309、森と感知
「あれが今回の旅を険しくする魔境、暗闇森」
アイラード王国を出て2日目にさしかかり見えてきたのは巨大樹が視界を遮る森。
「魔獣の強さはそこまでじゃないが数と条件が悪すぎる。群れで生息する上級魔獣ハルバッドがおよそ2000体、視界は木で悪くその木を倒しすぎると周辺の生態が崩れるから世界条約により禁止されている」
「世界条約ね……」
呆れ声をこぼすヒスイ。
世界条約が重要なのは分かるが会合に出席するのに融通が効かないのはどうしたものか。
「それでミカエル、今回はどう抜ける気だ?」
もちろん悪条件でも抜ける方法はある。
魔力感知を阻害する魔道具を身にまとい通過、少数精鋭で囮を作り魔獣を離して進む方法。
色々あるが俺たちが来ている服に隠密性能は無い、別れるといっても元々少数だから良い手とは思えない。
ミカエルが不敵に笑う。
「決まってんだろ、正面突破しか無い」
「だろうな」
森の正面。
ユリィは腰にさしてあった短杖を手に取り魔力を込めると共にユリィの160ある身長と同じ程の大きさに。
ミカエルは手に収まる程の太さと手から手首程の長さの杖を持つ。
杖は兵士学校で魔道士資格を貰った時に陛下より直々に貰うも逸品。
もちろん俺は貰えなかった。
「綺麗だねー緋木の杖ー」
2人の杖を見て目を光らせるヒスイ。
緋木の杖、それがアイラード王国の魔道士になる時に与えられる栄誉ある勲章。
「緋木はアイラードにある魔力伝達が世界有数の大木、本当にお似合いだよあの二人は」
「ねぇミカエルぅ、一緒に言おっか」
「望むところだユリィ、せーの」
「263!!」「264かなぁ」
2人は突然数字を叫ぶ。
恐らくはこの暗闇森に潜む魔獣の数。
それを察知してかヒスイが袖を掴んでくる。
「ねぇあの二人、まさかここにいる魔獣を当ててるつもりなの?」
「お前はいけるか?」
「当然……と言いたいけど、こんな視界も魔力も曇ってるからなんともね」
ヒスイは魔力感知が得意、そのヒスイをもってもこの中にいる魔獣を網羅出来ない。
だが決してヒスイが劣っている訳でもなく。
「心配するなヒスイ、あいつらが異常なだけだ」
【稀代の天才】アイラード王国の国民は2人をそう呼称する。
「アレスぅ、お待たせだよぉ」
「俺らが先導するから遅れるなよアレス」
「頼んだぞ、2人とも」




