第286話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国の革命出来るかな(15 琉球王国、反撃前夜の宴)
< 支持基盤の拡大 >
王子の手紙による呼びかけで、按司二十名の内、八名が支持してきた。
これは、クーデター前夜としては異例の数字だった。
その八名も、按司本人ではなく代理の者がお金や食料を置いていく。
それでも十分大きい。
次いで、琉球王国全体から流民らが兵士志願に来た。
その数、一二〇〇名だ。
無論、直ぐ使えるわけではなく、長尾軍の兵士達が訓練する。
王子が最初に支配下においた地区が那覇というのも大きかった。
何しろ琉球王国は島国なので、那覇港という大きな港を抑えられると、現王家は食料と金という大事な二つが滞るのである。
このため、現王家の大規模な反撃が予想された。
<迫る反撃>
ある夜、王子主催の慰労会が開かれた。
気兼ねなく楽しめるように、男と女で分けられた。
女子の飲み会の参加者は、三人姉妹、木杉、三上姉妹である。
木杉「三上さんは何で大助選んだ?」
三上姉妹「大助は最高。優しいし、ちゃんと向き合ってくれる。今の私たちには一番安心できる人だよ。
困った時にちゃんと向き合ってくれる。
将来は分からないけど――今は一緒にいたいと思ってる」
木杉は泡盛をクイっと一杯飲む。
木杉「ふーん、そう。大助見直した。
すみれは王子狙いなんだろう?」
三女「うん、今は王子以外考えられない」
木杉「今、一九歳だろう? 若いんだから無茶しろよ。
年取ったら手堅くしか行かないんだぞ」
三女「確かに無茶だと思ってるけど頑張る」
木杉「おー、いけ、いけ。応援してやんよ」
長女「木杉さんは、誰か狙っている男いるの?」
木杉「いない」
次女「津村さんは? 噂になってたよ」
木杉「噂だけだよ。私は黒子優先だよ。恋愛は二の次」
長女「木杉さん美人だから、狙う男はヤマほどいるでしょう。羨ましい」
木杉「葵も美人だから、狙う男くらいいるだろう。うちの黒子の男でよけりゃ、いくらでも紹介するぞ」
長女「本当? マジお願い」
次女「私も、お願いします」
長女と次女が木杉に手を合わせ、拝む。
木杉「おー、任せとけ」
木杉が笑顔でまとめる。
<騒がしい男達>
男子会は王子を中心に、小島兄弟、李超、比嘉仁喜、津村、早瀬が集まっていた。
小島と大助「王子、申し訳ない、準備させて下さい」
そう言って、喜屋武をまず柱のそばの椅子に座らせ、喜屋武の腰のあたりを柱に厳重に縛り付ける。
それから喜屋武のそばに大きな机を持って来た。
小島「これで心置きなく飲める」
大助「そうですよ。この方法見つけるまで俺達大変だった」
小島「そうだな。おい、今日は飲むぞ」
李超「とことんだぞ」
喜屋武「俺もとことんだ」
比嘉仁喜「喜屋武の兄貴はほどほどで」
大助「比嘉仁喜、喜屋武が暴れても大丈夫だぞ。御前もゆっくり飲め」
山田「皆さんが酔っぱらう前に、今後の確認しますね。
李超さんの部隊と津村さん、早瀬さんの部隊と木杉さんで糸満を落とします。
那覇の隣の久米村は重要なので、王子の説得で落とします。
持久戦になって困るのは那覇ではなく、首里です」
王子「皆さんの頑張りのおかげで、琉球王国の奪還に向けて第一歩が踏み出せたと思います。ありがとうございます」
王子が深々と一礼する。
小島「王子も賢弟も固い話はそれくらいにして飲みますぞ。王子、挨拶して」
王子「そしたら両親から習った、琉球王国でお酒を飲む時の挨拶をしよう。
カリー!」
一同「カリー!」
皆、泡盛やら古酒やら琉球王国の地酒を飲み干す。
酒の肴も琉球の特産品が山盛りだ。
ミーバイ(ハタ系)の塩焼き、海ぶどう、豚の内臓の煮込み(中身汁)、ヒージャー汁。
山羊は祝いの席のご馳走である。
皆、美味い、酒が進むと言いながら楽しむ。
酒が進むと、異変を起こす奴がいる。
喜屋武だ。
<宴の火種>
小島「大助、そっち持て」
大助「了解」
小島と大助と何人かで、大きな机を料理や酒ごと、喜屋武がくくり付けられている柱から離した。
皆、手慣れている。
柱にくくり付けられている喜屋武は、一人暴れている。
比嘉仁喜「なるほど、こういう手があったか」
大助「酒弟は、酔っぱらうと腰の紐を自分で外す事が出来ないんだよ。
後は、暴れるだけ暴れて寝てしまうから大丈夫」
比嘉仁喜「万全ですね(笑)」
大助「弱い柱じゃダメだぞ。酒弟はこの前、柱を引っこ抜いて俺達大変だった」
喜屋武はウガーっと奇声を発して、柱を引っこ抜こうとしている。
李超「小島、勝負だ」
小島「返り討ちだ(笑)」
楽しい夜は更けていった。
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