第279話 1540年 10歳 亡命王子は琉球王国で革命が出来るかな (8 琉球王国の按司、敵か味方か)
< 按司・城間親照 >
一同は木杉の案内により、城間親照の寝室に向かう。
王子「城間夫婦は拘束して、奥方はそのまま寝室に残してくれ。按司の城の奥にある応接室に移動して話を聞こう」
小島がうなづき、指示をする。
小島が扉を開けると、香を炊かれた匂いがした。
清潔好きなのか、寝室は整頓されている。
城間夫婦はいまだに夢の中だ。
小島が手で合図する。
兵士達が夫妻を縄で拘束する。
その際、「何者か」と声が上がるが、布を噛ませる。
「ウッググー」
くぐもった声がした。
小島「奥方は木杉さんに預けろ。乱暴は絶対にするな」
小島がまた手で合図する。
応接室に連れて来て、奥の席に城間親照を座らせて口の布を外す。
城間親照は、琉球人らしく彫りが深く、目が大きく、顎が発達している。
城間親照が赤い顔で怒鳴る。
城間「儂が那覇の按司と知っての狼藉か? 何が目的だ?」
王子が一礼し、
王子「失礼をお許し下さい。
私の名前は尚世真。尚徳王の血筋に繋がる者です。」
城間親照が目を見開き、驚く。
城間「嘘だ、尚徳王の世子は殺されたと聞いている。」
王子「初代琉球王の血筋は、現王家の初代尚円王の反逆により途絶えたと言われる。
しかし、初代琉球王の正当後継者である尚徳王の世子は、忠臣により連れ出されていたのだ。
尚徳王の世子は、私の曾祖父に当たる。」
城間「証拠はあるか?」
<緊迫>
王子は腰の袋から、厳重に封をされた紫布包みを取り出した。
王子はそれを静かに解き、城間に見せつける。
城間「……それは失われた玉璽ではないですか。
▪︎▪︎▪︎そんな」
王子「忠臣が持って来たのだ。」
城間「▪︎▪︎▪︎▪︎▪︎貴方が初代尚巴志王の正当継承者に間違いありません。
これから大変な事になります。
そこの二人は長尾家と大倭寇の李牧に繋がる者達でしょう。調べはついています。
王子は協力者を得て、現王家の転覆を狙っているのでしょう。」
王子「そうだ。
それで城間の話を聞きたい。
城間は港使用料の二重取りをしておるな」
城間「取っております。王からの指示です。しょうがありません。」
王子「密貿易も役人に指示して黙認する代わりに、賄賂を取っておるな。」
城間「取っております。これも王からの指示です。しょうがありません。」
王子「城間に逆らう者だけ厳罰としているのは何故か」
城間「これを厳罰としないと、王子が先ほど言われた税の徴収が滞ります。
税を王に渡さないと、私が王から厳罰を受けます。」
王子「小島隊長、城間殿の縄を外してやってくれないか。どうやら悪人ではないようだ。」
小島が手で合図する。
兵士が城間の縄を外す。
縄を外された城間の手が、わずかに震えていた。
城間が首を動かしたり、手首を回したりする。
城間「王子、有り難う御座います」
一礼。
城間「王子に質問があります。聞いても良いですか?」
王子「どうぞ」
城間「王子が政権を取られたら、明国からの税を拒否してくれるのでしょうか?」
王子「拒否しない。拒否したら明国の船が来ない。
そしたら和人の船も来なくなる。
明国の船が来るから琉球王国が成り立つ。
来なくなったら、普通の島に逆戻りだ。」
城間「良い商品があれば、明国の船は来ないでしょうか?」
王子「琉球王国が明国に税を納めているから、明国の船が堂々と来れる。
明国に税を納めていない国には、明国の船は隠れて来ないといけない。
明国船の数が減るであろう。
明国は閉鎖的な国である事を忘れてはいけない。
倭国は勘合貿易のみ、明国との取引が出来たのだぞ」
城間「明国に税を納めるならば、今の王と変わらないじゃないですか?」
王子「イヤ、取引の主流を越後に変える。
越後は蝦夷地を有するので、明国に大量に売れる」
城間「越後は王子の出資者だから、越後から税を取らないでしょ?
どうやって琉球の収入が上がるのですか?」
王子「蝦夷地や越後の商品目当てに、明国の船が増えるだろう。
そこから税を取れば良い。
加えて、越後の商品目当てに南蛮の船も来るだろうから、税は増える」
城間「明国はうるさく言ってこないですか?」
王子「交易量が増えれば、明への貢納も結果的に増えるので黙るでしょう」
城間「越後は蝦夷地商品の他に、どんな商品をお持ちですか」
王子「新津焼を二個ほど龍義殿に持たせてもらった。見て下さい」
新津焼とは、金や銀や多色を使用して花鳥風月を表しており、茶の湯や侘び寂びを嗜好する者からは品がないと嫌われている。
王子は兵士から新津焼を二つ受け取り、城間に渡す。
城間「これは立派ですな。明の役人は鼻で笑うかもしれませんが、南蛮は欲しがるでしょうな」
王子「龍義殿も同じ事言っていた(笑)
港に人が集まる。金も、情報も、人材も集まる。
城間殿も、商人さんも、必ず儲かる。
私に任せて下さい。今の王より、はるかに儲かる」
<揺れる忠義>
城間が王子の目を見る。
太陽のようなエネルギーを感じた。
城間家は、初代尚巴志王に取り立てられた家だ。
現王家より、初代王家に忠誠を誓うべきなのだ。
城間「……ならば、王子に賭けましょう。
我らの命運を」
王子「私に忠誠を誓え」
城間は王子に跪き、神妙な表情となり、
城間「誓います」
感動シーンに、これを見ていた兵士達も涙ぐむ。
三女も感動して跪いている。
感動して、ぼろぼろ泣いている。
次女「すみれ何感動しているんだよ!
お前は赤目の忍者だぞ 」
三女「だって、だって(涙)」
三女は泣きすぎで鼻が赤く、鼻水ズルズルだ。
長女「本当に世話が焼ける子ね」
長女が紙を出して、三女の鼻に当てる。
三女が鼻チーン。
長女次女「しょうがねーなー(呆れ)」
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