第214話 1539年 9歳 蝦夷地総府、開拓の現実が想像以上だった
十三湊を出て、函館港に着いた。
函館には蝦夷地総府を置き、その首長は『直江景綱』。
一方、鴻之舞鉱山のある紋別には蝦夷地副総府を置き、その首長は『甘粕景持』だ。
俺たちは函館港に入る。
史実では松前藩を開く『蠣崎氏』を、俺たちは実力行使で排除し、蝦夷地を支配している。
幕府からは異例ながら、長尾家が守護大名として承認を受けた。
函館港は急速に整備され、今では西洋帆船も停泊できる港になっている。
俺たちは下船した。
函館港には『直江景綱』『甘粕景持』、そして『九島兄弟』たちが出迎えてくれていた。
俺
「二人とも元気か!! 九島兄弟も元気でやっているか?」
甘粕景持
「若様こそ、ご活躍を聞いております。ご戦勝おめでとうございます」
直江景綱
「甘粕殿、若様は全戦全勝なので、どの勝ちを祝っておられるのかわかりませぬぞ」
甘粕景持
「だから、今までの全部の勝ちでのお祝いだぞ」
俺
「甘粕も直江もよく聞け」
「この蝦夷地を維持発展させるという事は、戦で勝つより難しい事だ。
その役目をお主達に託している」
「お主達は蝦夷地に勝ち続けているのだぞ。
俺の方こそ、お主達に戦勝祝いを言いたい」
甘粕景持も直江景綱も、その言葉に思わず目を伏せた。
九島逸香(九島兄弟の長女――まとめ役)
「若様。来ていただき、本当にありがとうございます」
九島時香(九島兄弟の次女――9歳)
「若様、ご結婚おめでとうございます」
九島逸香
「時香は、若様が好きだったからやっと吹っ切れたのよね」
九島時香
「お姉ちゃん、言わないでよーー」
時香は顔を真っ赤にして、逸香をぽかぽか叩いている。
俺
「逸香も時香もありがとう。兄弟はみんな元気か」
九島逸香
「若様が来られるので、弥太郎を除いて全員集合してますよ」
甘粕景持
「若様、蝦夷地総府の迎賓館に宴席がご用意してあります。
積もる話はそちらでいたしましょう」
<蝦夷地の宴>
俺たちは蝦夷地総府の迎賓館を目指した。
迎賓館に着く。
新館の香りが強く、華やかな空気に包まれていた。
宴席の挨拶を終え、主座に座る。
右隣には『菊姫』。
左隣には――異例ではあるが、お客様として『蘆名盛氏』(蘆名家の元領主)に来てもらった。
今後、蘆名盛氏に付き従う三十人には、蝦夷地の開拓民として一年間の研修を受けてもらう予定だ。
その後、蝦夷地の開拓を任せる。
最初に蝦夷地で良い思いをしないと、後で苦労はできない。
だから今は蝦夷地で良い思いをして欲しい。
俺の前には、
『五十公野左京』
『下条掃部助』
『水原親朝』
『大見金右衛門』
といった、越後から連れて来た国人衆が次々に挨拶に来た。
そして、俺に蝦夷地開拓の苦労話を披露していく。
ところが――
蘆名盛氏は、甘粕や直江の語る蝦夷地の華やかな成果よりも、
この四人の国人衆の話に強く興味を示していた。
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