第269話 1540年 10歳 虎千代の6千人移住者の移動だぞ(④大宝寺晴時、酒田で再び牙を剥く)
<緊迫の在庫管理>
③ 虎千代と数丸
虎千代は数丸と食料の在庫管理をしていた。
数丸「あー虎千代、ここ数字間違えていますよ」
虎千代「いいだろ、その位」
数丸「そしたら虎千代のせいで100人分の食事がなくなったとして、その人達の前で『いいだろ、その位』って言うのですか?」
虎千代「……確かに。それを言われると、返す言葉がないな。すまない」
数丸「虎千代は戦においても数字を無視しがちですよ。模擬戦でも確かにカンは鋭い。兵士数とか計算しなさすぎですよ」
虎千代「イヤ、そうは言うが、俺は空気とかカンでわかるから、数字要らんのだ」
河合信房「ハイ、そこまで。数丸と虎千代は、どちらも正解で、どちらも不正解です」
虎千代「師匠、言っている意味がわからない」
河合信房「数丸のいうように、例えば糧食の数は重要です。これは数丸が正しい。
数丸よ、戦は瞬間の判断で勝負が決まる時がある。そんな時、数丸は数を数えるのですか? これは虎千代が正しい」
虎千代「そしたら戦いで数字いらないよ」
河合信房「それは短絡的で、数字が必要な時もあるのです。
そしたら貴方達、模擬戦で勝負をしなさい。負けた方は夕飯抜きで」
虎千代「師匠、模擬戦まで待たなくても、盗賊とか襲って来た時でもいいか?」
河合信房「だから虎千代は戦いが好きだと言うのです(笑)」
<危機! 酒田に漂う不穏>
④ 大宝寺家再びだぞ
1537年、長尾家は『大宝寺家』を滅ぼし、その領主『大宝寺晴時』の財産を奪い、追放処分としていた。
大宝寺家は『酒田港』付近に領地があった。
付き従う家臣も10名ほどに激減していた。
大宝寺晴時「長尾家の奴らが食料と財産を持ってこの付近を通るとはマコトか?」
家臣「長尾家の奴らは『安東家』を滅ぼして6千人の住民を連れて酒田を通り、補給を受けます。補給を受けた後が狙い目です」
大宝寺晴時「どうせ長尾の奴らは大軍を率いているだろうが、こちらは速さだけで勝負よ。取るもん頂いて退散すればよかろ」
家臣「……おいたわしい(涙)これも長尾の奴らのせいです(涙)」
大宝寺晴時「言うな。今10歳のあの小憎たらしい小僧(上杉龍義)は行列にいないのだから何とかなるわ」
一方その頃、志村達6千人の移住者一行は『酒田』にて住民総出で大歓迎を受けていた。
気を吐くのは、かつてのバカ息子と言われた本家本間の嫡男・『本間泰秀』だ。
『本間泰秀』は、上杉龍義が商人集団『三十六人衆』に漏らした飢饉の情報を最大限に利用して莫大な富を築き上げており、『三十六人衆』に引けを取らぬほどだ。
本間泰秀は感謝と称して、豪勢な自宅に志村や隊長達を招待し、自宅に入り切らない6千人の移住者達にも食料や酒を配っていた。
志村「本間殿の手厚い歓迎、痛み入る。必ず若様にご報告申し上げますぞ」
本間泰秀「いえいえ、こちらこそ。若様に叱り飛ばされなかったら、私は今でも酒や女に溺れ、バカ息子のままで一生を終えておりました。加えて飢饉の情報や『蝦夷地』でも良くして頂いて、お礼の申し上げようもございません」
お駒と呼ばれる女性が本間にしなだれている。
虎千代「師匠、客人を迎えるのに女があーいう態度は普通なのか?」(小声)
河合信房「いえ、虎千代。覚えておきなさい、普通ではありません」(小声)
虎千代「やっぱりバカ息子は変わらずだな」(大声)
志村が虎千代を見て怖い顔で睨み、「シー」と口に人差し指を立てている。
見れば本間泰秀は「俺はやっぱりバカ息子なんだ・・」と落ち込んでいた。
虎千代「やべーー(汗)」
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