百人で、数的劣位となるのである。
一応、黒子も連れて来ている。
だが、これだけ警戒網があると、黒子本来の隠密の動きが出来ないから使うべきではない。
山田は若様から常々、「黒子を育てるには通常兵士の三倍位のお金と時間がかかるから、そのつもりで使え」と言われている。
山田は若様の顔も思い浮かべながら、作戦を組み立てる。
メンバーは大助と喜屋武である。
小島や李超は、那覇にいつ王家軍が攻めて来てもおかしくないので、那覇で待機である。
山田は大助に、いつもの偽装撤退を指示する。
後方で喜屋武が待ち構え、挟撃するいつもの作戦だ。
<緊迫>
大助の偽装撤退は上手い。
正門の前に集まる警備兵に対して攻撃していく。
警備兵が集まって来る。
大助が、いつものように負けた振りをして撤退した。
•••••しかし、敵が追って来ない。
山田は瞬時に判断して、後方にいる喜屋武と、撤退の演技をしている大助に伝令を走らす。
山田自身も兵装を整え、十字槍を持ち、喜屋武が後方から前線に上がるのを待つ。
喜屋武が来た。
合図の鐘を鳴らす。
大助が撤退すると見せかけて中央突破する。
喜屋武が大助をフォローして、包囲殲滅戦に切り替える。
この間、山田は兵士二十名に守られながら、倉庫に侵入していく。
倉庫の警備は外周に集中しており、内部は案外手薄だった。
倉庫内の想定は一万五千貫だ。
山田が違和感を感じる。
見た所、想定の一割以下だ。
お金もあるにはあるが、百貫程度と、食料が一トンあるかないか。
山田が兵士に、倉庫に火をつけるよう命じる。
兵士が驚く。
兵士「本当に良いんですか。我々にとっても貴重な食料や財貨ですよ」
山田「敵はそれが狙いだろ。これを我々が回収していたら、敵の追撃が来るかもしれない。しかし火をつけておけば、敵の追撃が来ても消火活動をするだろうよ。
それに一万五千貫があるならば我々は戦うが、ないのであれば潔く撤退すべきだ」
二十名の兵士は、倉庫のあちこちに火をつける。
山田(……すまん。だが、今は勝つことが先だ)
火はたちどころに広がり、赤い炎と黒煙を撒き散らす。
山田「こうしとけば、敵は消火活動に兵士がかかりきりとなる。その間に撤退する」
倉庫から出た所で、大助や喜屋武が、倉庫から火が出たことでびっくりしている。
大助「賢弟、どうしたんだい。倉庫の財貨や食料はなかったのか?」
山田「……少しはあった。百貫と食料が七石ほどあった」
喜屋武「俺達千人だと一日分の食料だね」
山田「今は敵を全滅させてこちらの兵士を消耗させるより、撤退させましょう。
敵は火事の消火で追ってはこないでしょう」
大助と喜屋武は、もったいないなーっていう顔をしながら、撤退準備をしていく。
山田( 一万五千貫を運び入れる前だったか、持ち去った後か、それが問題だ )
<不穏>
山田は昼ごろ、那覇砦に戻り、王子や小島に顛末を報告する。
小島「わかった。賢弟、疲れただろう。次弟(大助)、酒弟(喜屋武)も部屋に帰って、とりあえず寝ろ。細かいことは次の日だ」
山田「長兄、ありがとうございます。また明日協議しましょう」
しかし、次の日の朝、山田が消えていた。
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